[ トップページ ]

メイン

社会・経済 アーカイブ

0001-01-01

tetu_bn_161.gif 書評・読書カテゴリーには私が Amazon や BK1 に投稿した書評や,本について書いた文章をあつめています. 以前はすべての書評をひとつのページにいれていましたが,書評の数がおおくなり,書評・読書カテゴリーのページがながくなりすぎたので,書評・読書カテゴリーを分割しました. 書評以外のカテゴリーにあわせて, Web とインターネットアート・イベント・エンターテイメントインタフェース,アメニティとデザイン思想・哲学・宗教政治・法律・憲法教育と学習歴史環境生活知的生産とリテラシー社会・経済言語・コミュニケーションとネットワーキング秘密・プライバシー保護とセキュリティ計算・プログラミング というように書評を細分するようにして,書評・読書カテゴリーのページにはそれらに分類しづらいものをあつめました. なお,このページは各カテゴリーのページの先頭に表示されるように,意図的に投稿日時を 0001-01-01 00:00:00 としてあります (実際の投稿日時は 2007-11-03 10:39 です).

おしらせ

このページで紹介している本のほとんどについて,オンライン書店ビーケーワン (BK1) へのリンクをつけています. 2008 年 10 月 1 日 23:59 までのビーケーワンでの買物につかえる 300 円のギフト券が 2 枚あります. 購入の際に下記のコードのうちの一方を入力すれば,だれでも 2 回まで 300 円引きで買うことができます. ご利用ください.

  • 08affivc09121001
  • 08affia809121001

2006-05-14

この本は,ゴルバチョフからエリツィンに主役が交代する時期に,ロシアがかかえる,ひとことではいえないさまざまな問題をあつかっている. とくに,のちにプーチンをも苦しめることになる生産・流通の問題点などを分析している. とくに印象にのこったのは 「資本主義との対決に一喜一憂する中で,我々は何世紀にもわたって人類が創り上げてきた多くのものの意義を明らかに過小評価したのである」 というゴルバチョフのことば (p. 74) である. このことばは,「資本主義」 や 「人類」 を日本をとりまく局所的な文脈でよみかえることによって (たとえば 「人類」 を 「日本人」 とよみかえることで) 破壊的なマルクス主義の影響からぬけだしていない現在の日本にも警鐘となるであろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ロシアの悲劇@Amazon.co.jp. (品切れになっているので,古書があるときだけ買えます.)

つづく…

2006-05-15

3 つの章のうち 2 つはソビエト崩壊の予測に関係している. しかし,3 章では突然,日本の非武装中立論を批判している. 1990 年前後の小室直樹の本は饒舌で脱線が多いが,それにしても…

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ソビエト帝国の崩壊@Amazon.co.jp. (品切れになっているので,古書があるときだけ買えます.)

つづく…

最初の何章かは従軍慰安婦問題,東京裁判の問題など,すでにほかの論者によってさんざん書かれている内容である. そのなかには 「選挙コンプレックスがニクソンの生命取りになった」 (p. 113) というような,おもしろい話がちりばめてあったりはするものの,あまり新鮮さは感じられなかった. 3 章からは日本資本主義の分析など,小室らしい話題が登場するが,私にとってもっともインパクトがあったのは第 4 章 「なぜ,天皇は 「神」 となったのか」 である. 最近は教育勅語が現在でも有効な常識的な内容だとする意見が多くなっているが,小室によれば教育勅語はキリストのような現人神である天皇が儒教にはないまったく新しい規範を説いたものであるという. これぞ小室天皇教の真髄であり,逆にいえば教育勅語の “復活” に注意が必要だということでもある.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 日本国民に告ぐ@ [bk1]日本国民に告ぐ@Amazon.co.jp

つづく…

2006-06-03

宮台真司の本には粗雑なものが多い. この本に関しても他のレビューで誤字脱字の多さや注釈がないことが指摘されている (注釈がある本でも場違いなことが多い). たくさんのひきだしのなかみをチラチラとひけらかしてくれて,つまりカタログ的にいろいろなことが書いてあるので,それをヒントにかんがえたり,ほかの本を読んだりすることはできるが,この本だけ読んでも宮台のように知識がない私には,それらの断片を理解することができない. もっと,だれでもわかるように,ていねいに書いてほしいものである.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 亜細亜主義の顛末に学べ@ [bk1]亜細亜主義の顛末に学べ@Amazon.co.jp

つづく…

10 数年まえだったら,問題の本質にせまらずにただ表面をうわすべりするだけの,このようなものいいに対して,もっと共感をおぼえただろう. しかし,もはやサヨク的な信念をもてなくなったいまでは,もっと本質をえぐってもらわないかぎりは共感することができなくなってしまった. 本質にせまれない理由としてはこの本に収録されている文章のおおくが字数のかぎられた新聞やジャーナルの記事だからということもあるだろう. しかし,80 ページをついやしている 「禁煙ファシズム」 に関しても単なる事実とそれに対する意見の列挙以上に深い議論にはなっていない.

評価: ★☆☆☆☆

関連リンク: 国家に隷従せず@ [bk1]国家に隷従せず@Amazon.co.jp

つづく…

2007-08-31

シャドーワークということばをつくったイヴァン・イリイチによるその定義は 「無報酬とされている仕事だが,何らかの経済行動の基盤を維持したり,支援したりするために不可欠な仕事」 だという. 本書の著者はシャドーワークをはっきり定義していないが,「上司の指示を待ったり,事前に相談したり,または許可を受けるようなことをせずに,自発的な非正規の行動を起こすこと」 がシャドーワークだと書いている. これはイリイチの定義とはあきらかにちがっていて,しかも,とくに 「非正規の行動」 というところがあいまいである. 本書でとりあげられている例をみると,著者がいう 「シャドーワーク」 には無報酬のものもあり報酬があたえられているものもある. また,仕事じたいも経済的に支援されているばあいとそうでないばあいとがある. 無報酬だったり支援されなかったりするときは,その 「仕事」 と会社との関係はよわくなるとかんがえられるが,本書では会社との関係がつよいケースばかりがとりあげられている. 私にはとりあげられている例の大半は本来のシャドーワークにあたらないようにおもえる. はっきり定義されていないことからもわかるように,著者にとっては実はシャドーワークという概念はたいした意味をもっていない,むしろ仕事における自発性に興味があるのだとかんがえられる. シャドーワークそのものに興味があった私は失望させられた.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: シャドーワーク 知識創造を促す組織戦略@ [bk1]シャドーワーク 知識創造を促す組織戦略@Amazon.co.jp

つづく…

2007-09-16

日本の歴史とくに大東亜戦争をみなおそうといううごきが,「新しい歴史教科書をつくる会」 をはじめとして,さかんになっています. みなおしを主張するひとたちが問題にする点のひとつは,「南京大虐殺」 をうつしたとされる写真のおおくが虚偽にみちたものだという点です. この戦争に関するおおくの本のなかでその真偽が議論されています. しかし私は,戦争とは直接の関係がない本のなかでこの問題に関連する記述があることを発見し,重要な論点を提供していると感じました. それは,今野 勉 の 「テレビの嘘を見破る」 という本です.

つづく…

2007-10-13

冒頭に 2020 年におけるケータイのつかわれかたをえがく 「小説」 が書かれているが,それを読んでいきなり,がっかりさせられた. そこに書いてあることは,研究レベルではいますでにほとんど実現されていることである. まったく夢が感じられない. しかし,著者はつぎのように書いている. 「人間の基本的なライフスタイルや考え方は,半世紀単位でも思ったほど変わっていないように思える. [中略] 今現在の生活者である我々がピンと来ないものは,10 年 ~ 20 年経ったとしても使われることはないのではないだろうか.」 冒頭の小説はこのかんがえにもとづいて書かれたということだろう. 通信インフラとして出発し i モードによって IT インフラとなったケータイだが,現在すでに,おさいふケータイがだいぶ普及し,つぎのステップはそれを 「生活インフラ」 にすることだという. 日本ではまだクレジット・カードが普及していないというところに目をつけて,それをケータイのうえで実現しようという戦略はしたたかなものである.

本書でおもしろいところは,第 3 章におけるテレコム業界批判である. 顧客ではなく 「業界のため」 を第 1 にかんがえる体質やをするどく批判し,それにたちむかったことで i モードを成功させたと自負している. また,WAP (ケータイ Web 標準) に関して,標準化会議における日本人の影の薄さを指摘している. また,技術の優位性こそすべてという 「技術単独信奉」 を批判し,FOMA においてそれが成果をあげたことをのべている. ほかにもおもしろい内容がふくまれているが,ここまでにしておこう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: ケータイの未来@ [bk1]ケータイの未来@Amazon.co.jp

つづく…

2007-11-10

タイトルからして 「日はまた昇る」 の続編のようなつもりで買ったのだが,内容は日本だけでなくアメリカ,ヨーロッパ,中東にまで言及している. 日本を中心として世界全体をながめるのにちょうどよい本かもしれない. 日本ではジャーナリズムも近視眼的で,中東などのできごとが歴史的な考察までくわえながら論じられることはまれである. このうすい本からまなべることはかぎられているが,こういうインターナショナルな視点をまなぶべきだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: これから10年、新黄金時代の日本@ [bk1]これから10年、新黄金時代の日本@Amazon.co.jp

つづく…

2007-11-17

みじかい本ではあるが,著者の日本経済・社会についての理解から示唆される点がおおい. 1990~2005 年の分析としては,たとえば 「基本的な景気対策,たとえば公共投資によって一部の圧力団体と政治家の懐がさらに豊かになり,改革への抵抗がますます強くなった」 こと,「不満や疎外感は存在するが,多くのヨーロッパ諸国やアメリカなら起こったはずの秩序崩壊や暴力沙汰は見られなかった」 ことなどが指摘されている. また,A 級戦犯の合祀が 「欧州の人間にとっては,これはアドルフ・ヒトラーや他のナチ高官を祀り上げるのに等しく」 ということばは,そこに誤解があるかどうかはともかくとして,日本人が理解すべき点だとおもわれる. また,靖国神社のありかたについても読むべき内容がある.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 日はまた昇る@ [bk1]日はまた昇る@Amazon.co.jp

つづく…

2008-02-29

日本人は 50 年以上まえから 「ワーカホリック」 などといわれてきたが,いまや働きすぎは世界にひろがり,フランスでさえも労働時間をふやそうとしている. 日本では過労死さえ頻発している. そういう時代のながれをこの本では数値的にとらえている. しかし,それではどうしたらよいのか? この本では終章が対策の検討にあてられているが,そこでのべられている大半のことは,ずっと以前からいわれつづけてきたことである. たしかに基本は重要だが,もっと現在の状況にあわせた対策をかんがえなければ,問題の解決はおぼつかないだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 働きすぎの時代@ [bk1]働きすぎの時代@Amazon.co.jp

つづく…

2008-03-11

アップル (Apple) はどういう会社か,またスティーブ・ジョブスはどういうひとか,それを新書というみじかい本のなかにうまく書いている. とくに,ジョブスがどうやってアップルという会社をとりもどしたのか,その後どのような戦略をとっているかなど,もしまだ知らなければ読む価値があるだろう. しかし,すでにある程度こうした知識を知っている私にとっては,おさらいにはなったが,いまひとつ,あたらしい発見はなかったようにおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: アップルの法則@ [bk1]アップルの法則@Amazon.co.jp

つづく…

2008-04-03

文化大革命でおおくの中国人がひどい目にあわされたが,この本を信じるならば,その後もべつの意味でひどい目にあわされつづけていることになる. 拝金主義,腐敗をはじめとするモラル・ハザードの極致,その種をまいたのが鄧小平だという. しかし,中国に対する敵意をむきだしにした本がおおいなかで,この本の著者は中国への愛をもって告発している. 中国だけでなく日本のためにも,はやく中国がこういう状態からぬけだしてほしいとおもう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: トンデモ国家@ [bk1]トンデモ国家@Amazon.co.jp

つづく…

2008-04-12

BK1 の内容説明によると 「日本の IT 産業が崩壊の危機に瀕している. 牙を剝くグローバル競争の脅威.富士通,NEC,日立はどう立ち向かうのか.産業構造の変革期にあることを改めて訴え,次の IT 産業を創出するための 「カギ」 を提示する.」 ということだが,実はまったく解決への方向を提示できていない. Amazon.co.jp の書評をみても,意見はまったくバラバラであり,問題の根深さを痛感する. しかし,それはすくなくともこの本が問題点の指摘においては成功していることを意味している.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: IT 産業崩壊の危機@ [bk1]IT 産業崩壊の危機@Amazon.co.jp

つづく…

2008-04-24

著者は農地地価などのデータを入手して,それをみずからコンピュータで分析し,十勝地方に 「特異的に,農業が産業として成立」 していることをみいだした. そして,その謎をとくために現地にでかけて取材している. こうした努力の末に書かれたのがこの本である. この本の最後では国政における自民党と民主党,有権者の行動なども分析されている.

とはいっても,この本がおもにあつかっているのは半導体材料におけるイノベーションである. みずからもかつてつとめていた大企業でイノベーションのたねが死蔵されている状態からぬけだすカギをもとめて,有名なクリステンセンの理論に異をとなえている. とはいえ,物理屋でも半導体屋でもないソフトウェア屋の私には,ここからイノベーションをおこすカギをみつけるのはむずかしい.

評価: ★★★★☆

関連リンク: イノベーション 破壊と共鳴@ [bk1]イノベーション 破壊と共鳴@Amazon.co.jp

つづく…

2008-04-28

マイクログリッドの厳密な定義はこの本にゆずるが,それは従来の電力ネットワークに接続される分散した電力供給者と消費者とで構成される. 家庭の太陽光発電システムもマイクログリッドの一部になりうるが,この本がおもな対象としているのはもうすこし大規模な,企業などの発電システムであり,発電機器としてもマイクロ・ガスタービン,マイクロ・ガスエンジンなどがとりあげられている.

世間では太陽光発電に関しても CO2 が削減されるといった利点ばかりが強調されているという印象をうける. しかし,カリフォルニアやニューヨークでかつて発生した停電は,電力の安定供給がそんなにかんたんなものでないことをしめしている. 分散型の発電がひろまれば,電力系が不安定になるのではないかという私の疑問に,この本はこたえてくれた. ひとことでいえば,これから解決するべき課題が山積しているということである. 理系の私にもわかりにくい技術的な内容をふくんでいるが,おおまかな把握のためにはやくにたつとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: マイクログリッド@ [bk1]マイクログリッド@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-05

Amazon.co.jp や他の書籍サイトで 「電子マネー」 を検索すると,40 冊ちかい本がみつかります. しかし,その大半は 1990 年代に出版されたものです. それらの本と最近に出版された比較的かぎられた数の本の内容をくらべると,わずかしか,かさなりがないことがわかります. この事実が,第 1 世代と第 2 世代のあいだに断絶がある電子マネーの歴史をものがたっています.

つづく…

この本にはその出版後にひろくつかわれるようになった Suica や Edy, おサイフケータイなどに関する記述はない. これらが第 2 世代の電子マネーであるとすれば,この本は第 1 世代の電子マネーに関するものである. 第 2 世代とは非常にことなる,暗号技術に特徴がある第 1 世代の電子マネーが存在したことは知る価値がある. この本ではその問題点もくわしく分析されていて,実際にその一部が第 1 世代の電子マネーの失敗の原因になったとかんがえられる. それを知ることは,今後の技術開発やビジネスにもやくだつかもしれない.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 手にとるように電子マネーがわかる本@ [bk1]手にとるように電子マネーがわかる本@Amazon.co.jp

つづく…

おなじ日経文庫の 「電子マネーがわかる」 が Suica,Edy, おサイフケータイなど,第 2 世代の電子マネーを中心としているのに対して,この本は DigiCash,Mondex など,第 1 世代の電子マネーとそれをささえる技術に関する解説である. ふるびてしまった部分があることは否定できないが,両方あわせて読むことによって,電子マネーをよりよく理解できるとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 電子マネー入門@ [bk1]電子マネー入門@Amazon.co.jp

つづく…

新書のかぎられたページ数のなかで,現在,日本でつかわれているさまざまな電子マネーだけでなく,世界でつかわれている ISO14443 タイプ A,タイプ B にもとづく香港,中国,ヨーロッパなどのさまざまな電子マネーや標準化動向,これらの第 2 世代の電子マネーとは一線を画する第 1 世代のモンデックスやゲルトカルテなどについてもひととおり説明している. 電子マネーの概要を把握するには最適な本だということができるだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 電子マネーがわかる@ [bk1]電子マネーがわかる@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-06

この本では退職後にゆたかな生活をおくるために 40 代,50 代にどのようなそなえをすればよいかが書かれている. 単にカネのことだけでなく,40 代から資格取得をめざすとよいということにまで言及している. しかし,この本を読むと,私に関しては気持ちが暗くなってしまう. 「40 代の転職は退職金で決める」 など,カネのために行動がしばられる話が書かれているせいかもしれない. やりたい仕事があるならこの本の内容は無視してやればよいわけなのだが,「それでは生活がなりたたなくなるよ」 といわれている気がする.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 年金をあてにしない蓄財術@ [bk1]年金をあてにしない蓄財術@Amazon.co.jp

つづく…

読んだことはないが,「1人ビジネス」 に関する本はすでに何冊か出版されている. また,雑誌にはいろいろ紹介されている. この本はいろいろなケースがとりあげられていて,よくまとまっているとおもう. しかし,すでにいろいろ同様の情報があるなかで,なぜいまこの本を出版したのか,よくわからなかった. もっとオリジナリティをはっきりだしてほしかったとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ひとりビジネス@ [bk1]ひとりビジネス@Amazon.co.jp

つづく…

著者は日本の会社に導入された 「実力主義」,「成果主義」,「360 度評価」,「フラット型組織」,「ボトムアップ主義」 をつぎつぎと斬っていく. これらは手本となった国の企業ではうまく作用していたのだろうが,それを国情や社風などのちがいに十分配慮せずに導入したために失敗した例が多々あるのは事実だろう. しかし,この本の論旨には飛躍しているところが多々あるようにおもう. たとえば実力主義は野心家に悪用されるからよくないということが書かれているが,それがどういう条件のもとでおこるかは分析されていない. 全体を通じて感じるのは,きちんと分析しないまま,わるい面ばかりが強調されていて,うまく導入すれば機能する上記の主義たちが不当にけなされているということである.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 御社のトップがダメな理由@ [bk1]御社のトップがダメな理由@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-07

社会学ではフィールドワークが欠かせないが,社会学や社会調査などの本は調査の技術にかたよりがちである. 著者がこの本でつたえたいのは技術でなく,フィールドワークのこころがまえやかんがえかたである. 社会学者でなくてもフィールドワークやアンケートなどの調査が必要になる機会があるだろう. そういうとき,この本が参考になるのではないだろうか. また,これは 「おもてなし」 のこころにも通じているようにおもう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 「あたりまえ」を疑う社会学@ [bk1]「あたりまえ」を疑う社会学@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-09

著者があげている 「5 つの定理」 すなわち 「アントレプレナーシップ」,「チーム力」,「技術者の眼」,「グーグリネス」,「大人の流儀」 はたしかにこれから Web などでなにごとかをしようとするひとが知っておくべきことだろう. しかし,これらは未来よりは過去につながっている. 「未来を切り開く!」 ためには,これだけでは十分とはいえないだろう. これらをヒントにするのはよいが,とらわれないほうがよいようにおもえる. それから,技術者である私の眼には,著者がいう 「技術者の眼」 はちょっとずれているようにおもえる. このあたりは,やはり技術者が書いているものをみたほうがよい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ウェブ時代 5つの定理@ [bk1]ウェブ時代 5つの定理@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-12

Web 2.0 の技術をどのように企業活動にいかすことができるか. 本書はその概論をのべ,ブログ,SNS,Wiki など,さまざまな Web 2.0 の手段について個別に検討してもいる. そこから,いろいろなヒントをよみとることができるだろう. しかし,本書においては現代の企業にとって最重要課題のひとつであるセキュリティに関する検討がまったくおこなわれていない. セキュリティに関する指針がないままでは,企業がこれらの手段をとりいれることはできないだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: エンタープライズ 2.0@ [bk1]エンタープライズ 2.0@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-14

シリコンバレーに滞在する著者は,わかい日本人が海外旅行や海外での仕事などに関して消極的になったことを 「パラダイス鎖国」 と呼んでいる. 「鎖国」 はわかるが,非正規雇用問題,セーフティ・ネットの危機など,さまざまな問題をかかえている日本が 「パラダイス」 だとはとてもおもえない. しかし,著者はいろいろな数字をあげて,日本がさまざまな問題をかかえながらも,まだ大国であり,アメリカよりくらしやすいと書いている.

この本は 「鎖国」 に悲観しているわけではなく,そこからぬけだす道をしめしている. すなわち,シリコンバレーにいるような 「霧の中で見えないものに向かって敢然と進むこと,あるいは,ほかの人には見えないけれど自分だけに見えるものを探すこと」 を積極的にするひとをそだてる必要があるという. しかし,シリコンバレーにはそういうひとたちをつなぐしかけがあることが重要だろう. そこまでふみこまなければ,そういうひとたちがうまれても,すぐにきえてしまうだけではないだろうか.

評価: ★★★★☆

関連リンク: パラダイス鎖国@ [bk1]パラダイス鎖国@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-18