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知的生産とリテラシー:作文・文章技法・添削, 書評:知的生産とリテラシー, 論文:論文のかきかた

不満な点がおおいが,参考になるところもある ― 小笠原 喜康 著 「論文の書き方 ― わかりやすい文章のために」

卒業論文などのかきかたについて何冊も本を書いている著者だが,論文をかきはじめるときには七転八倒すること,途中からかきはじめることができずに頭からかきはじめることなどを告白している. ということは,途中からしか書くことができない私などはこの本からえられることがすくないということかもしれない. たくさん勉強しすぎると自分でかんがえなくなるからよくないという著者のかんがえにも賛成できない.

「論理的思考法」 や 「論理的な議論」 にはっきりした方法がないということも書いているが,演繹や帰納はもちろん推論の方法はさまざまあるのだから,はっきりしているかどうかはべつとして,そういう方法がないというのはおかしいだろう.

文章には 「つなぎ」 が重要という話も書かれていて,それはそのとおりなのだが,文どうしをつなぐのが接続詞だけであるかのように書いているのは不十分だろう. たとえば代名詞やそれに相当する名詞のくりかえしなどもつなぎのやくわりをはたしているはずだ.

というわけで,この本には不満な点がおおい. しかし,この本だけ読むのでなくて,ひとつの意見として読むぶんには参考になる点があるだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 論文の書き方@ [bk1] 論文の書き方@Amazon.co.jp

注記: BK1書評Amazon.co.jp書評 に投稿しています.

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