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新型コロナによる日本の医療崩壊危機の原因は健康保険への過度な依存だ

12 月にはいって新型コロナ患者が急増し医療崩壊の危機が訴えられているが,人々の行動変容はすすまない. 日本の新型コロナ患者は欧米などとくらべるとまだすくないが,それにもかかわらず医療関係者が疲弊し崩壊の危機に瀕している. その原因は,日本の医療が健康保険に過度に依存していることだろう. それを解決するには高額な自由診療の魅力をたかめて,高額所得者がそれを選択するようにすることではないだろうか?

12 月になって日本の新型コロナ (COVID-19) 患者は増加し,医療関係者を中心に医療崩壊の危機が訴えられている. しかし,その訴えや政府・自治体のよびかけにもかかわらず,人々の行動はあまりかわっていない. とくに,患者発生の中心になっている東京では都心の人出があまりかわっていないことが報告されている. その原因はどこにあるのだろうか.

人々の行動があまり変化しないのは,個人にとってのリスクがそれほどおおきくないととらえられているからではないだろうか? 東京をとってみると新型コロナ患者の発生は 1 日に 1000 人程度だが東京都の人口は 1400 万人ほどであり,ここで高止まりしたとすると 1 ヶ月に 1 人の都民が感染するリスクは 0.2% くらい,つまり 500 人にひとりくらいということになる (もちろん,もっと増加する危険はあるわけだが). これはそれほど高いとはいえないだろう. 政府や医療関係者がうったえているように家にこもること,会食を制限することなどは,おおくの個人にとってみれば新型コロナにかかるリスクよりおおきな犠牲をはらうものだということだろう. 私も医療を理由として家族を説得することはできていない.

なぜ感染リスクがそれほど高くないのに医療関係者が新型コロナ患者で疲弊する事態になるのだろうか. 日本の新型コロナ患者は欧米にくらべればすくないのに,欧米とくらべると医療が逼迫するのはなぜだろうか. それは,日本の医療体制がよわいからにほかならない. それがよわいのは,予算がかぎられ,病院の収入がすくないからだ. 予算がかぎられるのはそれがほとんど健康保険料と税金だけでささえられているからだろう. いまの体制のままで予算をふやそうとすれば,保険料をあげるか増税するかしか方法がない. しかし,どちらも困難だ.

新型コロナがなくても日本の健康保険は危機にさらされている. 最近は億単位の費用がかかる高額な治療法や薬が開発されていて,それを健康保険にとりいれるかどうかが議論されている. しかし,いくら現在は症例がすくないとしても,このような治療や薬を健康保険にとりいれれば保険料や国費の負担をふやさなければならなくなり,健康保険はさらに危機的な状態に追いこまれるだろう.

新型コロナのような感染症にそなえるために医療を強化するとしたら,健康保険や税金以外の資金が必要だろう. それは高額所得者にはらってもらう必要があるのではないだろうか. ピケティが実証したように高額所得者への富の集中がすすんでいるなら,医療に関しても高額所得者により多くの資金をだしてもらう必要があるだろう. ところが,現在は高額所得者でも健康保険で医療をうけるようになっている. それは自由診療に魅力がなく,それをためらわせる原因があるからだろう. 高額な自由診療の魅力をたかめ,ためらわせる原因をなくして高額所得者がそれを選択するようにし,病院の経営を改善するべきだろう. 現在,日本でもレクサスのような高級車,ホテルの高級スイートルームほか高額所得者向きに様々なものやサービスが提供されているから,医療でもそういう可能性は十分あるはずだ. 自由診療を希望する患者にはより手厚いサービスを提供し,よりよい治療や入院環境を用意することができる. 健康保険を崩壊させるような高額な治療法や薬は自由診療とすればよい.

そうして,高額所得者がよろこんで自由診療に支出するようにすれば,病院の経営を改善し,新型コロナのような突然の感染症拡大にも対処できる余裕がうまれるのではないだろうか.

2020-12-31 追記:
新型コロナの患者がふえればトリアージの必要が生じる. そのとき,同程度の症状なら自由診療の患者を優先するということがかんがえられるだろう. 健康保険はもちろん,公的支出だけでは新型コロナ対応の病院予算をまかなえないのだから,費用をまかなえるだけの支出をしてくれる患者がもしいればそれを優先するということがあってよいようにおもう.

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