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情報通信博物館:コンピュータ館

Intel の時代は完全に終わった!

Intel の x86 系 CPU は従来の CPU との互換性をたもちながら,さまざまな奇抜ともいえる方法をつかって性能を向上させてきた. しかし,もともとのアーキテクチャは性能をだすのに不向きなので,無理に無理をかさねてきた感がある. 富士通が富岳のために開発した A64FX や Apple の M1 をみると,もう Intel はとても対抗できないだろうとおもえる.

富岳は 2 期連続で世界一を達成したという. その CPU である A64FX は,単に瞬間風速で他をうわまわるだけでなく,さまざまなアプリケーションで高い性能をだしている. その高速性はおもに SVE (Scalable Vector Extension) という富士通が開発した部分によっているわけだが,ベースに ARM を使用したことがその汎用性をささえている.

Fugaku.jpg Apple-M1.jpg

また,Apple は ARM ベースで M1 という CPU を開発し,Mac の最新機種に搭載した. これまでの Intel ベースの Mac にくらべて飛躍的な高速化が実現されたという.

これらとならぶ性能にかかわるニュースではないが,NVidia がソフトバンクから ARM を買い取ったというニュースがながれていた. NVidia が ARM にどうかかわるのかまだ私にはよくわからないが,GPU とのくみあわせを何かかんがえているにちがいない.

これらをみると,もう Intel は ARM に対抗できないだろうというおもいが強くなる. Intel は製造技術の開発でもおくれをとっているようだが,ARM ファミリーが束になって開発をすすめているのに Intel はすべてを 1 社でやらなければならない. いままで x86 のアーキテクチャがつよみになっていたのに,それがよわみになっている.

2021-4-17 追記:
上の内容を書いたときには理解していなかったことがある. 富岳にしても M1 にしても,ARM が用意した CPU をそのままつかったわけではなくて,つかったのは ARM の命令セットであり,内部は独自に開発している. Intel は Pentium Pro 以来,X86 の命令列を RISC 風にかきかえて実行しているが,それはソフトウェアにとってもあまりありがたくない X86/X64 の命令セットを延命するためだ. それに対して ARM の命令セットはソフトウェアとハードウェアのインタフェースとしてより適したものだ. その標準化された命令列をうけとって独自の命令列に変換し,高性能の実行系でそれを実行する. 富岳の場合はそれを Sparc をつかっていた京にちかいやりかたで実行するのだという. M1 も X64 からだと効率的に変換できないかたちに変換・実行することで高性能と省電力を実現しているらしい. いずれにしても,いまのところは ARM が勝利していることはまちがいないだろう. ARM に対抗できる可能性があるのは RISC V だということだ.

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