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政治・法律・憲法:外交・国際関係, 書評:政治・法律・憲法, 地理・地域:西アジア・中東

釈然としないが重大な課題であることはまちがいない ― 内藤 正典 著,「イスラム戦争 ― 中東崩壊と欧米の敗北」

著者は,これまで欧米諸国がイスラムを理解しないまま中東に介入してきたが,そのやりかたが限界に達したことを指摘している. イスラム国に関してもそのテロリズムや情報のだしかたなどに反対しながらも,この問題の理解なしに武力による解決をはかっても成功しないであろうことを指摘している.

イスラムへの深い理解にもとづく著者のこういう主張は貴重なものだが,てばなしでこの本を賞賛しているようにみえるおおくの評者とはちがって,私には釈然としないおもいがのこる. 日本が平和的な手段でのみこの問題にかかわっていくことを著者はもとめているが,自衛権・集団的自衛権の問題は中東・イスラムとの関係だけできめられるものではないし,イスラム国に「宣戦布告」された日本がたたかわない道を選択することが可能なのかどうかもわからない. この本の複雑な論理がおおくの日本人に理解しうるものなのかどうかも疑問だ. しかし,すくなくとも解決するべきおおきな課題をなげかけていることはまちがいない.

評価: ★★★★☆

関連リンク: イスラム戦争

注記: Amazon.co.jp書評 に投稿しています.

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