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文化・教育と学習:クールジャパン・ガラパゴス・オタク・カワイイ・アキバ, 社会・経済:日本の再生と針路

参議院選挙・憲法問題が西洋文化批判,日本の謙虚な世界貢献につながるとよい

この 20 年,日本は停滞していたが,アベノミクスによって経済はうごきだし,政治や文化においてもうごきはじめたようにみえる. しかし,国内の議論は内向きだ. TPP など経済協定においてはもちろんだが,憲法だけをとってみても西洋と東洋あるいは世界への貢献をかんがえるべきだろう. 戦前・戦後をとわずそういう視点があったはずだが,いまはそれが希薄になっているのではないだろうか. 安倍政権,参議院議員選挙,そして憲法改正問題はそういう視点をとりもどすひとつのきっかけになればよいとおもう.

安倍晋三が首相になるまえの日本では,すべてがうごかなくなっていた. いわゆる 3 本の矢によって経済はうごきだしたが,制度的な改革にはまったく手がついていない. それがうごかなくなっているのは,単に日本の制度がかたいからではなくて,世界全体が過去にしばられてしまっているからだろう. それをうごかすのは日本のためだけではなくて,世界のために必要なことなのではないだろうか.

参議院議員選挙の熱い (暑い?) 夏だ. 憲法改正も争点のひとつだが,社民党だけでなく民主党の候補のなかにも,太平洋戦争後に平和がつづいたのは日本国憲法のおかげだからそれをまもらなければならないというような,思考停止したかんがえのひとがいるようにみうけられる. マグナカルタ以来の憲法の歴史は西洋のものだし民主主義も西洋でうまれたものだが,その歴史的なおもみをうけとめつつも,そういう西洋的な価値を批判し再検討するべきときがきているのだとおもう. そういう視点が,憲法に関して保守的な意見をのべる政党・候補者には欠けているのではないだろうか?

自民党の憲法草案がどういうかんがえにもとづいて書かれたものなのかは理解していない. 憲法の歴史をあまりに軽くみているようにもみえる. しかし,すくなくともそこには西洋の憲法を批判するつまり日本的あるいは東洋的な価値観にもとづいてみなおそうという意思がはたらいているのではないだろうか? 日本国憲法 96 条を改正することによって国民の議論を活性化し,憲法とはなにか,日本あるいは東洋において憲法はどうあるべきかというような議論をおこす必要があるのではないだろうか. 諸外国でも憲法を過半数の国会議員の賛成で改正できるようにはしていないということだが,一時的にでもこの条文を改正して日本国憲法をうごかせる状態にすることが,すべてがうごかなくなっている現在の日本をすこしでもうごかすために必要なようにおもえる.

1990 年代以降に日本が元気をうしなうとともに,日本あるいは東洋の文化を西洋と対比し,西洋をこえようという議論もちからをうしなってしまったようにみえる. 憲法問題は憲法の歴史だけでなく,そういう議論の活性化をはかるきっかけになればよいとおもう.

最近おこったことのひとつは富士山の世界文化遺産への指定だ. 近藤文化庁長官は三保の松原の除外勧告をくつがえすために,アジアの文化は西洋とはちがうから世界遺産の指定にあたってもそのちがいを考慮するべきだという議論をして成功したという (「三保の松原をふくむ富士山の世界遺産登録の立役者」 参照). 文化遺産にかぎらずこういう情報を世界に発信していくことは,日本の発展だけでなく,世界に対する日本の貢献だ.

富士山をはじめとする遺産だけでなく,日本には世界に発信するべき,またすでに発信しつつあるさまざまな文化がある. マンガ,アニメ,AKB などもそうだが,ほかにもたくさんあるだろう.

しかし,世界に情報発信するときに,謙虚さはわすれてはいけない. かつて,西洋の列強に対抗するべく富国強兵政策をとり大陸に侵攻した日本軍そして日本人は (満州や中国に出兵したことの是非もふくめて) 合理性とともに謙虚さに欠けていた. いまはあまり語られなくなったが,「エコノミック・アニマル」 といわれた時代の経済進出 (侵攻 !?) もそうだろう. いまもまた,一部にはそういうことがくりかえされているようにおもう.

たとえば,「巨人の星」のインド版がつくられたということそれじたいは歓迎するべきことだろうが,そこには謙虚さに欠ける部分もあるようにおもえる. そのアニメのなかには日本の商品の広告がうめこまれ,インドのこどもにそれをすりこもうとしているようだ. しかも,その担当者がそのことをほこらしく語っているところがテレビにうつされた. これは 「エコノミック・アニマル」 現象であるようにみえる. アメリカなどでそういうことがおこなわれていることが,それを正当化する理由にはならない. ここにも欧米文化を批判的な享受・再検討の必要性があり,かんがえなおしたほうがよいだろう.

謙虚さをもちつつ,単に日本のためだけでなく世界に貢献するために,日本あるいは東洋の文化のすぐれた点を世界に紹介し,ひろめていくことがのぞまれる. トルコ,エジプトをはじめとする中東も,アフリカも,南米も,日本がうごかなくても世界はうごいている. しかし,そこに日本が貢献する道はあるにちがいない.

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