視野のせまい，あぶない議論 ― 加藤紘一著, 「劇場政治の誤算」 (カナダからのブログ)

自民党も社会党・社民党もソ連型社会主義が崩壊した 1980 年代にやくわりをおえた，かわらなければならないと主張する．ところが，著者は自民党をかえようとした小泉・竹中の政治をするどく批判する．彼らは「日本というシステム」を破壊し，地域コミュニティを崩壊させたという．

社会主義の崩壊に言及し，「新自由主義」とアメリカ発の「グローバリゼーション」を批判してはいるが，著者の視点はほとんど日本のなかにとどまっている．地域コミュニティや日本の農業など，国内にもっと目をむけるべきであることはたしかだろう．しかし，「新自由主義」が失敗したからといって「グローバリゼーション」もどこかにきえてしまうわけではないだろう．中国やインドが台頭し，BRICS など，それにつづく国々もあることをわすれた経済政策をたてても，日本をたてなおすことはできないだろう．視野のせまい，あぶない議論だとおもう．

評価: ★★☆☆☆