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「みんなにとっての 20 世紀」 にはなりえない ― 加藤 周一 著 「私にとっての 20 世紀」

最近没した加藤周一を (サヨク中心に ?) たかく評価するひとがおおいので,あらためてその著書を読んでみようとおもった. 20 世紀は最後の何年かをのぞけば社会主義と資本主義との対立の時代だった. だから,「20 世紀」 をタイトルにかかげる本書が社会主義を最大のテーマとしているのは当然のことだろう. アメリカ中心の新自由主義がくずれたいま,もう一度,社会(民主)主義をみなおす必要があり,この本もそれにやくだつかもしれない.

しかし,この本で議論されているのは理念であって,現実の経済や社会をよくみていない. 著者が太平洋戦争に反対してきたのは 「実際の情報に通じていたからではなく,[中略] 価値判断であって,これは事実判断ではなかった」 という. 事実を把握できない状態では事実にもとづかない価値判断をせざるをえなかったということであって,やむをえないことだったのであろう. しかし,著者は現代のできごとについても,知ることができるはずの事実をみないまま価値判断をしているようにみえる. とくに,20 世紀は経済の時代でもあり情報化の時代でもあったのに,それらにほとんどふれないままになっているので,「私にとっての 20 世紀」 ではあっても,「みんなにとっての 20 世紀」 にはなりえないだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 私にとっての20世紀@ [bk1]私にとっての20世紀@Amazon.co.jp

注記: BK1書評Amazon.co.jp書評 に投稿しています.

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コメント (3)

匿名:

誰1人、というか加藤氏自体が一言も提起していない
「みんなにとっての20世紀」なるものを捏造して
「それを書いてない!」・・・★二つ!って・・・
真性のなんとかですね。

書評なんていう大それた事する前に、まずは正確にひとの
本は理解しましょうね。ま、無理だろうけど。
ほんとにアンタの書評はタチ悪いよ。

ま、これからもどんどん書評活動がんばってくださいな!
みんなに陰で嗤われながら・・・(プ)

匿名さん,
 それは私がこの本を理解していないからではなくて,あなたが私の「書評」を理解していないということなんです.とはいっても,みじかい「書評」なので誤解をさけるのはむずかしいとおもいますが…
 ところで,こういうコメントでもそれなりのリアクションだから,Web に「書評」をのせてえられるものはあったということでしょうね.

匿名:

書物に対する最低限の敬意があればあなたのような書評にはなりませんよ。

自分で勝手な曲解した問題設定をして、それに文句を付ける、というのは
繁華街で肩をぶつけてきて、ケンカを売るヤクザと同様の外道の所業です。
自覚がなかったら自覚したほうがいいですよ。

個別的なケースをあげてもいいですか?加藤周一のタイトルにしても、20世紀という
要約しがたいもの、一つの公式ストーリーにまとめあげることが憚られるものを
あくまで「加藤周一」というひとつの視点から追っていくというところがポイントなんでしょう?

それを「みんなにとっての」といういきなり共同体的な視点をもちこんで断罪するというのは
批評というより犯罪です。
みんなの、に回収されない「わたしの」という加藤的視点自体が問題だ、っていうのならいいんですよ。
それこそそういう加藤のスタンスがサヨク的だ!とかいってね。(笑)
それは批評です。でもあなたのは批評ではない。素人が包丁持って歩いているような犯罪です。

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