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政治・法律・憲法

大連立以外に衆参のねじれを解消する方法はあるか?

参議院議員選挙以来,衆議院とのあいだで 「ねじれ」 が発生しています. いま国会では法案がほとんどとおらない状況になっています. この状態を打開するために福田首相は民主党の小沢代表と 1 対 1 で会談して,自民-民主-公明 の大連立を提案しました. この提案はうけいれられず,小沢代表の民主党代表辞任表明,辞任撤回という騒動をまきおこしました (この顛末については 「人間くさい政治ドラマ ― 小沢民主党代表辞任騒動」 という項目でも書きました) が,これで 「ねじれ」 問題はふりだしにもどってしまいました. はたしてこの状況を打開するのに大連立以外にどのような方法があるのでしょうか?

ねじれを解消することがそもそも不要だという意見もあります. たしかに,他国の政治をみてみれば,「ねじれ」 現象はめずらしいことではありません. おおくの国はそれをのりこえてきています. たとえば,アメリカでは上院と下院で多数派がちがっていることがあり,大統領と議会与党とがことなる党に属していることがしばしばあります. フランスではさらに,大統領と首相との所属政党がことなっていることがありました. しかし,こういうマクロなレベルだけみて,だから日本でも 「ねじれ」 があってよいのだと結論するのははややすぎるのではないでしょうか?

2 院制の議会をもつ国はおおいのですが,そのなかで日本の参議院はもっともつよいちからをもっているといわれます. 上院のちからがよわければ,「ねじれ」 があっても基本的には下院の議決によって政治がうごいていくでしょう. 日本でも,参議院で法案が否決されても衆議院が 2/3 の賛成で再議決すればその議決をくつがえせますが,これには弱点があります. 参議院が否決以外の方法をとれば,衆議院が再議決することはできないということです. つまり,参議院が法案を廃案にするか継続審議にしてしまえば,再議決はできません. 参議院の第 1 党が本気で法案の成立を阻止しようとかんがえれば,そういう方法をとるでしょう. そうなったときには,ほんとうに,ひとつの法律もつくることができなくなってしまいます. そういう事態が生じるのは国民の多数が法律の成立をのぞまないときだから法律がつくれなくてもよいのだという議論が Web 上にありましたが,現在は日本が岐路にたたされているときだということをかんがえれば,意見がわかれてもどちらかにきめなければならないことがあるとおもいます.

また,参議院の第 1 党がそこまで断固とした方法をとらなかったとしても,よい方向にいくとはかぎりません. 「ねじれ」 があることによって,提出された法案が国民のまえでとことん議論されるのでよいという意見もありますが,それは無限に時間があったばあいのことであって,かぎられた審議時間のなかですべての法案がとことん審議されるのでは,時間ぎれになって,ばあいによってはておくれになってしまいます.

こうしてみると,大連立という方法の利点がうかびあがってきます. 自民党の中川秀直は 「大連立こそが真の二大政党制時代の入り口となる」 (2007-11-6) において大連立を支持しています. また,制度をかえずに現状をのりきるには相当のくふうが必要だということがわかってきます. どうすれば憲法をかえずに制度をかえることができるかという議論も 「衆参ねじれ現象は大連立しか解消方法がないか?」 (2007-11-7) などでおこなわれています. しかし,民主党において大連立は否定されましたし,制度をかえるという案も時間がかかるので,いまのところ公式にはでてきていません. つぎの衆議院議員選挙がいつになるのかわかりませんが,それまでのあいだは,なかなか困難な道ではありますが,もっとべつの方法を模索する必要がありそうです.

2007-12-1 追記:
衆議院での法案のあつかいに関しては,小池 百合子 の 「女子の本懐」 によれば,「参議院が 60 日以内に議決しない場合は,否決されたものと見なし,[否決されたばあいと] 同様に衆議院に再送付すればよい.」 ということです. 廃案,継続審議との関係はまだ私は理解していないのですが…

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