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PowerPoint によるプレゼンテーションのよい本はあるか?

私の常識に反する会社での PowerPoint プレゼン資料づくり」 には,会社で私がつくった PowerPoint ドキュメントが予想しない方向に改訂されて唖然としたことを書きました. それ以来,おおくの日本人が PowerPoint によるドキュメントやプレゼンテーションについてどうかんがえているのかを知るために,それらに関する本をすこし,しらべてきました. その結果,日本にはプレゼンテーションのノウハウと PowerPoint のつかいかたの両方をバランスよく書いた本がみあたらないこと,アメリカにはそういう本があるけれどもかなりぶあついことなどがわかりました.

私自身,1990 年以前からプレゼンテーション・ドキュメントに関する本を何冊か買ってきました.

  • 三谷 耕司,「ビジュアル・プレゼンテーションの方法」,日本実業出版社
  • 永山 嘉昭,「プレゼンテーショングラフィックス」,日刊工業新聞社

すぐにみつけられたのはこれだけですが,ほかにも何冊か,あったようにおもいます.

これらの本は PowerPoint がつかわれるようになる以前のものです. 私自身は当時は Macintosh をつかっていましたが,プレゼンテーションには Adobe Persuasion をつかうようなっていました. Persuasion は機能的には PowerPoint にちかいのですが,すくなくとも日本語版は buggy だった (よくプレゼンテーション作成中に異常終了した) という記憶があります.

最近,PowerPoint に関する本がてもとになかったので,Amazon.co.jp でしらべました. その結果,つぎのような本を入手しました.

最初の 2 冊はおもに PowerPoint の機能や使用法の説明であり,最後の 3 冊は図解そのものや PowerPoint をつかって図解を表現することに関するものです. PowerPoint をつかったプレゼンテーション全般に関する本もあるのかもしれませんが,適当なものはみつけられませんでした.

「ひと目でわかる Microsoft Office PowerPoint 2003」 は Microsoft Press から出版されていることから想像できるように,ほとんどマニュアルのような本です. プレゼンテーションがどのようにおこなわれるべきか,そのためにはどういうドキュメントを作成すればよいかということについては,ほとんど書かれていません. すでに PowerPoint をつかいこんでいるひとにとっては,参考になる点はすくないものとおもわれます (ただし,PowerPoint をよくつかっていてもその機能をよく知らないひとはおおいとかんがえられるので,そういうひとには見る価値があるでしょう). それでも,「PowerPoint で作成できる図表について」 (第 6 章末尾) というコラムがあって,PowerPoint 2003 でかんたんに図解をつくる方法が紹介されていたりします.

「PowerPoint 実践技 & 上級技大全」 には,マニュアルや上記の本などではめだたない,あるいは書かれていない “高級なわざ” を中心に書かれています. PowerPoint の機能や使用法をひととおりマスターしたひとが,短時間でもう 1 歩ふみだすにはよいのでしょう. しかし,ここにもプレゼンテーションの基本ははっきり書かれてはいません. ただし,つかわれている例はプレゼンテーションの基本にそったものだということはできます.

「PowerPoint の図解が 3 分間で書ける本」 はいきなり図解の話からはじまります. プレゼンテーションにおいて図解は重要なものだといえるでしょうが,そういう導入的な話はいっさい書いてありません. この本で解説されている図解がプレゼンテーションのなかでどのように位置づけられ,どういかされるべきなのかは,この本からはわかりません.

「企画プレゼン 図解の極意」 は企画書における図解のかきかたに関する本であり,他の種類のプレゼンテーションは対象になっていません. したがって,PowerPoint の機能に関するひととおりの説明のあと,「「よい企画書」 とは?」 というところから話がはじまっています. 目的をしぼった本の導入として,これは適切だといえるでしょう. しかし,私は企画書が書きたいわけではないので,ぴったり,きません. また,書きたいのが企画書だとしても,図解だけがわかれば書けるわけではないので,これだけで十分というわけではありません.

おなじ著者による 「攻めるプレゼン 図解の極意」 のほうが本のタイトルからするとより汎用的な目的をもったものだとかんがえられます. しかし,この本のほうがあたらしくて図解のパターンなどに関してはゆたかになっていますが,導入はほとんどありません. タイトルから 「企画」 がぬけているにもかかわらず,この本は 「企画プレゼン 図解の極意」 の続編であり,この本だけを最初に買ってしまったひとは不幸だといわざるをえません.

“PowerPoint 2007 Bible” は “Bible” シリーズの 1 冊であり,それとともに有名な “For Dummies” シリーズとはちがって 1 冊で “まにあう” ように書かれていて,800 ページほどあります. この本も 「企画プレゼン 図解の極意」 と同様に PowerPoint の機能をざっとみるところからはじめていますが,第 2 章はプレゼンテーションの基礎の解説にあてられています. PowerPoint を前提とするのでなく,これからおこなおうとしているプレゼンテーションにどういう手段が適切なのかというところから検討するように書かれています. プレゼンテーションのための部屋のかたちや聴衆・テーブルの配置の代案まで検討されています. PowerPoint の機能やそのつかいかたの説明も 「ひと目でわかる Microsoft Office PowerPoint 2003」 などよりはるかにくわしいのですが,やはり私の目からみるとプレゼンテーションの基礎から書いてあるところがよいとおもいます. ただし,(まだ内容をよく読んでいないので,からなずしもよくわかりませんが) いったん機能の説明にはいってしまうと,プレゼンテーションの基本との関係が希薄になっているようにおもえます. つねにそこにたちもどりながら説明することがのぞましいとおもいます.

日本でも PowerPoint の解説書として,プレゼンテーションの基本に関する検討をおりまぜながら書いた本がほしいようにおもいます. 日本人にはなかなか “Bible” のような本はうけいれられないので,よりすくないページ数のなかで基本的な内容を説明したものがもとめられるとおもいます.

キーワード: パースエイジョン, パワーポイント, プレゼンテーション資料, Aldus Persuasion

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