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2007-08-14

インタラクション

宣言的な GUI 記述

GUI を手続き的に記述するかわりに,とくにその静的な部分を宣言的に記述する方法がいろいろ開発されてきた. そのなかには XUL, Views [Bis 04], Struts, ASP.NET, XAML などがある. これらのおおくは独立に開発されてきていて,相互の関係もあまり明確でなく,また標準化への道はまだみえていない. 限定的な範囲のサーベイとしては Bishop ら [Bis 06], Draheim ら [Dra 06] がある.

脚注

2007-12-08

情報の選択と整理:あふれる情報

あふれる情報

この世界にはさまざまな情報源がある. 新聞,雑誌,テレビ,ラジオなどのマスコミや,書籍,Web,メールもある. 電話には固定電話と携帯電話がある.

我々は,これらの情報源から大量の情報をうけとっている. 新聞からの情報量として,リチャード・ワーマンによれば,「ニューヨーク・タイムズの平日版 の情報量は,17 世紀イギリスの平均的な人が人世の間に得るであろう情報量よりも多い.」 という (リチャード・ワーマン, 2001). またワーマンによれば,雑誌からは 「アメリカ合衆国では,毎年およそ 9600 種のさまざま な定期刊行物が発行されている.」 という (ワーマン, 1989). 日本の雑誌についてみると,9700 種くらいの雑誌があるという (http://www.ndl.go.jp/jp/data/sakuin/sakuin_index.html). 近年,日本ではフリーペーパーがひろく配布されるようになっているが,これは 500 種くらい (http://www.freepapernavi.jp/) あるようだ.

メールについてみると,ワーマンはつぎのようにいっている. 「電子メッセージング協会の試算では,今年 1 億 800 万人のユーザーが 7 兆通以上の電子メールを受け取ることになる.あなたも含め,1 人当たり約 6 万 5000 通の計算だ.」 (ワーマン, 2001)

ワーマンはこういう情報の全体を歴史的に比較して,「最近 30 年間に生産された情報のほうが,それ以前の 5000 年の間に生み出された情報よりも多い.」 といっている (ワーマン, 1989).

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図 さまざまな情報源とあふれる情報

情報の選択と整理:あふれる情報

人間のかぎられた能力

人間が外部からとりこんだり,外部にとりだしたりする,つまり入出力することができる情報はかぎられている. したがって,世界中にあふれている情報をひとりの人間がすべてとりこむのは不可能である. よりおおくの情報をやりとりするためには,人間が生来もっている能力をよりよくいかすことが必要である.

Card は人間の情報処理モデルを提唱しているが,それによれば,人間の情報処理はつぎの 3 つのステップでおこなわれる.

知覚 (入力) → 認知 (記憶・処理) → 行動 (出力)

これはコンピュータやロボットのモデルとおなじである. ただし,コンピュータは情報を出力するだけだが,ロボットは人間と同様に行動することができる.

人間の知覚能力はおもに感覚機能すなわち五感による. それらは,視覚,聴覚,嗅覚,味覚,触覚 の 5 つである.

また,認知能力についていうと,ほとんどの記憶・処理は脳でおこなわれる.

さらに,情報出力に関する能力としてはつぎのようなものがある. まず,人間は声によってことばを出力する. また,図,文字 (ことば) を手書きで出力することもできる. もちろん,手書きのかわりに,熟練すれば手書きより高速なタイプ (タイピング) という手段をつかうこともできる.

これらのかぎられた知覚,認知,行動の各能力をもっといかすには,どうすればよいだろうか?

情報の選択と整理:あふれる情報

人間の能力をもっといかすには?

人間の生物学的な能力は数万年前も現在も,それほどかわっていないとかんがえられる. しかし,現代では文明のちからによって,以前よりその能力がいかされるようになっているとかんがえられる. そうだとすると,人間の能力をもっといかすためのひとつの方法は,ここ数十年のあいだに飛躍的にたかまったコンピュータのちからを借りることである. それはユビキタス・コンピューティング (ubicomp) のかんがえかたである. ユビキタス・コンピューティングについては ... においてよりくわしくのべるので,ここではただ,ふれておくだけにとどめる.

コンピュータのちからを借りて人間の能力をたかめるためには,知覚能力,認知能力,情報出力に関する能力のそれぞれについて検討が必要である.

情報の選択と整理:あふれる情報

知覚能力をいかすには? ― 視覚について

まず,3 つの能力のうち,知覚能力をコンピュータをつかっていかすにはどうすればよいかをかんがえる. 知覚能力のなかでも視覚がもっとも重要な能力だとかんがえられるので,ここでは視覚を中心にかんがえることにする. 視覚がもっとも重要だとかんがえる理由は,人間が一番おおくの情報を知覚できるのは視覚だからである.

人間にとってまず重要なのは文字情報の知覚であるが,文字の認知には逐次処理が必要なので,入力速度は比較的ひくい.

それに対して写真や図などの画像は,直観的に把握することができるので入力速度がはやい. つまり,文字とはちがって図表をつかえば並列処理ができるとかんがえられる. 人間どうしのコミュニケーションでは,とくに印刷をつうじたコミュニケーションにおいては図表や画像がよくつかわれる. コンピュータの出力においてはかならずしも図表がおおくつかわれているとはいえないが,ここでも図表化すれば把握しやすいはずである.

figure_table.jpg
図 図表をつかうことによって把握が容易になる

情報の選択と整理:あふれる情報

どうすれば,ほしい情報をうまく知覚できるか?

selection_arrangement.jpg ほしい情報をうまく知覚できるようにするには,つぎの 2 つの操作をあわせてつかえばよい.

情報の選択
選択とは,あふれる情報のなかからほしい情報だけをとりだすことである.
情報の整理
整理とは,知覚しやすいかたちに加工することである.

右図の 2 つの矢印がこれらの操作に対応している.

ここまでは特定のメディアにしぼらずに比較的一般化した議論をしてきたが,ここからさきはおもに文字情報をあつかうことにする. それは,文字情報が現在コンピュータによってあつかいやすいからではあるが,他の種類の情報についても,ある程度は同様のあつかいができるはずである.

情報の選択と整理:情報の選択・検索

選択の方法

2 つの操作のうち,ここでは選択についてかんがえる. 選択の方法としてつぎのようなものがかんがえられる.

ナイーブな選択
とくに高度な,あるいは系統的な方法をつかわない,単純な選択である. たとえば,パーティでの人や話題の選択などがこれにあたる. メディアからの情報を選択するとき,特定のメディアからの情報だけを知覚すること,たとえば特定の番組や雑誌しかみないというような選択も可能だが,これらもナイーブな選択だということができる.
検索
検索はより高度で系統的な選択の方法であり,ひろい範囲からなんらかの方法で情報をえらびだすことをいう. かつては機械のちからを借りずに検索がおこなわれたが,現代では情報が膨大にあるので自動的な検索,とくにコンピュータのちからをつかった検索が必須になっている. ただし,人力検索もすてがたい. つまり,検索の際に人間の知性あるいは知恵が利用できれば,機械にはできない検索が可能になることもわすれてはならないだろう.
情報の選択と整理:情報の選択・検索

検索の方法

検索の方法についてかんがえる. ひろい意味での分類項目からの検索の方法として,つぎのようなものがある.

カテゴリーからの検索
yahoo_old.jpg Yahoo は現在では検索エンジンをそなえ,またポータルサイトの顔をしているため,本来のすがたがみえにくくなっているが,本来は Web のディレクトリ検索を実験したものである. 右の図は Yahoo がまだこの本来のすがたをはっきりとしめしていた時期のものである. つまり,その基本は人手で WWW 上の情報を分類してディレクトリをつくることが目的だった. 現在でもそれがひきつがれている (現在はどこがちがうか?).
50 音順の配列からの検索
国語辞典,百科事典などでは項目が 50 音順に分類 (配列) されている. 項目ごとに整理されているという点ではカテゴリーへの分類とちかい.

google_old.jpg また,分類項目からの検索とならぶ方法として,テキストからの検索がある. Google (右図参照) によって代表されるのがこれである. つまり,Google においては Web におけるキーワード検索が実現されている. この方法においては “機械的” に Web 情報のインデクスをつくり,それをつかって検索する.

hypertext.jpg もうひとつの方法としてハイパーテキスト検索がある (右図参照). ハイパーテキストとは複数のテキストをリンク (ハイパーリンク) でむすびつけ,リンクをたどりながらテキストをよむことができるようにしたものwである. リンクをたどることによって,目的のテキストにすぐアクセスすることができる. たとえば,WWW のリンクをたどるのがこの方法である. (ディレクトリ検索に似ているが,ちがう. どこがちがうか?)

2007-12-31

セキュリティ

環境管理型アーキテクチャとセキュリティ管理

東 浩紀 [Azu 03] はフーコー [Fou 75] の議論にもとづき,秩序を維持するための機構として近代社会においては規律訓練型アーキテクチャがつかわれてきたが,現代においてはそれが環境管理型アーキテクチャによっておきかえられつつあることをのべている.

現在は国や自治体のレベルにおいて環境管理型アーキテクチャがひろくつかわれるようにはなっていないが,企業などの組織におけるセキュリティ対策や情報漏洩対策においては,すでにこのアーキテクチャがひろく使用されるようになっている. すなわち,セキュリティ・ポリシーとよばれる規則を組織の構成員が自発的にまもるのではなく,それを強制する情報システムが構築され,それによってセキュリティへの脅威や情報漏洩の危険を未然にふせぐようになってきている.

脚注

カテゴリー

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