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セッション制御, 概要

セッション管理プロトコルに関する調査結果

「セッション」という用語は未定義のまま使用されていることがおおく,調査において定義をみつけることは困難だった. ここでは,通信者間で通信状態を保管したままおこなう一連のメッセージ交換の全体を意味する用語としておく.

ただし,OSI 7 層モデルにおけるトランスポート層に関してはコネクションという用語が使用される. たとえば,TCP (Transmission Control Protocol) においては通信状態を管理し,パケットが廃棄されたときは再送することによって高信頼の通信を可能にしているが,この場合もコネクションという用語が使用される. また,アプリケーション層に関してはアソシエーションという用語が使用される.セッションという用語はこれらの中間である OSI 7 層モデルにおける「セッション層」について使用される. IETF のプロトコルに関しては「セッション層」に対応する用語は存在しないが,通常は TCP, UDP (User Datagram Protocol) のすぐ上位の通信状態管理をともなうプロトコルがそれに相当すると考えられる. 具体的にはつぎのようなプロトコルがある.

(1) SIP (Session Initiation Protocol)
おもに電話のような双方向的・対話的なリアルタイム通信の開始,終了,使用するメディアに関する情報の伝達などを制御するためのプロトコルである. (別項参照)
(2) RTSP (Real-Time Streaming Protocol)
インターネット上での音楽や音声,ビデオなどの放送を制御するためのプロトコルである. SIP と同様にリアルタイム通信を制御するが,SIP とちがっておもにマルチメディア・データが単方向にながれるアプリケーションに使用するので,再生 (play), 停止 (stop), 一時停止 (pause) などの機能をそなえている. (別項参照)
(3) HTTP (HyperText Transfer Protocol)
WWW におけるテキストやマルチメディア・データの転送に使用されるプロトコルである. HTTP は SIP や RTSP とはちがってリアルタイム性はうすい. HTTP そのものはクライアントからのメッセージにサーバが応答終了した時点で接続がきれるためセッションの概念は存在しないが,WWW 上でのデータベースへのといあわせなどにおいてはセッション管理が必要なため,HTTP とくみあわせてセッション管理をおこなうための機構が開発されている. (別項参照)
(4) SMTP (Simple Mail Transfer Protocol)
インターネットにおけるメールの転送に使用されるプロトコルである. SMTP も SIP や RTSP とはちがってリアルタイム性はうすい. SMTP においては一連のメールを転送するあいだセッションを維持する必要があるため,SMTP じたいにそれを管理するための機構がふくまれている. しかし,このプロトコルによってあつかうメディアがメールに限定されているため,SIP や RTSP にくらべるとセッション開始時の通信者間の交渉機能が限定されている.
これまでのインターネットにおいてもっとも重要なアプリケーションは WWW とメールだったと考えられるが,これらに対応するプロトコルが HTTP と SMTP である (ただし,メールに関しては,メールクライアントからメールサーバへの転送とメールサーバ間の転送には SMTP が使用されているが,メールサーバからメールクライアントへの転送のために使用されている POP3 (J. Myers, M. Rose: Post Office Protocol - Version 3, RFC 1939 によって IETF 標準になった) や IMAP4 (M. Crispin: Internet Message Access Protocol - Version 4, RFC 2060 によって IETF 標準になった)も重要であり,WWW においては HTTP とともに FTP (A. Bhushan: File Transfer Protocol, RFC 114 によって IETF 標準になった) も使用されている). これらが今後も重要なアプリケーションでありつづけることはまちがいないであろう.
また,インターネットにおいて最近重要性が増してきたアプリケーションとしてインターネット・ラジオや音楽のストリーミングと IP 電話やマルチメディア会議システムがあるが,ストリーミングに使用される IETF プロトコルが RTP と RTSP である (ただし,ストリーミングのセッション制御のために現在よく使用されているプロトコルは RTSP ではなくて Windows Media のための Microsoft 独自プロトコルである). また,IP 電話やマルチメディア会議システムのセッション制御において,これまでよく使用されてきた ITU-T H.323 などにかわって主流となろうとしているのが SIP である.

関連項目

Keywords: OSI 7 層モデル, トランスポート層, セッション層, アプリケーション層, アソシエーション

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