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吉本 隆明 の本を 3 冊,読んだ

3 月 16 日に 吉本 隆明 が死んだ. なまえは知っていたが,いままで著書を読んだことはなかったし,吉本が書くような雑誌はめったに読まないので,文章を読んだこともほとんどなかった. しかし,これを機に何冊か読んでみて,これまでかんがえていたのとはだいぶちがう印象をもった.

吉本の著書のなかでもどの時期のものを読むかで印象がちがってくるのだろうが,やはりいま読むには比較的最近のものをまず読みたくなる. とりあえず読んだ 3 冊は 「吉本隆明のメディアを疑え」 (2002 年),「私の 「戦争論」」 (1999 年),「状況としての画像」 (1991) だ.

まずこれらの本から共通して感じられることは,おおくの思想家が書いたものとはちがって,きわめて平易な文章をめざしているということだ. むずかしい用語・概念や過去の人物のなまえなどはほとんど登場しない. ことばもひらがなを多用し,むずかしい漢字はつかわないようにしている. 出版社の意図もあるだろうが,かなづかいはほぼ共通しているから,そこには著者のかんがえが反映されているのだろう.

メディアを疑え」 は小泉政権のころのものであり,田中 真紀子 外相更迭にがっかりしたことなどが書かれている. 庶民的な感覚だ. 昭和天皇を評価するひとは多いが,この本で吉本も 「昭和天皇というのは天智天皇と並ぶ大皇帝であったとおもう」 と書いている. 著者は過去に書いたまちがいをすなおにみとめつつ,現在 (2002 年) については他人に影響されず大胆に,しかしたぶん慎重に,発言している. そのなかには 「脳死は人の死ではない」 という発言もある. メディアはもちろん,「常識的な」 ことしか書かないおおくの評論家などとは一線を画している.

私の 「戦争論」」 はおもに小林よしのりの 「戦争論」 に対する批判だが,小林よしのりや新しい歴史教科書をつくる会に対する批判だけでなく,戦後民主主義や共産党もあわせて批判している. 「従軍慰安婦」 に関しては日本が謝罪し賠償すべきだといっているが,それに関しては十分に納得できる理由がしめされているとはいえない. 憲法 9 条に関しては護憲派であり,それをなしくずしにした 吉田 茂 を批判している. 日航機ハイジャックで福田首相が 「生命は地球よりも重い」 といって人質を解放したことを 「自民党のやった 「一番いいこと」」 だといっているが,これは理解できない.

状況としての画像」 は,テレビタレントやテレビ番組などに関する評論集だ. 美空ひばりなどを評価し,筑紫 哲也,田原 総一朗 などの 「進歩派」 を批判している. スポーツの話題もあり,昭和天皇の死やその後のメディア等でのあつかいなどもとりあげられている. ここでも視点や完成は庶民的だが,評論に書くためにテレビをみながらいろいろメモをとっていたらしい. そういう努力のたまものなのだろう.

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