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空間内に配置した情報源からの選択とナビゲーション

あふれる情報のなかから,ほしいもの,必要なものをどうやって選択するかということは,情報化がすすんだ現代におけるおおきな課題です. 情報の選択のしかたとして,「情報源の選択 -- “ひと” の選択を中心として」 に書いたように情報源を単位として選択するやりかたがあります. 情報源というのは,特定のひと,特定の新聞・雑誌・放送局などです. ここでは情報源を 1 次元空間や 2 次元空間に配置して,その空間内を移動しながら情報源を選択するやりかたについてかんがえてみたいとおもいます.

情報源が放送局であれば,テレビやラジオで 「選局」 (チューニング, 同調) という操作をする必要があります. ここではこの 「選局」 という操作について,すこしくわしくかんがえてみましょう. 最近ではラジオの選局のためには通常,ボタンをつかいます. ラジオ局ごとにわりあてられたボタンをおせば,すぐにその局につながります. しかし,20 年くらいまえにはツマミをまわして選局するのが通常でした. 私自身は,「FM/AM チューナーのスタイル -- アナログ・チューニング」 に書いたように,いまもこのスタイルにおもいいれがあります. この方法では,放送局が周波数という 1 次元空間にならべられ,ツマミをまわしてその空間を移動していくことによって選局します. 選局の途中では複数の局の音声がまざってきこえる (つまり混信する) こともあり,またバズ音がきこえることもあります. 複数の局がまざるときには,およそ,現在の位置から距離がちかい (周波数の差がちいさい) 局のほうがよりおおきくきこえます. 放送局の位置や順序はむしろ偶然にきめられたものなので,走査する過程にとくに意味があるとはかんがえられません.

テレビのばあいはほとんどその出現時からこのように選局をアナログでおこなうことはありませんでした. チャンネルごとにあらかじめ調整されたなかから,「チャンネルをまわす」 ことによって選局しました. しかし,チャンネルごとに離散化されているとはいっても,1 次元空間上に放送局がならべられていることにかわりはありません. テレビ放送が VHF だけでおこなわれていたときには,チャンネルをまわすことによって容易にすべての局を走査することができました. そのため,おもしろい番組をさがすのにチャンネルをまわしながらちょっとずつ番組をみていくザッピング (zapping) という方法がよくつかわれました.

しかし,ラジオの選局において典型的だったアナログな空間をもっと効果的につかうこともできるのではないでしょうか? 放送局の位置や順序に意味をもたせることができれば,それを走査することにも意味があるはずです. また,情報源を 2 次元空間や 3 次元空間にならべて,ユーザとの距離にしたがって情報を配信することもできます. 一度にひとつずつしか情報源にアクセスできないとしたら,次元数をふやしてもあまり意味はないかもしれません. しかし,近傍の複数の情報源にいっぺんにアクセスできるとしたら (もちろん,それらが分離してみえる / きこえることを前提としていますが),多次元空間に配置する意味があるのではないでしょうか?

私が研究してきた遠隔会話のためのメディア voiscape (ヴォイスケープ) においては,実はこのような情報源の選択を意図していました. voiscape はもともと会話のためのメディアとしてかんがえたものですが,2 次元の仮想空間内にストリーミング音源 (情報源) を配置して,それらのなかからほしいものがえらべるようにすることをひとつの目標としていました. voiscape における情報源の選択について,論文にはあまりはっきり書きませんでしたが,これに関しては特許 (特許公開 2006-025281 「情報源選択システム,および方法」) を出願しています.

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