「情報ボランティア団体」と『VAG』について

95-6-5 版  注意:「**」は一般的/抽象的な用語、『**』は固有名詞(団体名等)です。 1.「情報ボランティア」に関する考察(概念的な整理/分類) 最初に、概念的な話をします。これは、「情報ボランティア」という言葉の使われ 方が、語る人によって千差万別であることに基づく誤解を避けるためです。 兵庫県南部地震の発生以来、多数のボランティアが多用な活動を行ってきました。 その中には、これまでの日本国内のボランティア活動ではほとんど見られなかった、 「情報ボランティア活動」という新しいジャンルの活動があります。 すなわち、従来の情報ルートが機能を停止した被災地内で、必要とされる(であろ うと思われる)情報の収集/流通/配布を主目的としたボランティア活動が行われ ました。そして、被災者/被災地からの直接的な情報発信手段として「パソコン通 信」「Internet」の利用が注目されるようになりました。その延長線として、被災 者やボランティア団体が、「情報ボランティア」に依存することなく、自ら直接に 外部に向けて情報を発信することによりタイムラグをなくす事が提案され、避難所 の数十カ所にパソコンが設置されました。この動きに対応する「支援グループ」= 「ワープロ、データベース、パソコン通信等を、避難所のリーダーに使ってもらう ように手助けするボランティアグループ」も登場しました。 更には、Internet に IP接続された Mac を被災地内に設置・運用するグループも、 現れました。 上記の活動全てが「情報ボランティア活動」、これらの活動を主たる目的として行っ てきた団体が「情報(系)ボランティア団体」、であると筆者は考えています。 ここで、筆者なりの「情報ボランティア活動」の分類整理を行いたいと思います。 今回の救援活動で見られたものは、だいたい以下の5つに分類できるでしょう。 ・活動A:現地情報の実地収集→ネットへの投稿      例)『情報ボランティアグループ』        現地へボランティアに赴かれ、レポートされた多数の方 ・活動B:マスメディア/ネット等で情報を収集→必要と思われる個人/団体への      連絡、リンケージ作業(ダイレクトメール的、特定少数対象)      例)『情報ボランティアグループ』 ・活動C:マスメディア/ネット等で情報を収集→情報種別毎に分類編集再加工      してネットへの再投稿、現地へ配布(マスコミ的、不特定多数対象)      例)『「ニュース!」編集部』        『アトラス計画室』         酒井さん@東大、 ・活動D:被災者・ボランティア団体の情報化の手助け(指導、代理UP等)。      例)『IVNパソコン通信サポートチーム(川村班)』        『WNN(World NGO Network)』 ・活動E:公開の物資/人手/情報の「市場」(交換の場)の提供・運営      例)『震災ボランティアフォーラム』(Niftyserve)        『兵庫県南部地震・提案意見文句愚痴パティオ』(STKさん@Nifty)        『インターVネット』 上記5つの活動を全て行った所、一つまたは複数の活動に専念した所など、「情報 ボランティア(個人/団体)」の活動内容は、まさに多種多様でした。 また、通常のボランティア活動(炊き出し、介護、物資の運搬・仕訳等)を主たる 目的とする団体が、連絡や広報(ボランテイア募集など)のために Networkを利用 した例も多くありますし、被災者自身による情報提供ややボランティア活動への参 加者が体験談を Network 上へ流した例も数多く見られました。これらも、今回の兵 庫県南部地震の救援活動で新しく発生した行動であると言えるでしょう。 例)『神戸市外大ボランティア』 神戸市外大に集積された物資の情報を投稿   『西宮 震災地の声』 西宮市門戸・甲東園地区のミニコミ しかし、これらの行動は「情報ボランティア活動」とは少々異なるものである、と 筆者は考え、この文章の対象からは外してあります。 ただし、これらの行動も、この震災の教訓を語る中で、決して見落としてはならな いことだと思います。別途、記録と評価が必要でしょうが、筆者には語る力があり ません。 2.VAGはどういう団体で、どういう活動をしていたのか。 VAG(ボランティア・アシスト・グループ)は、2月下旬に増澤徹氏と山本ゆう けい氏の呼び掛けで発足しました。設立経緯や当初の目的を、Niftyserve の震災 ボランティアフォーラム 13番会議室への発言(投稿)から引用します。 > 1、ボランティアの余剰感 > >  情報ボランティアグループからの報告にもあるとおり、 > ほとんどの避難所ではボランティアは足りているようです。 > 外大の配送センターもボランティアの募集を終了しました。 > 後述のようなケースを除き、ボランティアの余剰感は否めません。 > 過剰なボランティアが、被災地の自立を遅らしかねません。 > > 2、人手が足りないところ > > ・避難所に入れない方(独居老人など)のお世話 > ・ボランティア団体 > 今さかんに人が欲しいと言ってるのが、避難所でなく、ボランティア団体だ > というのが皮肉ですね。 > また、前者については、にわかボランティアの手に負えるものでしょうか? > 医療関係者や保健婦さん、ケースワーカーといった知識を備えた人の範囲に > なってきます。 > 私も何かのお役に立てればと、「精神保健センターニュース」などに目を通 > しましたが、いい加減な心掛けじゃできないなと思う次第です。」  (山本ゆうけい 2/21 ) > ボランティア支援グループは、このような要求を基に、ボランティアとして > 活動している団体、個人を対象に、人的資源の提供を目指して、設立されま > した。  (増澤徹 2/21 ) すなわち、「ボランティアを支援する団体」として発足しました。その活動予定は > 1.会員の空いている時間を有効に利用し、各ボランティア団体のデータ >   収集、処理のお手伝いをする。 > 2.自発的に各ネットワークに挙がってくる情報を収集、処理し、各ボラン >   ティア団体が使用しやすい形態に編集する。 > 3.会員相互のネットワークを生かし、各ボランティア団体の相互交流、 >   情報共有化のお手伝いをする。 > 4.希望者には現場ボランティア作業(避難所、配送センターなど)の紹介。  (増澤徹 2/21 ) であり、前記「情報ボランティアの分類」の活動を志向していました。 (活動B:マスメディア/ネット等で情報を収集→必要と思われる個人/団体への      連絡、リンケージ作業  活動C:マスメディア/ネット等で情報を収集→情報種別毎に分類編集再加工      してネットへの再投稿、現地へ配布  活動D:被災者・ボランティア団体の情報化の手助け            ) 現在、被災地での情報化推進(活動D)を行うチームが、現地情報のUP(活動A) も並行して行っています。しかし、本来は、活動Aを行う他のボランティア団体に 対し、「代行してネット上で人材募集/人材の供給/後方での情報整理活動」とい った支援を行うことが、VAGの目標でした。 軍隊に例えていうと、VAGは、現地の戦闘部隊を志向していたのではなく、せい ぜい、通信班か(人間の)補給部隊あたりを志向していました。 ところが、実際に走り出してみると、種々の事情から、「マスコミ/ミニコミ/行 政情報/草の根BBSからインターVネットへの生活情報を転載し集積」(前記の 活動C)や、「避難所のパソコン通信支援」(前記の活動D)を、VAGの自主事 業として行うようになり、「ボランティア支援団体」ではなく、立派な「情報ボラ ンティア団体」になっていました。 前記の活動C は、Niftyserve では インターVネット 10番会議室、インターネッ トからはニュースグループ tnn.interv.survivors.life-info で 見ることができます。 今後の活動として、VAGの当初の目的を深耕させ、更に今後の災害発生時に有効 な「情報ボランティア活動」を普及(?)させていくための「VAC構想」もあり ますが、公式発表はまだしておりません。 3.他「情報ボランティア団体」との関係 VAGにかぎらず、この震災をきっかけにしてできた「情報ボランティア団体」に は、名前が類似しているものが多く、また、多くの「情報ボランティア」が個人的 に複数の団体に参加しているため、被災者、通常のボランティア、マスコミ等から、 「どれが何をしてるのかよくわからない」というような意見/批判を受けるケース が多いようです。 このへんの事情について、山本ゆうけい氏の文章を引用します。 > 増澤氏はVAG設立前にIVNの連絡網としての停滞を憂い、IVNの活性化に > ついて、いろいろと提案をされていました。 > 彼はVAGの設立目的に、「支援」他のボランティア団体と積極的に交流し、そ > のことにより、ボランティア団体のネットワークづくりを掲げていました。 > つまり、IVNがなしえなかったことを、形を変えて実現しようとしていたのか > もしれません。 > そして、各団体のメンバーをVAGのオブザーバー会員として、メイリングリス > トへの参加を呼びかけました。 > 従って、「情報ボランティアグループ」をはじめ、他の団体とのメンバーの重複 > は、なるべきしてなったと言えます。 > [以上の部分は山本氏から清水氏への私信からの引用 -- 金田注] ここで、VAGの主要なメンバーが重複して参加している団体と、VAGとの関係 を説明いたします。いろいろな誤解/混同が、少しでも減れば幸いです。 3.1.『情報ボランティアグループ』 このグループの活動は1月25日前後に Niftyserve から発足したのですが、その後 Internet へも活動状況が配信されるようになり(2月1日)、Networker の間では、 かなりの知名度を持つようになりました。 ここは、「物資の供給されていない避難所へ行ってニーズを聞き取り、何を何処へ 持っていくべきかという情報を供給側へ頒布する事」・「Nifty の震災ボランティ アフォーラム等に散在しているる、供給/需要の情報をリンクする事」、を震災の 翌週から3月末まで行っていました。また、被災者の自立を助けるため、『職・生 活情報の提供パティオ』を2月下旬から開設しました。 すなわち、当初の活動は、前記の活動を志向していました。また、従来の情 報ルートが復興するにつれて、活動Cも視野に入れるようになりました。 (活動A:現地情報の実地収集→ネットへの投稿  活動B:マスメディア/ネット等で情報を収集→必要と思われる個人/団体への      連絡、リンケージ作業  活動C:マスメディア/ネット等で情報を収集→情報種別毎に分類編集再加工      してネットへの再投稿、現地へ配布                ) 『VAG』と比較すると、かなり現地寄りであると言えるでしょう。 『職・生活情報の提供パティオ』への情報集積活動が、『VAG』の最初の活動で しし、VAGの呼掛け人の一人である増澤徹氏以下、筆者も含め多数の『VAG』 のメンバーが『情報ボランティアグループ』のメンバーでもあります。 (ありました?) そのため、かなりの方が『VAG』を『情報ボランティアグループ』の別働隊だと 思われていたようですが、組織としては、別の団体です。 3.2.『「ニュース!」編集部』 『「ニュース!」編集部』は、第1号が1月29日前後に発行された、「ニュース!」 という名前の電子新聞を編集/発行していた団体です。この電子新聞は、現地ある いはその近辺でプリントアウト・印刷され、現地に配布されることを想定していた ようで、Niftyserve をはじめ、PC-VAN や インターネットなどに配信されました。 「ニュース!」は、現地の方や、現地にはいったボランティア団体・個人によって、 何度か現地での印刷・配布がおこなわれています (3月半ば頃からは、『編集部』 のメンバたち自身によっても何度か現地での印刷・配布が行われています)。 すなわち、前記の活動Cを志向していました。 『「ニュース!」編集部』は、転載・印刷の際に情報の正確さが損なわれるのを恐 れ、部分的な配布や引用に対し、厳しい制限をつけました。また、「長田区の情報 は西宮の被災者に役立たない」等の批判もあったため、部分的な転載が可能なよう に、途中から分野別・地域別に数十のテーマに分類しての配信に切り替えるなどの 試みもなされました。 同時に、『「ニュース!」編集部』のメンバーの一部は、ネット上での情報の一元 化をはかろうと、個人的な立場で、VAGが行っている「マスコミ/ミニコミ/行 政情報/草の根BBSからインターVネットへの生活情報を転載し集積」する活動 へ協力したりもしました。 (正確には、インターVネットへ集積場所を移行する前の段階から、筆者&情報V  Gが開設したパティオへ、VAGのメンバーとともに生活情報を転載した。) この活動では、『VAG』・『情報ボランティアグループ』とネットワーク上の同 一の場所で、共同作業を行っていました。それゆえ、外部からはこの3団体が同じ 団体であるかのような誤解を受けたりしています。しかし、『VAG』と『情報ボ ランティアグループ』が別団体であるように、また、『「ニュース!」編集部』も 独立した団体です。 現在も、アドバイザー的立場で、VAGに関わっておられる方がいます。 なお、筆者の記述に対し、『「ニュース!」編集部』の坂井さん・池田さんから、 助言・補足を受けましたので、上記文中に反映させていただきました。 また、下記のコメントも引用させていただきます。 > 「ニュース!」の情報源は、主にネットワーク上に流れる公的機関の公報や、マス > コミでしたが、『編集部』メンバが個人的にネットワークを通じて得た情報もあり > ました。その情報を提供したひとの中には当然、先行して活動していた『情報ボラ > ンティアグループ』や、その後発足した『VAG』に属する方もいました。 > >  一般的な傾向として、情報系ボランティア団体は、団体としてそれぞれの独自性 > を保ちながらも、所属する各個人の組織に対する帰属性は非ネットワーク系の団体 > より弱いようにおもわれます。 >  こうなった理由としては、活動場所がネットワークという個人主体の場であった > こと、また、震災当初ネットワーク上で強力なイニシアチブをもつ既存ボランティ > ア団体が存在しなかったこと、などが挙げられるでしょう。 > >  とりわけ『「ニュース!」編集部』はこの傾向が強く、強力なリーダーは存在せ > ず、個々人の発意によってその時々の行動方針が決定されていく、ということがし > ばしば見られました。 3.3.『インター・ボランティア・ネットワーク(IVN)』 IVNの概要説明のため、発足当初からIVNに深く関わってこられた、山本ゆう けい氏の文章を引用させていただきます。 > ◆設立 > 1月下旬、それまで個別に活動し、NIFTYの地震情報に書き込みをしてい > た情報ボランティアグループの岡本氏および外大ボランティアの山本が一度顔を > 会わして、協力関係を話し合おうと計画。 > ネットワークを通じて広く参加を呼びかけたところ、2月4日の会議には、20 > 名を越える参加者があった。 > この時の確認事項は、 > #1、ボランティア団体の協力体制をつくる > #2、名称は「インターボランティアネットワーク(IVN)」とする。 > #3、IVNは各団体の上位組織ではなく、連絡網である。 > #4、連絡場所はNIFTYの震災ボランティアフォーラムの13番会議室とする。 > つまり、この会議がIVNの誕生となった。 > > ◆IVN連絡所の設置 > 三宮にIVNの連絡所が設置された。 > そしてそこにボランティアが集い、活動を開始した。 > この人たちがIVNという「団体」になっていった。 > この人たちの活動は、 > ・ボランティア団体の情報を電子化し、ネットワークにアップする。 > (情報の電子化は行ったようだが、情報の公開は諸処の理由により実現しなかった) > ・生活情報の収集及び避難所への配布 > ・地の利を活かしたボランティア団体の交流の場所の提供 > などであったと思う。 > また、「IVNパソコン通信サポートチーム」のように「IVN」の名を冠した > グループも出現した。 > > 当初「IVNはボランティア団体の連絡網」とうたったこともあり、 > 外部の人の混乱を生む原因となったと思う。 > > ◆「連絡網」としてのIVN > 「連絡網」としてのIVNの成果は皆無であった。 > たまに連絡所で顔を合わし、情報交換を行うという程度であった。 > ボランティア団体は連絡場所としていた13番会議室からも次第に疎遠となった。 > その原因は、各団体が私設のPATIOなどを連絡場所に使い始め、震災ボラン > ティアフォーラムは活動結果の報告にしか利用されなくなった。 > 震災ボランティアフォーラムはボランティア団体が使うには使いづらく、会議室 > 構成の変更の要望もSYSOPの小畑氏の考えには合わず、却下されたことが、 > ボランティア団体が離れていった原因の一つと考えられる。 山本ゆうけい氏は、1月末から2月初頭の段階では、IVNの呼掛け人でした。 しかし、IVNが「実体のない名前」に終始したため、山本ゆうけい氏は、『ボラ ンティア・ハローワーク構想』(2月13日)を経て、増澤徹氏とともに『VAG』 の設立(2月21日)へと行動しました。 3.4.『IVN パソコン通信サポートチーム(川村班)』 上記の『インターボランティアネットワーク』結成後に、名前がついた団体です。 (2月18日に上記名称となった。) もともとは、組織名もこれといって決まっておらず、代表の川村哲也氏を中心に、 メールのやりとり等で情報の交換をしていました。 そこへ、郵政省が絵を書き、実地運用は兵庫県へ委託された、(仮称)『兵庫県震 災ネット』構想が発表されたため、これの運用指導(避難所にパソコン通信できる 人がいるとは考えられないため)を活動目標にした団体です。 そして、結果として『兵庫県震災ネット』の運営を任された格好になりました。 つまり、『IVN川村班』は前記の活動Dを志向していました。 『IVN川村班』の活動は、VAGの当初の目標と共通している部分があります。 (情報化の支援)そこで、VAGからも数名、3月初頭の『兵庫県震災ネット』説 明会に出席し、『IVN川村班』に名前を連ねました。さらに、VAGメンバーの うち数名が避難所のサポートに参加しました。(VAG現地班) また、その縁で知り合ったIVN川村班の方が、VAGにも参加して下さいました。 『兵庫県震災ネット』事務局が閉鎖された後も、『VAG現地班』は引き続き要望 のある避難所/現地ボランティアに対するサポートを継続しているため、『IVN 川村班』と『VAG』が混同される素地はありますが、ここでも、『VAG』が『 IVN川村班』に人材の供給を行っでいる、と理解して欲しいものです。 なお、筆者の記述に対し、『IVN川村班』の川村さんから、助言・補足を受けま したので、上記文中に反映させていただきました。 また、下記のコメントも引用させていただきます。 > 正式に『パソコン通信サポートチーム』という名前がつき、活動を始めたのは、 > 2/18(sat)です。その日に、私と他2名の3名で、兵庫県企画課の“兵庫県震災 > ネット(その時点では、この名前もありませんでした)”の担当者にお会いして > 正式に私たちのグループがサポートされて頂くことになったのです。そして、 > その足で、IVN連絡所に赴き、『パソコン通信サポートチーム』という名前で、 > 正式に“兵庫県震災ネット”のサポートをすることになったことを伝え、それに > 伴い、電話サポートとして、IVN連絡所の場所&電話&人員を提供して頂けること > になったのです。 ...(中略)... > ところで、『IVN川村班』というように、“IVN”が冠についていますが、 > 正式(?)には、『パソコン通信サポートチーム』であり、特に“IVN”をつける > 必然性はありません(特に取る必然性もありませんが(^^;)。 > これは、他のIVNに参加(?)の団体/グループと同じように、IVNという考えに賛同 > し、他の団体/グループと相互連絡・相互協力するということを明確にする意味 > で“IVN”と付けただけであり、他のIVNに参加(?)の団体/グループの“IVN”に > 対するスタンス(?)となんらかわらないと、私自身は思っています。 > > “IVN”とは、今回の各「情報ボランティアグループ(もちろん、個人も含みます > )」間や『VAG』との間の相互連絡や相互協力をしよう、そして、してきた活動 > そのものを指す“概念”であると、私自身、思っています。 > 具体的には、各団体/グループが現状の活動を報告し合い、援助が必要ならば、 > 援助を要請(というと語弊があるかもしれませんが)し、援助が可能ならば、援助 > を申し出る。そして、該当する団体/グループ/個人がなければ、その隙間を埋め > るべく、新たに自発的に活動を行うといったことだと思います。 > これらは、各「情報ボランティアグループ」や『VAG』が行って来た活動、そのもの > であると認識しています。 3.5.インターVネット インターVネットの概要については、金田さん@RWCPの記述を引用させていた だきます。 > > よりおおくの支援者と連絡をとるためには,ひとつのネットワークにアップロードさ > れた情報をほかのネットワークにも転送する必要がありました.ニフティ・サーブを > はじめとする BBS とインターネットとのあいだ,および BBS 間には,すでにメイル > を自動転送する機構は実現されていました.それがまだ実現されていなければ, > ネットワークをまたがる震災関連の情報流通ははるかに困難だったでしょう.しか > し,ニュース記事 / 会議室の発言を自動的に転送することは,まだ実現されていま > せんでした.そのため,震災後,おおくの情報ボランティアが手動による転送を > おこなっていました.このようにしてとくに重要な情報はネットワークをこえて > ながれるようになっていましたが,より密なネットワーク間の > 連絡のためには,これを自動化する必要がありました. > > このようなネットワークどうしの透明な結合を実現したのが > インター Vネット です.インター V ネットは慶応大の 金子 郁容 氏らによっ > てつくられ,ネットワークの透明な結合のほかに,ニフティ・サーブ,PC-VAN など > のパソコン通信における震災情報 (インター V ネットが提供するもの) の > 無償提供を実現しました. > > インター V ネットは,被災者のためのニューズグループ > (生活情報,メッセージ,情報や物資の情報), > ボランティアのためのニューズグループ > (とくに地震関係の募集,一般の募集,応募), > 各種のおしらせ > (インター Vネットから,行政機関・業界団体から,NGO/NPO から,企業から), > 復興にむけての情報交換と提言, > インター V ネットに関する種々の議論, > インター Vネットと BBSとの接続のための技術情報, > 英語によるインター Vネットの情報 > > という 10 をこえるネットワークをこえたニューズグループ/ 会議室を > IIJ のもとにつくりました.これらのニューズグループは,インターネットから > だけでなく,各パソコン通信の会議室としてもアクセスすることができます. 最初の章でも述べましたが、『インターVネット』は、活動E(公開の物資/人手 /情報の「市場」(交換の場)の提供・運営)を志向しています。 上記の、3.2.『「ニュース!」編集部』のところでも述べたように、VAGは インターVネットの【被災地/被災者:生活情報】ニュースグループへの、最大の 情報提供(転載/投稿)団体です。5月28日現在、累計の投稿数は 1,500 を超え、 【被災地/被災者:生活情報】のみならず、他の会議室でも積極的に投稿/転載を 行っています。 VAGのメンバーからは、山本ゆうけい氏が『インターVネットユーザー会』のメ ーリングリストに参加し、また、金田泰氏が『インターVネット』のWWWサーバ ーの作成に参加しています。 3.6.WNN(World NGO Network) WNNの概要については、水野さん@大阪大学の Newsgroup 等への投稿を部分的に 引用させていただきます。 > 「ワールドNGOネットワーク(WNN)・情報ボランティアグループ」 > によるインターネット利用を中心としたボランティア活動プロジェクト > > − プロジェクトの提案と当面の活動内容に関する趣旨説明 − > > 1995年3月19日 > WNN・情報ボランティアグループ > WNN(World NGO Network) Information Volunteers > > プロジェクト名称:NGO組織によるネットワーク利用開発における共同研究 > プロジェクト推進担当者:WNN・情報ボランティアグループ,協力者 > 渉外・管理責任者:下條真司(大阪大学大型計算機センター,情報工学科) > 代表・広報責任者:水野義之(大阪大学,物理学) > 協力者募集期間:当面1995年2月1日より3月30日まで. > 活動期間:当面1996年3月まで. > 電子メイル: ngo@center.osaka-u.ac.jp > > > 1.このプロジェクトの目標とその意義について > > 「ワールドNGOネットワーク(WNN)・情報ボランティア」とは,阪神・ > 淡路大震災のNGO団体による復興ボランティア活動において,今後長期的 > に必要となる関係各方面との協力,情報交換,広報,連絡等の仕事をNGO > 組織が効率的に行うために,情報化のニーズがある団体を側面から支援す > ることを,活動の当面の目標としています. > > 我々はこの目的のために,NGO組織が普段から使い慣れた情報交換の手段 > (電話,FAX,face-to-face)に加えてインターネット上のネットニュー > ス,電子メイル,メイリングリスト,WWW等をも活用して,NGO組織におけ > る情報整理や情報交換,情報入出力,検索サービス等を行なっています. > > このような情報化は,日本のNGOでは,欧米やアジア諸国のNGOに比べて遅 > れています.特に今回の震災で現地に入って活動している民間のNGO/NPO > 団体においては,情報化の余裕など,殆どなかったのが現状です.従って > これを支援するという活動を,我々は情報ボランティアという形で行ない > ます. > > 我々の活動の最終的な目標は,既存のNGO団体のスタッフの要望に応じて, > 組織として直接に電子メディアやネットワークの有効利用が可能となる段 > 階まで,共同作業を通じて協力していくことを考えています. > > このような活動の長期的な意義として想定できるのは,まず第一に,市民, > 市民団体,行政,専門家,そしてNGO/NPO団体の,相互の間の情報の流れを, > 必要に応じて円滑にするために,その一助となることです.また第二に今 > 後の防災活動の一環として,災害時における広域ネットワークの利用方法 > の開発研究を行う事です.長期的には,このような意義が想定されます. > > > 2.このプロジェクトの特徴(関連する他のプロジェクトについて) > > ほぼ同時発生的に,幾つかの情報ボランティア活動が開始され,活動が継 > 続されています.このうち,IVN,InterVnetとWNN について述べます. > > WNNの活動のポイントは,上述のように情報化を必要とする民間NGO団体の > 情報活動における協力,という点にあります.一方で,Niftyserveの利用 > 者を中心とする自主的ボランティア: IVN (インターボランティアネット > ワーク)の活動は,行政の責任者がおられる避難所と外との連係や,被災 > 者に役立つと思われる情報収集,情報発信において,有効に機能してきた > ようです. > > 既存のNGO団体の場合は,その海外活動の経験から,世界への繋がりを常に > 意識していますので,我々の活動においてはInternetの活用が中心課題と > なります.一方 IVN ではやはり接続が容易であるパソコン通信が適切です. > さらに,東京にいても出来る活動としてInterVnetは,その両者を繋ぐ役割 > が,主に意識されているようです(その際の利用媒体は,Internet上の > NetNewsから始まり,さらに今後の展開が期待されます). > > すなわち,避難所と行政と外部をパソコン通信で繋ぐ仕事をIVNが担当し, > 幾つかのNGO団体においてその近隣地域住民と外部をInternetで繋いでいく > 仕事をWNNが担当します.InterVnetは,パソコン通信(IVNはその利用者の > 一部)とInternet(WNNはその利用者の一部)とをつなぐ仕組みを提供する > ものです. > > このような役割分担が,IVN,InterVnet,WNN の関係であると言えそうです. > > 長期的には,WNNのような活動は,Internetを中心とした「ワールドNGO > ネットワーク(WNN)」そのものに繋がって行く可能性を含んでいると考えて > います.これは,海外のNGO団体(アメリカだけで120万団体,世界では > 総計数百万団体にも及ぶ)の一部が既に利用する,既存の電子ネットワーク > の一翼としても,考える事ができるでしょう. > .....(以下省略させていただきます。) この趣旨説明から明らかなように、WNNは前記の活動Dを考えているようです。 WNNの志向する活動は、VAGの当初目標と似通った面があったため(情報化の 支援)、お互いののメーリングリストへ若干名づつが参加し、協力しあっています。 しかし、その志向する方向は、今回の震災からの復興にとどまらず、今後の、社会 全体の情報化を見つめた活動だと言えるでしょう。そういう意味で、VAGの方向 性に対し、多大な影響を与えていますが、メンバーの基盤の違い(WNNはインタ ーネット、VAGは Niftyserve メインでインターネットがサブ)や技術力の差が あり、直接的な協力/協同関係は、まだ、それほどありません。 (謝辞) この文章を纏めるにあたり、以下の方々にご協力いただきました。 ありがとうございます。 岡本さん@情報ボランティアグループ 池田さん@「ニュース!」編集部 坂井さん@「ニュース!」編集部 川村さん@IVN川村班 水野さん@大阪大学、WNN 金田さん@RWCP(Home Page:http://www.rwcp.or.jp/people/yk/home-j.html) 増澤さん@VAG 山本ゆうけいさん@VAG Niftyserve 震災ボランティアフォーラム、情報VGパティオ、川村班パティオ、 「ニュース!」パティオ で発言された多数の方々 インターVネット、メーリングリスト(vag,vag-staff,ngo,quake-vg,eqinfo)に 投稿された多数の方々 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  スターネット株式会社 システム技術部 ネットワーク技術課  清水和佳 (e-mail: kshimz@starnet.ad.jp TEL: 06-220-4448 FAX: 06-233-4871) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

HTML 化 : Y. Kanada

初版 : 95-6-5,最新版 : 97-8-17