調査と解説

VM 型ルータによる省電力化

Wang ら [Wan 07] [Wan 08] は仮想ルータを実ルータ間で移動させることによって実ルータの数をへらし，省電力化を実現しようとしている (グリーンネットワークアーキテクチャへの挑戦)． これは，データ処理における VM (仮想マシン) のマイグレーションと同様の方法による省電力化である．

単純化による省電力化

Juniper Networks は現在のネットワークの複雑さが電力のむだを生んでいることを指摘し，ネットワークの複数の階層で仮想化にもとづく単純化をはかることで省電力化をはかることができると主張している [Sas 08] (Juniper Networks におけるネットワーク仮想化)．

非 IP 省電力プロトコルの開発

南 [Min 08] によれば，IP 前提の省電力化には制約がおおいのに対して，「IP を前提としないセンサネットワークの分野においては自由な発想のもとに様々な省電力化のアイデアが開発されてきている」 (グリーンネットワークアーキテクチャへの挑戦) という． 非 IP の省電力プロトコル (energy-aware protocol) の開発にあたっては，ネットワーク仮想化にもとづくテストベッドが重要なやくわりをはたすだろう．

参考文献

• [Sas 08] 佐宗 大介, “仮想化でネットワークをシンプルにすれば電力消費量は減る”, http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20081118/319510/, グリーン IT フォーラム 2008.
• [Wan 07] Wang, Y., van der Merwe, J., and Rexford, J., “VROOM: Virtual ROuters On the Move”, ACM SIGCOMM '07 HotNets Workshop, November 2007.
• [Wan 08] Wang, Y., Keller, E., Biskeborn, B., van der Merwe, J., and Rexford, J., “Virtual Routers on the Move: Live Router Migration as a Network -Management Primitive”, ACM SIGCOMM '08, pp. 231-242, August 2008.
• [Min 08] 南 正輝, “グリーンネットワークアーキテクチャへの挑戦”, 2006 年電子情報通信学会ソサイエティ大会, BT-1-3, pp. SS-46 - SS-47.