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From: docile@ulis.ac.jp (yasushi -FEEL Mie- ikeda)
Subject: Hisaichi kara (2/19)
Message-ID: 
Sender: news@ulis.ac.jp (bach Usenet News System)
Nntp-Posting-Host: mozart
Organization: Univ. of Lib. & Info. Sci., Tsukuba, Japan
Date: Mon, 27 Feb 1995 05:58:07 GMT
Lines: 166


図書館情報大学の池田です。
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転載元:SuperLinks 地震救援BBS(JISIN2)
転載者:池田 靖(SPL31244 / docile@ulis.ac.jp)
再転載:内容を変えずに、転載元を明示して行うこと。
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登録者   :SPL20078  浮木草                                  
タイトル :被災地より                              
登録日時 :95-02-18 00:35:40                          番 号 :303    


南極ネットより転載

=== <10560> フリートークテント 
NAN*****(南極熊), 95/ 2/16 15:26, 126行, 1(1)コメント
標題: 被災地だより
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被災地だより

パソコン通信が現場で役立つか?>

確かに、各避難所にあって、しかもそこで得られる膨大な情報を整理して的確に求め
る方へお届けできるのなら、それはそれなりに役立つでしょう。ですが、実際問題と
しては、日々の被災者の方々の暮らしのお世話や物資の管理・配給、そして諸問題の
とりまとめや雑務に追われながら三度の食事と睡眠を得るので精いっぱい。とても、
現場でパソコンを悠長に操作している状況ではありません。したがって、相当整理さ
れた状態で、しかも簡単なランダム検索機能を付加しない限り、有効打とはなりませ
ん。また、アクセスノードの数も問題になります。同時に多数のアクセスが出来るホ
ストでないと、アクセス可能時間帯が重なり合うために使えません。無線のパケット
は同時アクセスは一局しかできませんで、この意味でこれも今一つです。また、ホス
トプログラムは登録されているデータの検索機能が弱く、ダウンロードの後で整理し
て独自のデータベースにしないと活用しきれません。本当なら、ラップトップとTNC
(無線で使うモデム)とハンディ機、ポータブルプリンタがあれば、各避難所などを
訪問しているアマチュア局がそれを持ち回り、その場で要望のあった情報を検索提供
できるわけで、結構重宝するのでは、とも思われるのですが。
一般回線のパソコン通信は、電話回線の問題もありまして、初期の段階ではとても利
用できませんでした。一月になろうとする今だから何とか有り難く情報を頂いており
ますが、こちらでそれを整理した上で、プリントアウトして配信しています。インタ
ーネットに関しては、神戸外大は光ファイバーを持っていて直結なので生きていたよ
うですが、そこをノードとして接続している他大学のインターネット回線は不通でし
た。また、初期は回線数確保のために途中で切られたりしていましたので、ニフティ
でもまともに接続し続けてダウンロードするのには一苦労。死亡された方々の名簿一
つ落とすにも往生しました。
また、内部から情報を発信するには打ち込み側の能力が必要であり、アップメッセー
ジを作るだけで相当な時間をとられてしまいますが、その時間が惜しいという状態で
もあります。とても悠長にパソコンの前には座っていられないのです。第一、パソコ
ンが生き残っていて発電機で稼働できた処は僅かでしょう。まぁ我が家もその僅かの
うちに入っていたのですが、前述の電話回線の障害で満足には使えませんでした。加
えて、多くのパソコンが壊れていたということもあります。倒壊・家具転倒などが多
発したのですから、その状況はご想像いただけるでしょう。
以上のようなわけで、パソコン通信は一部の、生き残ったパソコンが活用できていた
利用者にとっては重宝でしたが、情報がそこにダムされるだけで、一般に広く活用さ
れるようなものではありませんでした。私は、役だったというのは利用できた方々の
ひとりよがりの側面があったと思います。ウチでも東灘関連の安否情報をダウンロー
ドし、最寄りの避難所へプリントアウトして届けましたが、あまりに膨大なのでメゲ
てしまいました。このプリントアウトも、お年寄りやメガネをなくした方々のことを
考えると、あまり小さな文字でプリントするわけにも行きませんし。
実は、一方通行ながらパソコン通信よりも能力の大きな情報伝達装置があります。そ
れは無線ファクス。電話は一対一通信のため膨大な数の避難所へ情報を送付するのに
は相当な時間を要してしまいます。ファクスも同様で、複数台の機械を使ったとして
も、避難所の全てに配信する間に日が暮れてしまいます。無線ファクスなら、一斉に
全部のファクスが受信しますから、この心配がありません。アマチュア無線利用のフ
ァクスは相当大きな戦力になるはずです。(特に行政→避難所の情報伝達)
約一月たって状態が落ち着いてきた現在だからこそ、ようやくアクセスして情報を取
捨選択・整理して配布できるわけで、当初は「喰う寝るところに住むところ」だけで
精いっぱいでした。様々なうわさが飛び交う中で、新聞の中から必要な情報を拾い上
げる気力もなく、テレビは避難所で禁止され、と、避難民は情報を得る手段を失って
いましたし、今もその状況が続いています。こんな中で、避難所を回るアマチュア無
線ボランティアが皆さんから問われた時に答えられるようにと、GORDONさんの情報を
活用させて頂いているわけです。つまり、決してそのままそこにダムされれば良いと
いうことではないのです。避難所からの情報・質問が殺到するボランティア本部は、
私からファクスしている情報が非常に役だっていると言います。パソコン通信の情報
は、それを誰にでも分かる形へ置き換えてこそ活用されるのだと思います。

物資・食料・水>

さて、物資については、今回の震災で、被災後どのくらいのタイミングでどのような
品物が求められ始めるか、或いは必要となるかが明確になっています。このケースス
タディをあってはならない次の震災に活かさないといけませんね。ちなみに、幾ら被
災直後でもカンパンは悪評でした。お年寄りは堅くてとても食べられませんしね。ミ
ルクに浸してとか言いますが、ミルクなんて来ると思いますか?。三日目くらいに来
たと思ったら腐らせるしかないほどドカッときた、なんてのが現実です。そして、そ
れが届く時にはオニギリや自衛隊で暖めた赤飯の缶詰めや弁当なども届き始めていま
した。二言目には非常食にカンパンと言いますが、米軍のコンバットレーションを参
考に、優れた非常食を編み出して欲しいものです。これがあれば生き延びられるとか
ってえのは、そんなに長くは続かないものです。なければ諦めるでしょうが、今の都
会の人間はかなり贅沢でカンパンなんか、という一方で、お年寄りはカンパンは噛め
ない、という現実もあったのです。
だいたい、直後〜二日目は非常食で耐え、三日目くらいから暖かいものが求められだ
し、以降だんだんと普通の食事が恋しくなる、という具合のようです。実態は三週間
目ですら夕食がゴッチン飯のまざったオニギリ二個と水、という避難所もあったので
す(業者が被災地向けに量産しているオニギリは本当に「マズイ」)。パンは賞味期
限の切れたものの山ですが、それでも食べてます。食べてますが、避難所では一向に
減らない。三週間パンばかりだったところもありました。学校給食が自校式なら、炊
き出し用具も揃っていることになるのですが、今のセンター方式ではそれも駄目。大
量の食事を作った経験だって必要なのですが、大半の方がそれを知らない。各自がキ
ャンプギアで自分たちの分を調理できれば一番で、食材だけを届ければ良いのです。
そして、調理と言っても湯を沸かしたり暖めたりする程度で済むものが重宝。と、な
るとレトルトパウチが一番、ということですね。レトルトパウチでも、今の既存のも
のよりも内容量の大きなものが欲しいものです。
さらに、長引いてくるとビタミン剤やカルシゥム剤も必要でしょう。壊血病やクル病
といった、昔の船乗りの病気が思い出されます。なにしろ生鮮野菜が皆無ですし、あ
ったとしてもゆっくり食事を摂る暇もありませんから。
避難所での共同生活のために流感の大流行がありました。また、精神安定剤(短時間
型睡眠導入薬)もかなり不足したようでした。医薬品にどのようなものが求められる
か、これで分かります。今回の震災では、医療機関は大打撃を受けながらも初期診療
に尽くされました。また、多くのボランティア医療団体が活動されました。もしこれ
が東京だったら、規模的に完全不足でしょう。140万都市の中心部(夜間人口が少な
い)でこの有り様ですから。
消防や救急、給水車を妨げた狭い道路も問題。セットバックしないのは自殺行為です。
水を配布するのにも、道が狭くて給水車が近寄れなかったりします。都市の地下に埋
設された水道管も問題です。共同溝なら補修・復旧作業が素早かったでしょうに。
予断ですが、高台の避難所の小学校に給水に行くのに通過する住宅地の住民が、目の
前を通りすぎて学校へ行くのはおかしいと抗議した結果、避難所の学校は苦労してリ
ヤカーで水を上げるはめになり、軽自動車はないかと相談が来たりもしました。お年
寄りは重たい水は運べませんから、さらに苦労しておられます。そんなにいつまでも
水が来ないの?といぶかしがられる方もおられるかも知れませんが、地中で水道管が
ズタズタになっていて、ウチに水がやってくる目処は立ってません。舗装を全部剥が
して、本管の全てを配管しなおさないと駄目なのだそうです。
まぁ、神戸をケーススタディとするなら、東京の震災では食料などの援助物資が届く
までの期間は一週間は見るべきだと思います。行政は機能を失いますからね。運が良
ければ三日目中には届くモノもあるでしょうが、悪ければ一カ月近くたっても来ない
ということになります(実際、そうした避難所でない場所が幾つかありました)。四
人家族が一週間、外部の援助なしに生き延びるには、水は標準的に2.5リットル×4人
×7日で70リットルが必要(人間一人が生命保持のために一日に必要とする量が2.5リ
ットル。ただし寒冷地では1.9リットルと、気象条件と活動内容によって変化する)
です。量的に足りないようなら動かないこと。動かなければかなりの水分を節約でき
ます。井戸水が豊富だった神戸はラッキー。東京や福岡だと、水不足が相当深刻にな
り、脱水症状を起こす被災者が続出しそうです。

消防ホースを踏み破った自動車>

被災直後から走り回った自動車。それは、長田区の消防も妨げました。消防のホース
はもともと車を遮断して使うことが前提なので、道路を横断させるのにホースを保護
するような処置はなされませんでした。しかし、あの事態下で交通は遮断されず、ホ
ースはタイヤで踏まれました。結果は‥‥。幾らつないでもホースは破れ、水は現場
に届かなかったわけです。これまた、人災の一面ですか‥‥。

昨日・今日とまた余震が続いていまして、活発化しているような感じです。資産価値
の低下や二重ローンになる苦しみとか、あらゆる現実の苦悩に加えて余震が被災者を
襲っています。そんな中を、皆さん自立に向けて努力しておられます。阪神大震災は
決してまだまだ終わっていません。
                                <南極熊>


=== <10564> フリートークテント  => <10557> -> <10551>
NAN2008(机師匠), 95/ 2/17 00:38, 5行, 0(0)コメント
標題: 十分役立っていると思います>GORDONさん
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     |標題: どこまで役に立つパソコン通信?
あっしもGORDONさんのログをみていますが、「記者発表資料」というのが気になりま
した。記者の手元には渡るでしょうが、内容は紙面にはそこまで細かく載らないので
はないでしょうか。それを補う意味もあるとおもいますよ。
              ...¢ つくえ師匠

-------- ここまで --------


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 M   池田 靖@図書館情報大学 (docile@ulis.ac.jp | net03444@asciinet.or.jp)
ミ‥ミ  My Homepage ... http://ulispsn.ulis.ac.jp:8001/~docile
 (  )〜 このこねこのこねこのここねこ
★明日を待つ気持ちに もう一度だけ賭けてみよう/信じるものに救われる 谷村有美★




編集: 金田 泰 (yasusi @ kanadas.com)
最終改訂 : 96-1-12