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科学・技術・自然アーカイブ

0001-01-01

tetu_bn_161.gif 書評・読書カテゴリーには私が Amazon や BK1 に投稿した書評や,本について書いた文章をあつめています. 以前はすべての書評をひとつのページにいれていましたが,書評の数がおおくなり,書評・読書カテゴリーのページがながくなりすぎたので,書評・読書カテゴリーを分割しました. 書評以外のカテゴリーにあわせて, DIY (日曜大工) とものづくりWeb とインターネットインタフェース,アメニティとデザインセキュリティ・安全・安心と秘密・プライバシー保護メディア・アート・イベント・エンターテイメント仕事と起業心理思想・哲学・宗教情報学・計算・プログラミング政治・法律・憲法教養・教育と学習歴史環境・エネルギー生活知的生産とリテラシー社会・経済言語・コミュニケーションとネットワーキング というように書評を細分するようにして,書評カテゴリーのページにはそれらに分類しづらいものをあつめました. なお,このページは各カテゴリーのページの先頭に表示されるように,意図的に投稿日時を 0001-01-01 00:00:00 としてあります (実際の投稿日時は 2007-11-03 10:39 です).

2009-02-13

こどもとおとなの時間感覚のちがい,仕事と時間感覚との関係などを分析している. どこまで 「科学的」 であるかは疑問だが,著者は 「科学書」 のつもりで書いているらしい. 歳をとって時間のすすみがはやくなったかどうかをアンケートできいているが,ひとによるちがいがおおきいところがおもしろい. 一川 誠 の 「大人の時間はなぜ短いのか」 という本と偶然に同時期に出版することになったのを著者も気にしているが,内容はだいぶちがうので,よみくらべてみるのもおもしろいだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 一年は、なぜ年々速くなるのか@ [bk1]一年は、なぜ年々速くなるのか@Amazon.co.jp

つづく…

2009-04-21

著者は工学が科学ととはちがってアートにちかいものであることを強調する. コンピュータが発達するのにつれて科学的な思考 (論理) が重視され,技術屋が重視してきた視覚的・非言語的な思考 (直観) が軽視されるようになったという. 本書ではこうした技術屋がつかってきた図面・絵・模型などの例を多数あげて解説している. また,「科学」 やコンピュータにたよりすぎたために失敗した例 (橋の崩落など) を分析している.

著者は科学と工学とを対比させているが,数学や物理においても直観や全体的な把握は重要だ. 論理的な思考だけでは全体を把握するのは困難だ. しかし,技術屋のほうが視覚的・非言語的なものをより必要としてきたこともたしかだろう. コンピュータ技術が発展した現在でも,概念図的なものや非言語的なものはコンピュータにとっては苦手であり,おきざりにされやすい. しかし,コンピュータが苦手としているということは従来と同様に人手でやる必要があるということであり,この本に書かれている過去の知識が現在でもいかせるということだろう. 本書はそれをみなおすときに,やくにたつにちがいない.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 技術屋の心眼@ [bk1]技術屋の心眼@Amazon.co.jp

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2009-05-11

「時間論」 ときくと哲学的な内容をおもいうかべる. しかし,本書では哲学や生物における時間の話題はとりあげられてはいるが,ページはきわめてかぎられている. 著者の専門は宇宙論であり,ほとんどのページが物理的な時間,熱力学的な時間にさかれている. 相対性理論や宇宙論が説明されたページのなかには,もちろん時間論と密接に関係する部分もおおいが,直接の関係がない (とおもえる) 部分もすくなくない.

この本のよいところは,熱力学的なエントロピーと確率論的なエントロピー (ということばはつかっていないが) をうまくむすびつけているところである. しかし,「時間論」 というタイトルをつけるからには,もうすこしはばひろい内容をとりあげてほしかったとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 図解雑学 時間論@ [bk1]図解雑学 時間論@Amazon.co.jp

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2010-06-24

粘菌を正面から研究したひととしては南方熊楠がよくしられているが,これとちがって著者は粘菌に迷路をとかせたり,最短経路をもとめさせたりという,ちょっとかわった研究をしている. 迷路などは実際に粘菌をつかってとかせているが,粘菌のふるまいをモデル化してシミュレーションでといているものもある. そのモデルについては数式をつかわずに定性的に説明している. 「知性」 ということばには疑問があるが,いろいろな例をたのしみながら,粘菌について理解をふかめられる,おもしろい本だ.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 粘菌@ [bk1] 粘菌@Amazon.co.jp

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2011-03-17

科学者と一般人とのコミュニケーションについての本だが,理科系の自分にとってはかんがえてもいなかった部分がある. こどもに科学がきらわれていることは感じていた. しかし,この本ではとくに物理がきらわれているが,その理由がそれがむずかしいことにあって,著者の分析によれば物理が論理的であり抽象数学的で知覚との対応がつかないことだという. たしかに相対性理論や量子力学を知覚するのは困難だが,高校までの物理は論理というより直感的なものだとかんがえてきたので,私の理解とは正反対だ. このギャップをどうやってうめればよいかはわからないが,うめるべきギャップに気づかせてくれた.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 科学コミュニケーション@ [bk1]科学コミュニケーション@Amazon.co.jp

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2011-07-09

かつて地震予知は期待される「科学」だったが,しぼんでしまった. この本はそれがなぜ科学として成功しなかったかをおしえてくれるとともに,政治的にはいまだに予知が可能とかんがえられていたときの体制がいまだにくずされていない理由やしくみをあばいている. 原発に関しても地震で被害が生じる危険を指摘している. しかし,津波に関して言及している部分はあるものの,ほとんど揺れだけに注目している. 地震予知をめぐる科学と政治それぞれ,そして両者のかかわりについて,もっともするどく書かれた本だとおもう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 「地震予知」はウソだらけ@ [bk1] 「地震予知」はウソだらけ@Amazon.co.jp

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2011-08-02

このシリーズの他の 2 冊,つまり生物と物理と同様に,各ページの 9 割以上の部分が図でしめられていて,図にものをいわせている. ほとんどの図は説明がついているが,一部,文章による説明がまったくない図がある. 科学にはやはり論理が必要なので,まったく説明がないと 「わかった気に」 はなるかもしれないが,ほんとうに理解することはできないだろう. 物理図録のように適度に文章がくわえられるとよい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 化学図録@ [bk1] 化学図録@Amazon.co.jp

つづく…

このシリーズの他の 2 冊,つまり生物と物理と同様に,各ページの 9 割以上の部分が図でしめられていて,図にものをいわせている. ほとんどの図は説明がついているが,一部,文章による説明がまったくない図がある. 科学にはやはり論理が必要なので,まったく説明がないと 「わかった気に」 はなるかもしれないが,ほんとうに理解することはできないだろう. 物理図録のように適度に文章がくわえられるとよい. (この 「改訂版」 ではなくて 「最新版」 をみてのレビューだが,「改訂版」 の内容見本をみると 「最新版」 との差はそれほどないようなので,あたっているだろう.)

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 化学図録@ [bk1] 化学図録@Amazon.co.jp

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各ページの 7 割以上の部分が図でしめられていて,図にものをいわせている. その点ではこのシリーズの化学や生物と同様だが,化学図録とくらべるとやや文字が多い. 物理のほうがより論理が重要なためだろうが,化学図録のように必要なはずの説明がぬけているようなことがないので,適切だとおもえる.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 物理図録@ [bk1] 物理図録@Amazon.co.jp

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2011-08-15

人体への放射線や放射性物質の影響について,くわしく書いている. 現在の版はチェルノブイリの事故のあとでかきかえられたものであり,とくに,放射線は微量でも有害だという仮説を否定して,微量放射線は無害であり,ガンにかかりにくくなることもあることが書かれている. 最近よくきくシーベルトという単位の定義にも,不適切ではないかと疑問をなげかけている.

福島第一原発事故で放射線や放射性物質恐怖を感じているひとは,この本を読めば安心できるのではないかとおもう. とくに,自然にある放射性カリウムが体内にも 3000 ベクレル相当あるのに対して,もれた放射性物質による放射線はずっとすくないという. しかし,内容は比較的専門的だから,よみやすいとはいえないだろう. この原発事故程度の放射線に危険はないという根拠をよく知りたいひとにはよいだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 人は放射線になぜ弱いか@ [bk1] 人は放射線になぜ弱いか@Amazon.co.jp

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2011-08-31

寺田寅彦の随筆は東日本大震災以来しばしば話題になる. 気になっているところに,まとめなおされて文庫として出版されたので,読んでみた. 内容は津波などの天災とくに関東大震災や国防,流言蜚語,日本人の自然観などに関する随筆集だ. そこではたしかに,著者の科学的知識と日本文化への理解とが調和している. しかし,自分の体験をそのまま書いたり,とくに調査したりせずに記憶にしたがって書いていることが,現代において特に有用なわけではない. どれもみじかい随筆なので,それほど深く追求しているわけでもない. かるいきもちで,過去のひとりの科学者のかんがえかたをなぞり,震災のひとつの記録を読めば,それなりにえるところがあるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 天災と日本人@ [bk1] 天災と日本人@Amazon.co.jp

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2011-12-20

中国は日本とくらべると,いきとどかない点も多々ある. しかし,なにしろ人口がおおいから,すぐれた人材も多い. そういうひとたちとの協力関係を早期にきずけるかどうかがこれからの日本にとって重要だという. 中国の科学技術にはまだいろいろ弱点があるから,それを日本がおぎなえるように協力していけばよいということだ.

あまり注目されていない点に焦点をあてていて,よいとおもうが,この本だけで日本の政策や日本人のかんがえかたをかえるのはむずかしいだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 科学技術大国@ [bk1]科学技術大国@Amazon.co.jp

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2012-03-22

iPS 細胞についてはいろいろなメディアでとりあげられているが,山中教授が論文をなぜネイチャーでなくセルという論文誌にのせたかなど,これまで知らなかったエピソードもとりあげられている. iPS 細胞に関しては周到な特許戦略が練られているが,新津教授の白血病の治療法に関しては特許をとらずに学会発表してしまったために世にだすことができなくなったことが紹介されている. 科学技術そのものだけでなく,こういう特許や賞 (ノーベル賞,イグ・ノーベル賞など) もこの本の重要な話題だ.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ブレイクスルーの科学者たち@ [bk1]ブレイクスルーの科学者たち@Amazon.co.jp

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2012-03-31

並行宇宙論に関する古典といってもよい本だ. 科学者が科学の世界をこえて並行宇宙を語るのはめずらしいことではないが,そのなかでもこの本はおおきく科学の世界を逸脱している. おもしろいことはまちがいないが,このような内容の本をブルーバックスにくわえたことに疑問を感じざるをえない.

一般むけの本だから平易であるべきだろう. しかし,相対性理論や量子物理学という常識をはるかにこえた理論からえられる並行宇宙のイメージがこんなに常識的なものでありうるのかどうかには疑問を感じる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: もう一つの宇宙@ [bk1]もう一つの宇宙@Amazon.co.jp

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2012-07-02

これはことばの誕生をさぐる本というよりは,動物の歌についての本だ. さまざまな鳥の歌の話が中心だが,くじらやガもうたうという話,霊長類のなかでは人間しかうたわないという話などがでてくる. 歌以外でも人間のことばや音楽の構造など,いろいろおもしろい話がちりばめられている. タイトルのとおりの内容を期待するとはずれるが,おもしろい本であることはたしかだ

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 言葉の誕生を科学する@Amazon.co.jp

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2012-07-24

著者は脳神経研究者ということであり,人間の脳の構造などが紹介されている. その後,ミケランジェロ,ガリレオなど,晩年までおとろえることのなかった芸術家や科学者などがとりあげられているが,脳神経科学との関係はあきらかでない. タイトルと 2 つの内容とがバラバラであるように感じられ,著者がそれらを 1 冊にまとめた意図がわからない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 老後も進化する脳@Amazon.co.jp

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2012-09-15

スパコンをしゃぶりつくし (?!) 事業仕分けにも参加した著者による,スパコン開発と事業仕分けに関する本だ. スパコンの歴史についてもひととおり書いてあるし,「京」 の開発についてもこの本を読めばだいたいのことがわかるだろう.

スパコンをものにするには 「2 位じゃダメ」 であり,もっと人材をそだてる必要があると著者がかんがえていることはあきらかだ. しかし,それ以上なにをこの本で主張しようとしているのかは,かならずしも明確でない. 事業仕分けは国の予算を有効につかうことが目的だとかんがえられるが,この本の最後に書いてあるのは 「もっと予算を」 ということでしかないようにみえる. 人材を育成するにはどうすればよいのか,どうすれば予算をもっと有効につかえるのか,というところまでふみこまなければ,スパコン開発を強化することはできないだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: スパコンとは何か@Amazon.co.jp

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2012-10-30

「シュレーディンガーの猫」 がおもしろいのは,量子力学というミクロな世界の奇妙な法則が猫というマクロな存在の生死を不確定にするところだ. ところが,この本であつかわれているのは最後までミクロな世界だ. それを 「猫」 とかさねあわせることで話をおもしろくしようとしていることは理解できるし,ある程度は成功しているともおもう. 量子コンピューティングに興味があるひとなら,興味がもてるかもしれない. しかし,「猫」 のパラドックスがとけたわけでは全然ない. このタイトルはちょっとミスリーディングだ.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: シュレーディンガーの猫@Amazon.co.jp

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2012-11-18

写真が中心だが,かんたんに説明もついているのでよい. 横長の写真をそのままいれているので,すくなくとも iPad では写真を画面の半分にしか表示できない. 下半分はほとんど空白になってしまう. ズームアップした写真はよいが,木全体をうつしたものは花の質感がうまくでない. いまの未熟な Kindle 本 (アプリ) の仕様では,横長の写真は 90 度回転して収録するしかないのだろう. わるいのは Kindle のほうだが,いまのとろ著者がくふうするしかない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 東京桜紀行 April, 2012@Amazon.co.jp

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2012-12-01

基本的にはミトコンドリアの研究を一般向けに紹介した本だが,生活習慣病やガンや遺伝性の病気との関係,老年病や老化との関係,人類や生命の進化との関係など,一般人が興味をもつさまざまな分野に話題をひろげている. ミトコンドリアについても健康や病気についてもあやしげな知識をふりまく本が多々あるなかで,この本は正確さをうしなわずにしかもいろいろなことが想像できるように書かれたすぐれた本だといえるだろう.

評価: ★★★★★

関連リンク: ミトコンドリアのちから@Amazon.co.jp

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2012-12-05

インクジェットによるさまざまな印刷と 3D 印刷に関する本だ. インクジェット・プリンタというと家庭用かつ写真用でコストが高いものというイメージがあったが,最近エプソンが CM しているようにレーザよりコストがやすくて,非常に多様な用途があるということだ. しかし,インクジェットに関してはおどろくような話はない.

むしろ,タイトルにはない 3D プリンタの話のほうがおもしろい. これもこの本ではインクジェットの一種ということになっているが,それはちょっとくるしい. 2 種類のプリンタに関する話題をまとめた本とかんがえたほうがよいだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: インクジェット時代がきた!@Amazon.co.jpKindle 本@Amazon.co.jp

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2013-01-21

韓国,台湾,インドはもちろん,ロシア,南アフリカ,イスラエルなども分析されている. これらの国における科学技術開発の現状をひととおり知るには便利だろう. しかし,たぶん 2 次情報をまとめただけなのだろう. おもしろみ,いきいきしたところなどはまったくない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 躍進する新興国の科学技術@Amazon.co.jp

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2013-01-24

科学理論がきたえられる過程などについて書いていて,それはフムフムと読むことができる. しかし,第 3 章など,とても読みにくい部分がある. 「科学的な 「説明」 には 3 種類ある」 という内容が書かれているが,各項目のはじめには何について書いているのか説明がなくて,最後にやっとわかる. しかし,最後のまとめを読んで読みかえしてみても,まったく頭にはいらない. ついにそこで読むのを断念した. あとは読んでいないからわからないが,すくなくとも教科書よりわかりやすく書いてくれなければ,この種の本に価値はないだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 「科学的思考」のレッスン@Amazon.co.jp

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2013-01-29

やさしい物理の本というと式が書いてなくて定量的な理解ができないものもあるが,この本は定性的な理解だけなら式を追わなくても理解できるし,式を追えば定量的な理解もできるように書いてある. 物理は感覚的に理解することが重要だが,この本では身近な例をあげることで,それをうながしている.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 新しい高校物理の教科書@Amazon.co.jp

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2013-02-02

高校物理をくわしく解説していて,論理的な理解のためには最適な本だろう. ときには親切に,物理に必要な数学にまでさかのぼっているし,微積分もとりいれられていて大学物理へのつなぎもある. 教科書でははぶかれがちな参考情報もいろいろ,もりこまれている. 至れり尽くせりという感じだ. しかし,この本はまったく無味乾燥であり,物理のおもしろさをまったくつたえていないところはおおいに不満だ.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 物理教室@Amazon.co.jp

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2013-02-05

たしかに大学で著者の講義をきいたらおもしろいだろう. ライフルで缶をうちぬいて爆発させるようなことまでするという. 日本ではとてもできない. とりあげているテーマはニュートン力学,虹,雷,宇宙論など,一般人が興味をもつであろうものが多い.

しかし,この本を読んで,どれだけその 「感動」 がつたわるだろうか. この本にはいくつか写真はあるが挿絵はほとんどない. かなり想像力をはたらかせる必要がある. それも物理的な想像力だから,だれもがもっているわけではないだろう. 数式はいっさいでてこないから定量的な理解はできない. それに,量子力学のように物理学として重要だがわかりにくい内容はほとんどとりあげられていない. だから,「これが物理学だ!」 というタイトルは疑問だ !

評価: ★★★☆☆

関連リンク: これが物理学だ!@Amazon.co.jp

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2013-02-06

いきなり誤差の話からはじまり,測定器としてはテスターとオシロスコープしか登場しない. そのあとは抵抗やコンデンサーやオペアンプやセンサーなどを計測しているが,計測の話というよりはそれらの部品の特性の紹介が中心だ. これで,どこが電気計測の基礎をまなぶことができるというのかわからない.

評価: ★☆☆☆☆

関連リンク: 「電気計測」基礎のきそ@Amazon.co.jp

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2013-02-11

測定の原理,誤差,経年変化,さまざまなツールとその使用法など,必要な事項がよくまとめられている. しかし,使用法に関してはまだ十分でないようにおもえる. たとえばダイヤルメータの使用法はほとんど書いてないが,この本は自習本だとかんがえられるから,それも書く必要があるのではないだろうか. 「絵とき」 であるためか写真は 1 枚もないが,絵より写真のほうがよくわかる場合があるようにおもう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 「精密測定」基礎のきそ@Amazon.co.jp

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2013-02-13

「絵とき」 というのにふさわしく,文字はすくなくて図が多い. 説明がほとんどない図があるのは気になる. しかし,図や写真だけでだいたいわかるようになっていて,かつ重要事項がカバーされているようにみえる.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 「機械設計」基礎のきそ@Amazon.co.jp

つづく…

この続編は正編とは独立に読むことができるが,車椅子や魚ロボットなど,より応用的な内容がふくまれていて,正編を補足している. CAD までとりあげられているが,それは CAD/CAM の本を読むほうがよいだろう. 内容はさまざまで,まとまりがないので,正編にくらべると印象はうすい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 続「機械設計」基礎のきそ@Amazon.co.jp

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2013-02-15

ほかの伝熱学の本と同様に,「絵とき」 というよりは数式をつかって伝熱学を説明している. 計算するのに数式が必要なのはもちろんだが,この本であつかっている単純な構造だけではすまない実際の熱設計ではシミュレーションをつかうことが多いとかんがえられる. このシリーズの本のなかでは比較的厚いにもかかわらず,そういう実践にどのようにつながっていくのかがわからない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 「伝熱学」基礎のきそ@Amazon.co.jp

つづく…

旋盤,フライス盤をはじめとするさまざまなツールのつかいかたがよく説明されている. 安全のための章もある. しかし,理論的な説明はわずかしかない. この本には続編があり,そちらのほうが理論的な説明があるので,機械工でなく設計をめざすひとはそこから読みはじめたほうがよいようにおもえる. 一方で機械工にとっては現在では NC の知識が必要だが,それについてはほんの数ページ書いてあるだけだ.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 「機械加工」基礎のきそ@Amazon.co.jp

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機械加工を分類して,本編より体系的に説明している点はよい. NC についても本編よりくわしく説明しているが,CNC にはふれていない. むしろ,手でもつツールのつかいかたなど,手仕事についてくわしく書かれている. 機械にたよらない名人芸をめざすなら,こういう知識やスキルが重要だろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 続「機械加工」基礎のきそ@Amazon.co.jp

つづく…

物理を知らなかったひとには 「面白くて眠れなくなる」 のかもしれない. さまざまな物理現象が数式なしに説明されている. しかし,理科系のひとにとっては常識的なことがほとんどだ. 理科系あるいはそれをめざす高校生などで 「そんなこと,しらなかった」 としたら,かなりヤバいとかんがえたほうがいいだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 面白くて眠れなくなる物理@Amazon.co.jp

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2013-02-16

鋳造と溶接がはじめのほうにとりあげられている点やとりあげられている工作機械にはふるさを感じさせるが,鋳造・溶接はページ数では 10% 強であり,それほど多くはない. 除去加工の基本は現在でもそれほどかわっているわけではないだろう. NC についても記述もわずかだがある. しかし,どちらかといえば骨董品であり,実用をめざすひとが読むべき本ではないだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 機械工作要論@Amazon.co.jp

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鋳造と溶接がはじめのほうにとりあげられている点やとりあげられている工作機械にはふるさを感じさせるが,鋳造・溶接はページ数では 10% 強であり,それほど多くはない. 除去加工の基本は現在でもそれほどかわっているわけではないだろう. NC についても記述もわずかだがある. しかし,どちらかといえば骨董品であり,実用をめざすひとが読むべき本ではないだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 機械工作要論@Amazon.co.jp

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鋳造に 70 ページ以上をあてているが,これは多くのひとにとってそれほど必要な知識ではないだろう. その一方で現在も重要な機械加工は 40 ページしか書いてない. NC にいたっては 1 ページだけだ. 1996 年以降は改訂されていないから,放棄されてしまった本ということだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 基礎機械工作法@Amazon.co.jp

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2013-02-19

レーザ加工の原理から実際まで,ひととおり説明されている. 「絵とき」 というより,加工した結果が多数の写真で紹介されていて,わかりやすい. もはや最新の情報ではないが,ひととおり把握するにはよい本だろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 「レーザ加工」基礎のきそ@Amazon.co.jp

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2013-02-20

さまざまな NC 工作機械が説明されている. CAD/CAM についても記述されているが,説明はかぎられていて,NC 工作機械との関係はわかりにくい. 整理が十分でなくて,見出しはバラバラにみえるし,文章も一部の説明図も論理性に欠けている. 用語もきちんと統一されておらず,おなじものにちがう表現がつかわれていたりする. 説明がわからなくなるほどではないが,気になる点がいろいろあるという印象をうける.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 「工作機械」基礎のきそ@Amazon.co.jp

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2013-02-21

CAD にすでに入門したひとがもう 1 歩さきにいくとき読むとよい本だろう. CAD をどうつかうべきか,またどうつかうべきでないか,いろいろなヒントがある.

評価: ★★★★☆

関連リンク: CADって、どない@Amazon.co.jp

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2013-02-26

最初の 60 ページは概説だが,そのあとの 100 ページは工作機械のカタログだ. ふるい機械からあたらしい機械まで,いろいろな工作機械を知りたい入門者にはよい本だろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 工作機械の本@Amazon.co.jp

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ねじの種類や規格から,さまざまなねじの締めかた・製造法まで書かれている. とくに製造法に 80 ページ以上がさかれ,写真も多数ふくまれている. ねじに興味があるひとは機械にも興味があるだろうから,適切な内容だとおもえる. 個人での機械工作 (ファブリケーション) が普及しようとしているときだから,これから興味をもつひとがふえるのではないだろうか.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 「ねじ」の基礎知識@Amazon.co.jp

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2013-03-09

機械工学のさまざまな分野の基礎が 200 ページほどの本のなかに,うまくまとめられている. とはいえ,各章のタイトルはみな 「機械…学」 となっているが,すこしおおげさだ. 1 章の 「機械設計学」 は実は概論だ. 2 章の 「機械運動学」 はとくに機械の話ではなくて,力学そのものだ. しかし,以下の章は機械工学の基礎について書いていて,ほとんどは古典的な内容だが一部は比較的あたらしい内容もある. Web の URL があちこちで参照されているので,それをみればほんとうに最新の知識にふれることができるだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 新しい機械の教科書@Amazon.co.jp

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2013-03-13

副題からわかるように,著者は 「精密」 な理論の構築をめざしている. しかし,経験的知識が重要な工学において公理にもとづく理論化は無理があるだろう. また,「原理」 とよばれているものはつねになりたつものではなく,「原則」 にすぎない. こういうことばや構成上の問題をべつにすれば,内容は著者の豊富な知識にささえられているのだろう,20 年以上たったいまでも読む価値がある.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: やさしい精密工学@Amazon.co.jp

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2013-03-17

著者は 「創造」 という行為を科学のまないたにのせ,システマティックに実現できるようにしようとかんがえている. 「システマティック」 ということばをゆるく解釈すればもっともなことだが,目的をきめればあとは最適化の問題になるときめつけているのは,はなはだ疑問だ. 「創造」 という行為をあまりにかるくとらえているようにおもえる.

「システム」 といえばおもいだすのはベルタランフィのシステム論だが,この本ではこのような複雑系に関する理論はあつかわれず,システムの複雑さに関する考察は十分でないようだ. アメリカではモジュラーな設計が好まれ,日本ではインテグレーテッドな (干渉のある複雑な) 設計が好まれるというような話でおわっている.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 創造はシステムである@Amazon.co.jp

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2013-03-22

球技や飛行機など,わかりやすい例をつかって物理法則を説明している. 温暖化や原子力の話もいれている. 前半は数式も登場して比較的ていねいに説明しているが,後半はいろいろな話題に振っている. 原子力に関しては原爆と原子炉をいっしょにあつかっているので,誤解の危険もあるようにおもえる. 原子炉に関しては原理はそこそこに危険性の話になるが,もうすこし原理をきちんと説明する必要があるようにおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 物理を知れば世の中がわかる@Amazon.co.jp

つづく…

2013-06-12

いまでも研究者のおおくは,論文を書くまで自分の研究の内容を外にはださない. しかし,物理の論文のおおくは論文誌に掲載されるまえに公開される. 分野によっては研究データを専門家間や一般人にも公開して,集合知によって研究を加速している. この本はそういう,さまざまなオープンサイエンスについての本だ.

この本は 400 ページあり,日本語の本としてはかなり厚いほうだ. しかし,オープンサイエンスのプロジェクトのおおくをとりあげるスペースがなかったという. 実際,これだけではまだどれだけの分野にオープンサイエンスのやりかたが有効なのかよくわからない. オープンでない分野の科学者を説得する材料にはならないだろう. しかし,とりあげられている例は興味ぶかく,今後の発展が期待できる.

評価: ★★★★☆

関連リンク: オープンサイエンス革命@Amazon.co.jp

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2013-07-09

ウォシュレットの開発者が,ウォシュレットだけでなく,便器を中心とする TOTO (東洋陶器) のさまざまな製品について書いている. ウォシュレットはアメリカや中国にも売りこんでいるが,その開発過程はガラパゴス的なものだったことがわかる. インドには必須の商品だとおもえるのだが,まだインドで大売れする商品からはほどとおいのだろう. 参照: ガラパゴスから脱出する? シャワートイレ (ショートブック)

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 世界一のトイレ@Amazon.co.jp

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2013-12-30

タイトルからすると 3D プリンタについての記述が中心であるべきだが,実際にはプリンタじたいについての記述は 20 ページくらいしかない. 大半のページは 3D モデリングにあてられているから,あまり適切なタイトルではない. モデリングに関する本はすでにいろいろあるが,3D プリンタを意識したモデリングの本はすくないことをかんがえれば,存在価値はあるのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 3Dプリンター実用ガイド@Amazon.co.jp

つづく…

2014-02-04

ユーザーによるイノベーションに関するさまざまな研究をまとめた本だ. 先進的なユーザー (リード・ユーザー) はメーカーがかんがえないような製品の改良をし,それを無償で公開する. この本にはさまざまな種類の製品がとりあげられているが,もっともくわしく書かれているのはソフトウェアだ. Linux をはじめとするオープンソース・ソフトウェアは 「先進的ユーザー」 によって開発されたものだ.

そこまではよいが,そういう 「ユーザー」 は同時にメーカーでもある. この本ではユーザーとメーカーとの境界がはっきりしないままくべつされているようにみえるし,さまざまな種類の 「先進的ユーザ」 が分類されないまま論じられているようにみえる. そのため,本の厚さのわりには内容がうすいようにおもえる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 民主化するイノベーションの時代@Amazon.co.jp

つづく…

2014-02-22

「コンストラクタル法則」 についての本であり,タイトルのとおり一応は物理の本なのだろう. しかし,通常の物理とはちがって演繹的には書かれていない. この本を読んでも 「コンストラクタル法則」 がなにものであるのかも容易にわからない. いろいろな例がとりあげられているが,どれも中途半端なのでよくわからない. なのでフラストレーションがたまる. 「コンストラクタル法則」 は物理現象だけでなくて生物や社会のさまざまな現象を説明するものなので従来の物理のやりかたでは書けないというのはわかるが,もうすこしうまく表現する方法を確立する必要があるようにおもう. しかし,セル・オートマトンなどとともにあたらしい物理学のありかたをしめしているのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 流れとかたち@Amazon.co.jp

つづく…

2015-03-13

著者はテクノロジーの進化を生物の進化にちかいものだとみている. 生物の進化と同様にテクノロジーの進化は人間が制御できるものではないということだ. 納得できる点もあるが,テクノロジーの進化はたとえば研究予算に依存しているから,制御できる部分もあるとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: テクニウム

つづく…

2015-03-30

自動化された「機械」は「機械中心」に設計されていて,人間の特性を無視している. その機械を監視するのは人間にとって苦痛でしかないし,たまに機械がヘマをしでかしたときにうまく対応できるかどうかわからない. この本はそうではなくて「人間中心」でなければならないと主張している. そうすることで人間にとって労働は余暇よりたのしいものになる. この本をこれからも機械中心で機械につかわれる「オートメーション・バカ」がふえるというふうに悲観的に読むこともできるが,「人間中心」に変えればそうでなくなるというふうに読んだ方がよいだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: オートメーション・バカ

つづく…

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