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政治・法律・憲法:災害と政治, 政治・法律・憲法:菅直人内閣

“原発推進” にブレたがもどった菅政権

菅政権は浜岡原発停止を要請したあと,ほかの原発に関してはこれまでどおりのあつかいを継続する方針をきめた. その方針にしたがって,いったんは玄海原発の再稼働をみとめることにして,地元もそれにしたがって再稼働をみとめる方向になった. ところが,菅首相は突然,再稼働のまえにストレステストをおこなう方針をうちだした. これではこの夏とつぎの冬の電力を確保することがむずかしいといって批判されている.

たしかに,唐突にストレステストの実施がうちだされるのはおかしい. しかし,福島第一原発の事故があったにもかかわらず見直しをしないまま原発の再稼働をみとめることにむしろ疑問がある. ストレステストの導入はむしろ,“原発推進” にブレていた政策を本来の方向にもどしたということであり,適切な変更だといってよいだろう.

浜岡原発の停止要請や玄海原発の再稼働許可がどういういきさつできまったのかは知らない. しかし,その他の言動までふくめてみると,菅首相は電力不足が産業におよぼす影響よりも原発の安全を重視していること,海江田大臣は産業への影響のほうを重視していることがみえてくる.

ストレステストの件がはじめから閣内で議論されていれば唐突にでてくることはなかっただろうが,原発の安全を確保するための方法について十分に議論しないまま再稼働にふみだしたから,このような事態になったのではないだろうか.

菅首相と海江田大臣とのあいだにギャップがあったことはまちがいないだろう. 海江田大臣はやはり菅首相をささえるべき立場なのだから,菅首相が原発に慎重な態度をとっているなかでは,菅首相自身の発言にかかわらず (再稼働をしぶしぶみとめたとしても),再稼働にもっと慎重であるべきだったのではないだろうか.

内閣はストレステストを実施すること,再稼働はストレステストとはきりはなすことをめざしはじめたようだ. しかし,ストレステストをおこなわないままの再稼働は安全上の疑問がのこる. 政府がそれをみとめてもそれをみとめない自治体がでてくることは当然,予想される. 再稼働がストレステスト後になって電力が不足する事態に政府はそなえるべきだろう.

2011-7-11 追記: 結局,政府は再稼働はストレステスト後ときめた. すじのとおらない再稼働を住民・国民はみとめないだろうという判断なのだろう. 原発再稼働はもちろん,ストレステストが実施されるのも菅首相が辞任したあとになるだろうが,もはやあともどりはできないだろう.

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