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「スイッチ・ファブリック」 ということばの意味と日本語 Web サイトでの定義の不適当さ

ネットワーク機器やネットワーク機能をもつ LSI などの構成要素のひとつに 「スイッチ・ファブリック」 がある. これまでこのことばを無反省につかってきたが,このことばをつかうべきかどうかを検討する必要にせまられて定義をしらべたところ,あまり明確に定義されていないらしいこと,そしてとくに Web 上での日本語による定義が不適当であることがわかった. しらべたことをここに書いておくことにする.

しらべたなかでもっともそれらしい定義はつぎのようなものだ.

Switching fabric is the combination of hardware and software that moves data coming in to a network node out by the correct port (door) to the next node in the network. (SearchStorage.com definition: Switching Fabric)

つまり,ネットワーク・ノード間でデータ転送するためのソフトウェアとハードウェアのくみあわせということだ. ここで 「ネットワーク・ノード」 ということばは装置を意味するというよりは,もっと数学的な概念としてのネットワークの結節点 (vertex) とかんがえたほうがよいだろう. ノードどうしがみじかい経路でむすばれるように,多数の線 (edge) でむすぶ. N 個のノードのあいだをすべてむすぶと N (N - 1) / 2 個の線が必要になるが,これだけ多数の線をはるのは現実的でないことがおおい. 多数の線があると布や座布団のようになるので fabric ということばがつかわれるのだと私は理解してきた.

最初に検索したのは日本語だが,そうしてでてきたのはつぎのような定義だ.

スイッチの内部メモリでフレーム伝送に利用される帯域の幅でbpsで表す。 内部バス速度、バックブレーン、スイッチング容量とも呼ばれる。スイッチの評価においての基本的指標として用いる。 (goo 辞書 スイッチングファブリック)

スイッチング容量は、「バックプレーン容量」 や 「内部バス速度」 「スイッチングファブリック」 などと表現されることもあります。 (Network:Study スイッチの処理性能)

最初のはスイッチング・ファブリックの定義,2 番めのはスイッチング容量についての記述だが,どちらも不適当だ. 速度や容量をあらわすことばと,バックプレーンそのもの,スイッチング・ファブリックが同一のものであるはずがない. Web 上でも Wikipedia などは比較的信頼できるが,「…辞書」 をなのっているサイトでもこのような不適当な内容が書かれている. スイッチ・ファブリックにかぎらず,日本語のサイトの用語定義には非論理的なものがおおいから,要注意だ.

それから,ここではスイッチ・ファブリックとバックプレーンがならんで登場するが,これは機器の設計によってバックプレーンがスイッチ・ファブリックをふくんでいるばあいと,スイッチ・ファブリックが独立のボードになっているばあいとがあるようだ. 後者のばあいは両者を混同してはならないということだ.

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