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環境・エネルギー, 政治・法律・憲法:菅直人内閣

原子力発電を中心とした,日本の発電に関する選択肢

日本で必要とされる電力を確保するために,原子力発電に関してどのような選択肢をとるべきだろうか. ここではその選択肢をあげてみたい. 現実的な選択肢は第 2 または第 3,つまり,運転中の原発は浜岡のような例外をのぞいて継続をみとめるが,既存の原発もふくめてあらたな稼働はみとめないか,もしくは既存の原発の再稼働はみとめるがあらたな建設はみとめないという選択肢だろう. どちらのばあいも当面は 15% くらいの節電をすればよいが,今後 10 年くらいのあいだに太陽光や風力などの代替エネルギーをどれだけ必要とするかがことなってくる.

第 1 の選択肢は,原子力発電に関してもっとも根本的な変化をもとめる選択肢,つまりただちにすべての原子力発電所をとめるというものだ. 福島第一原発の事故で原子力の安全性に疑問が生じた. この選択肢は,安全性が確保されるまで,あるいはそもそも原発は安全ではないから,ただちにすべての原発を停止するべきだというものだ.

菅首相は浜岡原発の停止を要請したが,おなじようにして政府がすべての原発の停止を要請するというのがそのためのひとつの方法だ.

この選択肢をとるばあいには,大幅な節電はもちろんだが,広範な工場の操業停止をおこなわなければ,突然の停電をさけることはできないだろう.

第 2 の選択肢は,あらたな原発の稼働をみとめないという選択肢だ. この選択肢においては,現在稼働している原発に対しては,非常時の電源確保など,できるだけの災害対策をとりつつ運転していく. しかし,点検などで停止したあと再稼働するかどうかをきめるときには,万全な安全性を確保する,あるいはそれができないのならその時点で廃炉にする. 安全を確保するには,交換が困難な部分が劣化していないか,耐震性・耐津波性などを考慮する必要がある. おこりうる災害のひとつとしてテロもあるから,それに対する対策も重要だろう.

政府がこのような選択をすることもかんがえられるが,原発の地元で稼働に対するつよい反対があれば,このような選択肢をとらざるをえないだろう.

この選択肢をとるばあいには,いまただちに急速に発電量が減少することはないが,短期的には 15% 程度の節電を継続しつつ,長期的には停止する原発にかわる自然エネルギーなどを,いそいで確保していく必要がある.

第 3 の選択肢は,あらたな原発の建設をみとめないという選択肢だ. この選択肢をとるケースはいろいろあるだろうが,ありそうなひとつのケースは,建設時における原発の安全基準に関して専門家や国民の合意をえることができず,基準がないまま建設をみとめることができないというケースだ.

この選択肢をとるばあいも,第 2 の選択肢と同様の短期的および長期的な対策をとる必要があるが,代替エネルギーに関する要求は第 2 の選択肢よりゆるやかになる.

第 4 の選択肢は,東日本大震災のような大災害にもたえる安全基準をつくって,それをみたす原発の建設をみとめるという選択肢だ.

安全基準は政府がみとめる必要があるが,専門家はもちろん,国民がそれに納得する必要がある. しかし,福島第一原発の事故によって,原発で発生しうるあらゆる突発的な事態にあらかじめ対処しておくことは困難であること,また,いったん問題がおこると対処することがきわめて困難になることがわかった. 原発におこりうることは自然災害だけでない (たとえばテロもありうる) ことをかんがえれば,安全基準をみたせばあらたな建設をみとめるというかんがえかたに広範なコンセンサスがえられるとはおもえない.

この選択肢をとれば,原子力発電をベースとし火力・水力によって需給のバランスをとっていくという現在の電力インフラを基本的に維持していける可能性がある. ただし,おおくのひとが納得するであろう安全基準は 1000 年に一度の地震や津波にもたえる設計をすることであり,建設場所によっては,そのためのコストは膨大になる可能性がある. また,浜岡のような場所にはふたたび原発を建設することはできないだろう.

2011-6-29 追記: 上記の項目を書いているときに誤解していた点がひとつある. それは,点検のために停止した原発を再稼働させることができないと,1 年以内にすべての原発が停止してしまうということだ. つまり,現実的な選択肢は実は第 3 しかないということだ. きちんと基準がしめされるまで再稼働させないという選択肢をとると,来年には産業の危機がやってくるということだ. もうすこし余裕がなければ,この危機をのりこえるのはむずかしいだろう.

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