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科学技術開発をインフラ整備と同列にあつかう事業仕分け

政府の事業仕分けで科学技術予算も大幅にカットされた. スーパーコンの予算化みおくりが最大の話題になっているが,他の予算も大幅にカットされている. 事業仕分けによって省庁間にまたがる事業のみなおしが可能になり,全体としてはおおきな効果をあげているのはたしかだ. しかし,とくに科学技術予算に関して予算を削減する理由をみてみると,いくつか,おおきな問題があることがわかる.

Shiwake0911.jpg 第 1 の問題は,科学技術に対して,インフラ整備などとおなじようにすぐに効果がでることを期待しているようにみえることだ. つまり,すぐに効果がでないから廃止ないし削減しようという論理だ.

インフラを整備すればすぐにつかえるようになる. 道路が完成すればすぐにくるまがとおれるようになる. 実際に予測したとおりの台数がとおるかどうかはわからないが,予測した効果がえられなければ事業は失敗だったと判断することができる.

これに対して,科学技術予算は効果がすぐにみえるものではない. 予算削減に反対する意見にもみられたように,その効果は 10 年,20 年さきにあらわれる. すぐに効果がないからといって廃止したらもちろんのこと,さきのばししただけでも,研究におおきな打撃をあたえる可能性がある. つまり,予算がつかなければ研究が停滞して,競争にまけてしまうだろう. その結果,あとでおおくの予算をつけても,もうまにあわないという可能性がある.

第 2 の問題は民間によりおおくの研究費を負担させることによって,国の負担をへらそうという主張にある.

文科省などが会議に提出した資料にもあるが,民間が積極的に支出するのは応用研究だ. 基礎研究は将来の事業拡大に効果があるとしても,民間企業には容易に手をだせない. したがって,そういう事業には国の予算が必要だ. 経済がうまくいっているときなら,そういう事業に民間も 3 割,5 割の投資をすることも可能だったが,現在の状況では 1 割も支出することはできないだろう.

NEC のスーパコン研究からの撤退にみられるように,民間に支出をもとめれば撤退という選択をせざるをえなくなり,国の予算も有効につかわれなくなるばあいがでてくるだろう. そういう事態はぜひ,さけなければならない. (写真は共同通信が配信したものである.)

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