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生活:食品・料理と嗜好

異物混入・期限ぎれの食品は廃棄するべきか?

不二家,石屋製菓,赤福と,菓子製造上の問題がつぎつぎに発覚しています. いずれも菓子の材料や製品の廃棄を避けようとしたことが原因です. 廃棄をさける動機はコストをさげたいということだったかもしれませんが,まだつかえるはずのものを単に期限がきれたからといって捨てるのはもったいないという自然な感情がこうした問題をひきおこしているのではないでしょうか? もしそうだとすると,ただ規則を厳格に適用することによって問題を解決するのがただしい解決策なのかどうか,疑問におもえてきます. また,食品に関しては,異物混入のために大量に回収して廃棄するという事件も多発しています. この場合も,ほんとうは廃棄しなくてよいものが廃棄されていて,もったいないと感じます. もっとまともな解決策はないのでしょうか?

赤福のばあい,当時の会長 浜田益嗣 氏 が会見し,製造日改竄などについて 「商品を幅広い範囲に拡販したことが誤りだった. 第 1 の責任者は私だ」 といったということです. しかし,むかしどおり規模がちいさかったら,あまった商品を廃棄せずにすむのでしょうか? 小規模ならあまる量もすくないということだけなのではないでしょうか? しかも,小規模なら販売量のばらつきはむしろおおきくなるはずです. 規模拡大によっておこってきた問題もあるでしょうが,むだをさけるという点では問題点はほかにあるようにおもえます.

食品への異物混入の問題は,枚挙にいとまがないほど発生しています. 私自身はペットボトル飲料への異物混入による大量回収が一番記憶にのこっていますが,Web でしらべてみると,カルビーのポテトチップスへのトカゲ混入などという話題もでてきます. このときも,メーカーは衛生上は回収の必要がないことがわかっていても,「不快感をのぞくために」 自主回収したということです (ニューズウィーク日本版 2000-9-13, p. 47). 上記のニューズウィークの記事のなかには,東京医科歯科大学の藤田紘一郎教授の 「日本人の行きすぎた 「清潔志向」 が逆に日本人の健康をゆがめている」,今回のさわぎ (さまざまな異物混入事件) は 「まるで集団ヒステリーで,消費者もメーカーも過剰反応している」 ということばが引用されています. かつては異物混入があってもこんなに問題にはならなかったのです. さらに,藤田はつぎのようにもいっているということです. 「異常ともいえる清潔観念によって免疫力や抵抗力が低下し,次世代の日本人が肉体的にも精神的にも衰弱化していくのではないかと」 危惧している.

工場で異物混入があるとおおさわぎになりますが,家庭ではよくおこっているはずのことです. たとえば,食事中にたべものに虫がはいるなどということは,よくあることです. こういうとき,あなたならどうしますか? そのたべものを全部すててしまいますか? それとも,虫だけとりのぞいてたべますか? どういう虫かにもよるでしょうが,私なら基本的には虫だけとりのぞいて,たべます. 「全部すててしまう」 というこたえのいきつくはてが,大量回収,大量廃棄です. もったいないとはおもいませんか?

2007-11-11 追記:
ここでは製造元での期限ぎれの問題をあつかいましたが,「消費期限ぎれの食品をたべますか?」 において,消費者のてもとにある食品の期限ぎれの問題をあつかっています.

キーワード: 消費期限切れ, 消費期限ぎれ

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