Date: Wed, 24 Apr 1996 17:27:12 -0900
From: funaken@ccs94.cla.kobe-u.ac.jp (Takeo Funahashi)
Subject: [VAG 658] Kirokushitsu Tsuushin [GOUGAI]
...[中略]...
舟橋＠震災・活動記録室 です。
いつもは"kiroku"メーリングリストにしか流していないのですが、今回は号外
ですので、ご容赦下さい。転載は自由ですので、よろしくお願いします。
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記録室通信 ＜＜号外＞＞
23-Apr-1996
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Quake Chronicle Project
震災・活動記録室
〜みなさん聞いて下さい〜
被災者からの声
平成７年１月１７日に、０才と２才だった息子ももうすぐ２才と３才。しか
し私は毎日平成７年１月１７日のままです。仮説住まいのなさけない親です。
何一つ取り出せず。仮設に入った８月から家財もすこしづつそろえました。
少しあった貯金は０、神経性のじんましんで悩んでいます。老人ではありま
せん。しかし、小さい子をかかえて、困っています。自信の恐怖からは、立ち
上がれました。でも、一歩がふみ出されないのです。
食べて寝て起きるだけでは、人間ではないんです
貯金があれば、それを足がかりに歩いていけます。親子４人ががんばれそう
な気がします。お願いします。心を分かってください。
東灘区 男性 マンション全壊
助けてください。
死を考える毎日です。何か私が悪いことをしましたか。
芦屋市 ８５才独り暮らし女性 全壊
兎に角、生活が苦しいです。助けて下さい。
宝塚市 男性 全壊
要望書 −緊急生活再建援助金の支給−
私達、家族四人は、現在西宮市にある賃貸住宅に住んでいます。芦屋にあっ
た２１４世帯あるマンションが、あの大地震で全壊し、住民の話し合いがうま
く進まず、１年３ヶ月経た今も、傾いたままの状態です。解体すらできないで
居ます。どの世帯も多額のローンをかかえ、１日も早く再建を望んでいます。
ところが、経済的見直しの立たない世帯が補修を主張するため（実際には、費
用は５００万円ほどの差です）現在、再建の目途が立っていません。５００万
円が出ないためです。
私達家族は、共働きをし、ローンをまじめにこつこつと返済しながら、暮ら
していました。ところが今は、このローンに加え賃貸料です。住めもしない我
が家のマンションに管理費・固定資産税を払い、働けど働けど先が見えてきま
せん。
私益のため、ミスを出した損失を税金でおぎなおうとする住専処理。我々、
善良な国民（一度も税金をごまかしたり、滞納したことのない）に国は何もし
てくれません。誰のための国なのですか。国民のためではなにのですか。
以下のことを 強く 要望します。
全壊世帯（持家） ５００万円
全壊世帯（賃貸） ２５０万円
半壊世帯（持家） ２５０万円
半壊世帯（賃貸） １２５万円
一部損壊 ５０万円
☆全半焼世帯は全額を上乗せすること。
芦屋市 ４１才男性 マンション全壊
被災者が納得できるような公平な援助をお考えいただきたいと思います。
例えば、一部損壊とはいえ家屋の修理には、かなりのお金がかかり全壊半壊
に近い位の費用を要する場合、一部損傷の世帯に義援金の配布がゼロというの
では公平を欠くのではないでしょうか。
現在我が家では失業者（震災に依る）と老人の二人（女性）暮らし経済的に
困苦を窮めています。震災の影響で嫁は体調をくずして治療費がかさみ、老人
の私は足の関節が痛くて通院中です。
東灘区 女性 持ち家一部破損
平成七年一月一七日以降失業中です。五十歳を過ぎた者への求人は少なく再
就職も出来ず現在に至っております。
民間賃貸住宅も公営住宅も賃貸料の支払いが不可能な為申し込めません。
“金の切れめが命の切れめ”今の心境です。
灘区 女性 借家全壊
要望書
罹災証明書には姉妹２人になっていますが、姉は１月３０日に食欲が落ち精
神不安定をきたし堺の病院に１月３０日に入院悪化して、３月４日に死にまし
た。震災を因とした死亡に届出にいきましたが姉妹はだめ、一しょにすんで世
話をしたのに（障害者）だめ。
私は姉を入院させ家の整理とかと思っていましたが、姉の入院後１週間たら
ずの２月５日に避難所に行く途中５０ｃｍ位の深さの溝におち、かかとの骨を
折り１２５日入院。今も不自由な生活を送っています。
どうかして元の処にちいさくてもよいから家をと思うのですが、子供もなし
老齢者にはローンもくめず、少々の貯えも心細く住専ばかりに話合わず被災者
の事はもう頭にないのでしょうか。
政治家の皆さんに言いたい。すわりこみしてもその間の給料はずっと大きな
金としてでていっているのですよ。その分を被災者に廻してやろうと言う気に
なってほしいと思います。
西宮 ６７才女性 全壊
おねがいします
なんとかしてください
お金がないからこまります
私しわせかつにこまっています
長田区 女性独り暮らし 借家全壊
私達親子３人は東灘からから北区へこして来ました。通勤の電車代は高く、
今までかよっていた病院にもいけず皆さんもすごくこまっています。
神戸で生まれ神戸でそだって税金をひかれていた私達がこまってもなにもし
てくれない。
国にたいして今いかっています。
もし東京が震災にあわれてもほっておいて住専に税金を渡しますか。
あなた達も人間なら神戸の人のいたみをわかってくれるはずです。
もしなにもしてくれないのなら兵庫県の人の税金をとらないで下さい。
東灘区 男性 借家全壊
県内・市内では高い家賃なので県外に動けましたが、神戸までの通勤が出来
なくなり生活の基盤は、困難をきたしています。平成６年１１月に新築したば
かりの住宅ローンは全部返してしまわないと次の住宅がたてられず、年金も退
職金も返済金にまわして借入したのですが、６５才をこえているので住宅金融
公庫の利子補給すら、全焼しているのに受けられない状態です。神戸市の中で
も、被災者でない人との格差がひろがるばかり。いわんや、奈良のように静か
なところでは、ケアにはなりましたがみじめさをかくせません。
今まで人に迷惑をかけることが嫌なが、人からうとまれることにはたえられ
なくなり何度も、死を考えております。
自らの力で何とか立ち直りたいのです。せめて人並みに、亡くなられた方々
のとむらいもしたいです。
再建する補償金をお願いします。
東灘区 男性 持ち家全壊
全壊にとにかく住む家がない寒さの中で、ゴミに土にまみれて無中で寒さ暑
さをしのいで過ぎてしまいました。
ストレスで家族はヘルペスや入院やらと大変な年でした。
家のないつらさ雇用促進住宅に入れました。レンジ・アミ戸・カンキセンな
にも自分もちで、家と建具つきで仮設住宅にはクーラーまで付いています。ボ
ランティアの人も来ませんでした。
わずかかも知れませんが、１年で家賃もいります。もっと大変な人々もあり
ますが、差が付いていると思います。
長田区 女性 持ち家全壊
一人暮らしで 本当に つかれました
何んとか 私らを 助けて下さい
一円のお金も 有りません
芦屋市 ７８才女性 半壊
私は、昭和六年生まれの６５才の年金生活者です。年金もわづか食うて行く
のに精一杯でございます。妻も震災のショックデ、今は記憶が無く成り。手・
足も動けなくなり、目も見えなくなり、現在は病院で寝た切りになりました。
もう一年何ヶ月に成りま世うか。オシメ代だけでも月に２万円以上かかりま
す。その他費用が重なり、私自身、朝。パン１枚コップに水を入れ食すだけ。
夜は茶碗一パイのごはんに塩をふりかけ食す１日・・
私には明日は無いのです。今生きているだけ。
私も人間だから、おいしいものを食したい。
今は１人暮らしで、涙の日々でございます。
中央区 ６５才男性
震災から１年３ヶ月が経とうとしていますが、被災地以外の所、人たちにと
っては、もう遠い昔話のようになってしまっているのだという事を痛感しま
す。ＴＶのニュース、神戸新聞以外の新聞ｅｔｃ、マスコミ関係には全くと言
って良い程、阪神大震災の言葉さえ出てきていません。今年の１月１７日に少
し特別報道がおっていらい、本当に皆無といってよい状態でしょう。
「お国は見て見ぬふりだ」というのが、本当に良く解ります。今政府は、いや
国は住専の事で頭がいっぱいなのでしょう。いや、自分達の尻ぬぐいで、つじ
つまあわせで、精一杯なのでしょう！！国民全員が解っている事なのです。米
国では、６年早く（日本より）不良債権を抱える金融機構の尻ぬぐいにに血税
をつかっています。ただ日本と違う所は、不正を行った金融機関の経営者に
３０００億の私財を支払わせ、その上に４０００人の関係者を投獄していま
す。日本はそれをすると、官僚と政治家が皆無になってしまう。だから今はそ
の事だけで頭の中には他の事がはいってこないんですよネ。自分の事しか考え
られない御偉いさん達ですから・・・・
もし、この震災が阪神ではなく関東だったらどうされていますか？即何らか
の処理をされているでしょう！！だって、我が身の事となるんですものね！！
本当に被災者の実生活を見て下さい。仮設から出られない方も辛い。テント
生活の方ももっとつらい。でも自力で自宅を再建した者も同じだけつらいんで
す。たったの２０秒で何もかも無くし、仮設にしら入る事も出来ず，高い家賃
と壊れた住宅のローン。そして新しい住宅のローン。震災の影響で減給。ボー
ナス無しのサラリーマン。買い物を差し控えますので、商売人の方も痛手です
よネ。ローンローンで首を絞められた上に仕事もままならない。でもお金はい
るんです。だって生きていかなければならないんですから・・。有り難い義援
金２４万円は、仮住まいの敷金にさえも、引っ越しの費用にさえもなりません
でした。一体，どこへ消えてしまったのでしょうか？でも、全国の皆様の暖か
い御心には、とても、とても感謝しています。本当に被災者の事、考えて下さ
い。明日は必ずわが身となります。前例がなければ、今、これを前例にしてく
ださい。１の前は０です。今まで前例がなかって０だったので、この震災を１
とし、新しい法を作って下さい。
明石市 Ｎさん 全壊
当時の村山首相は「人にやさしい政治を」とおっしゃいました。
私は年金生活者です。震災から二度目の桜も美しく咲きましたが、心身はま
だ暗い寒い冬のままです。どうぞ早急な公的援助を伏してお願いいたします。
芦屋市 ７１才男性 全壊
神戸市長田区で全壊，職場は長田でしたが助かりました。現在大阪の十八条
の仮設から長田区へ働きに行っています。交通費も高く大阪の仮設には入りた
くなかったのですが、住む家もなく近くの仮設は当たらず，やむえず遠くへ行
きました。しかし通勤に片道２時間はかかります。体力も気力もこの１年間で
使い果たしてしまいました。
しかし、働かなければ生活出来ません。私達を一日も早く元の場所で生活出
来るようにして下さい。
このままでは死んでしまいます。まじめに働いている者を助けないでアメリ
カに何の思いやり予算ですか。住専にお金を使うな・国民の声を無視してまで
税金を使う金があるなら被災地にまわせ！
長田区 男性 全壊
震災で主人を亡くし気候風土み知らぬ土地に来て、一人暮らしの上持病が喘
息で毎日苦しんで居ります。一日も早く神戸に帰りたいと思いがつのり東の空
を眺めいつの日かと、心の慰めにして居ります。
国にお願いします。神戸にお金を下さい。家を建てて下さい。神戸に帰るま
では倒れません。
お金がほしい。
兵庫区 女性 借家全壊
軍人で生き延びて神戸に帰って見れば米軍の空襲で家は焼け住まいも無く母
親・弟妹とめぐり合い一生懸命に日本再建に働き労災に合い１１級で現在身体
障害斜４級です。
マンションは自分の物で家賃はいらない。労働も出来ないが年金が少し入る
ので質素に余生を過ごしていたら阪神大震災でビルは全壊，７５才の老人がこ
れから先，前の様な生活に入ろうと思えばどうしたら良いかと日夜頭を悩まし
ています。国より義援金１４万円と仮設住宅、仮住も暑い寒い期限も二年とか
とか、若い時であれば焼野原の中を走り廻って頑張ったが，頑張れ頑張れと云
っても何を頑張ったら良いのか。
妻と二人で時間の過ぎるのを今何時と朝起きて夜はわずか４時間程で目が覚
める。公共事業には補助それは良いとしても住建には税金が補償する等，予算
があれば災害を受けた者に対しては我々老人で災害を受けた者に対しては特に
補償をして貰い度い。
要望として，長崎雲仙・北海道奥尻島と同様な義援金を望む。又、火災保険
等について天災と人災との区分等考えるべきである。
中央区 男性 全壊
基礎柱が折れ、家がかたむいて，非常に危険な状態のまま暮らしている。
洲本市 男性 半壊
＜＜＜ここに罹災証明書の一例が添付されているのですが、省略します＞＞＞
これらは国に公的援助を求める「阪神生活再建の会」（大林靖雄代表）に寄
せられた被災者の声です。同会は「地震大国日本に今後発生する激甚災害」に
備えるためにも「誰もが納得する前例」として「有効な立法化」を要求してい
ます。
署名だけでは被災者の声が国に伝わらないと考えた同会は、罹災証明書のコ
ピーとともに被災者が自ら国会議員に現状を訴えることで、新しい法律の議論
を始めてもらおうと考えました（上記参照）。そのコピーにつけた小さな要望
欄にびっしり書き込まれたのが今回紹介した声なのです。
今まで様々な団体が震災に対する特別措置を求めて運動してきました。しか
し、個々にアピールしてきたため、大きな力にはなれず、前例がないと突っぱ
ねられるばかりでした。そこで、いっそ前例となる新しい法律を作り出そう
と、個々に活動してきた被災者の団体は最近になって可能な限りまとまろうと
し始めました。その一つが３月に発足した「阪神生活再建の会」です。
同会が具体的に求めているのは、国が新立法によって生活再建援助金を支給
することです。全壊世帯に500万円など「最も緊急を要する、生活再建の援助
資金を要請」しています。
このような呼びかけに対して神戸市中央区の同会事務所には、連日、要望書
を郵送や直接持参する人などが絶えず、18日までに数万通が集まりました。ど
の要望書にも震災から１年数カ月たってますます苦しくなってゆく生活や、将
来の見通しの立たない不安が綿々とつづられています。仮設住宅はもとより、
何とか元の家に住んでいても体の調子をこわして苦しい日々の人、県外に住ん
で戻る見込みのない人など全国から声が集まってきています。
「阪神生活再建の会」はこれらの要望書をもって上京し、19日に各政党・政
府など多くの人々に現状を訴えました。そして２週間後の国の回答を待つ予定
です。
〜記録室からのお知らせ・次号予告〜
今回は「罹災証明書」に綴られた被災者の生の声をただご紹介するというも
のでしたが、次号では、記録室としての意見を表明するとともに、被災地から
どのような情報をどのように発信してゆけばよいのか、についても考えてゆく
つもりです。
被災地では、今回ご紹介した「阪神生活再建の会」の他にも様々な団体が、
それぞれの立場で「被災地からの情報発信」（「要望・要求」、「提言」など
も含む）や「調査」、「問題点の把握・整理」を始めています。また、被災地
における横のつながりも、ようやくその兆しが見えてきたように感じられます。
記録室としても、これらと連携しつつ、被災地からの＜発信＞、＜問題提起
＞、＜記録＞、そして被災地内における＜コミュニケーション＞をテーマに、
＜情報の共有・公開＞の役割を果たせればと考えています。
＜＜ 『記録室文庫』開設について ＞＞
現在記録室では、震災関連の図書や市民活動／ボランティア活動関連図書、
そして震災後に様々な活動を行った団体の作った資料の中で、公開できるもの
をより多くの方々に利用して頂こうと『記録室文庫』開設を目指して準備を進
めています。
特に、現在も活動を続けている各団体のミニコミ誌に関しては、可能な限り
網羅的に集め、皆様にも利用して頂こうと考えています。
次回の記録室通信では、『記録室文庫』利用のご案内とともに公開する資料
の目録を同封させて頂く予定です。どうぞご期待下さい。
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