Date: Sun, 9 Jul 1995 15:07:20 +0900
To: quake-vg@kobe-u.ac.jp, vag@elist.mei.co.jp, ngo@center.osaka-u.ac.jp
From: ngoteam@mb.osaka.infoweb.or.jp
Subject: [VAG 810] [Kirokushitsu Tsuushin] No.4
Cc: ...[中略]...

舟橋@震災/活動記録室(NGO連絡会議)です.

記録室通信の第4号ができ上がりましたので,お送りいたします.
ご感想をお寄せください.

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                      記録室通信
                                8-July-1995 第4号
                -----------------------------------
                                                   Quake Chronicle Project
                                                   震災・活動記録室

                     −はじめに−
 
 皆様、いかがお過ごしでしょうか。「震災・活動記録室」です。サハリンへ物資を届け
に行っていたメンバーも帰国し、やっと記録室もメンバーが揃いました。これからは、
少し遅れてしまったスケジュールを取り戻すためにも、より一層頑張っていこうと思って
います。それでは、第4号をお送りいたします。  (記録室通信担当:舟橋 健雄)
 
 
                  −全国のボランティア状況−

 今回は、「東京の動き 第2弾」として、ボランティア相互連絡ネットワーク"LINK"
などにも参加されているという、野中さんに報告していただきました。

◆東京の動き◆
 いろんな人が、夏にも現地で活動したいと考えています。僕は「LINK」という
ボランティア連絡ネットワークに参加して、そのことを知りました。しかし、宿泊場
所を確保している人は少なく、具体的な話までは進めづらいようです。その一方で、
現地のボランティアと連携がとれている人は、着実な活動を積み重ねています。いま
現地での拠点を持たない人が、今後どのように現地と連携をとっていくのか。これが
最大のポイントと考えます。

◆お願い◆
 宿泊する場所だけでも提供していただけないでしょうか。

◆意見◆
 「もう災害緊急ボランティアは終わった。いま必要なのは、地道に継続していく地
域密着ボランティアだ、、、」私たち遠くからのボランティアにとって、「なんとか
したい。」という気持ちだけで、現地へ行く時期は終わってしまったようです。冒頭
のように考えるのならば、私たちは今後、自分が住んでいる地域でのみ、ボランティ
アを続けていればよいのです。
 しかし、これだけの深刻な事態をまのあたりにして、私には災害緊急ボランティア
が終わってしまったとは思えません。水くみや物資運搬などの力仕事はもう必要ない
かもしれませんが、心のケアを含めた息の長い活動を、少しでも応援していくことが
必要と考えているのです。心のケアをするには、私たちの活動はあまりに限定的なも
のかもしれませんが、住みやすい環境を作り上げていくことに協力したいのです。
 深刻な事態です。遠くからのボランティアをうまく活用していくことも必要ではな
いでしょうか。某大事件で震災が忘れ去られたとは言い切れません。「本当に必要と
されているのか。」このことを考えて、私たちの中には、現地に行くことをためらう
人もいるのです。どれだけ現地の深刻な状況を伝えられるか。このこと次第で、夏の
活動に参加する人数は変わってくると考えています。
 最後に。どれだけ多くの人が関わろうとも、そう簡単には癒されることのない重い
事態です。しかし、たとえ遠くからのボランティアが、1週間・1カ月しか直接活動
することが出来ないとしても、現地を応援していくことで、何かが少しでも変わって
いくと信じています。少なくとも1〜2年は、全国規模で被災住民を応援していくべ
きと、私は考えます。みなさんはどのようにお考えですか。

◆提案◆
 現在のボランティア活動は、避難所や仮設住宅をまわっていくことなど、点の活動
がメインとなっているように思えます。ボランティアの人数も少なく、ご苦労も多い
こととは思いますが、面の活動、すなわち住宅やマンションなど、地域全般に対する
ケアも必要ではないでしょうか。自分の家で暮らせるからといって万事解決ではない
はずです。ふつうに住んでいるように見える方も、被災者としての苦しみは同じと思
います。彼らに何かを応援していくことが出来るとよいのですが。
 (すでにそういった活動をしている方、失礼をお許し下さい。)
 ご意見・ご批判のある方、野中までEメールをお願いします。

        =================================================
        のなかけん
        E-mail: CQD00637@niftyserve.or.jp
        グループ「ブルーシート」参加
        ボランティア相互連絡ネットワーク「LINK」参加
        =================================================


                      −ひと<人>こと−
 
  田中 久敬さん(22) <兵庫区ボランティア>

 さわやかな笑顔が印象的な田中さん。好奇心旺盛な性格と、しっかりとした信念の持ち
主です。
 震災直後は、友達のことが心配で東灘区の本山第3小学校でボランティアをし、その後
1月22日から芦屋市ボランティア委員会に入りました。そして、あまりに多いボランテ
ィアの数を目の当たりにし、人材をコーディネートすることの必要を感じ、「人材部門」
を設け、その中心として働くことになりました。
 2月になり、人材部門の後継者も出てくる中、「もっと大変な地域もあるのでは」と考
えるようになります。そこで、様子を見に神戸にやってきたのですが、長田区と中央区の
「はざま」にあった兵庫区の惨状に驚き、「芦屋で培ったノウハウが活かせないか」と考
え、2月7日に兵庫区ボランティアの一員となりました。その後、組織が上手くまとまら
ない状況下でリーダーに指名され、改革に乗り出すことになります。そして、兵庫区内で
活動する他のボランティア団体(SVA、1・2ドリーム、シティーライト、ちびくろ救
援ぐるうぷ、など)との協力の中、連携の取れた活動が出来るようになりました。3月の
中旬には、活動拠点を移さなければならなくなったりと、いろいろなこともありまし
たが、徐々に上手くいくようになってきました。
 4月以降は、ボランティアの数が次第に少なくなってきました。しかし、「兵庫区をも
っと良くして行きたい」という思いは変わらず、仮設住宅を廻ることや、花の植えかえを
子供たちと一緒に行うことによりコミュニケーションをはかる「花プロジェクト」など、
自分たちに出来ることを考え、活動を続けてきました。そう言った活動の中、「兵庫区内
のケアが十分に行き渡っているか」ということを常に意識し、民間団体の良さを活かした
活動を目指してきました。また、行政とうまく協力をしながら、長期的・継続的な活動は
行政につないでいきたいと考えています。
 今はボランティアの数が少ないので、活動の継続だけでも大変ですが、「兵庫区が一丸
となって頑張っていけるようにしたい」と笑顔で語ってくれました。


                    −ボランティア団体紹介−
                
<カトリック大阪大司教区 中山手救援本部>

 阪神・淡路大震災発生後、大阪大司教区として救援活動が始まりました。1月17日震
災直後には、大司教館事務局員が数名の司祭の協力を得て、被災した教会、修道院等の現
地調査と電話での安否確認を行い、大司教館に届いた救援物資を教会を含む地域のための
救援物資搬送も始まりました。
 被災地内の救援活動の拠点を中山手教会とする方針に決定したのが、1月18日のこと
であり、この日から中山手救援本部にボランティアが常駐するようになりました。
 中山手救援本部のモットーは「福祉・行政の谷間に置かれた人々と共に生きていく
こと」です。1月の緊急救援の時期には、地域パトロールで被災者のニーズを集め支
援したり、救援物資の無料バザールをおこなったりしていました。まだバス・電気・
水道も通じていない頃に、生活の確保の為に「あったかいものプロジェクト」(炊き
出し)や、「赤ちゃん入浴プロジェクト」(後の風呂サービスへとつながる)や、被
災者に一時的な生活の場を提供する「被災者受け入れプロジェクト」が行われました。
 また、移住労働者のために罹災証明書、義援金支給手続きの手伝いをしたり、カリタス
神戸地区と共に、YWCAと連携しながら、地元での運動となるための野宿生活をされて
いる方へのケアを考えてきました。

 現在、具体的には3つの班に分かれてのボランティア活動がおこなわれています。3つ
の班とは、まず、避難所や仮設住宅に住んでいる独居老人、身体の不自由な方々と関わり
を持つ「避難所・仮設住宅廻り班」、そして、震災以前からある、あるいは震災によって
出てきた問題を抱えている移住労働者のお手伝いをしている通称「素手組」と呼ばれてい
る「外国人班」、もう一つが、野宿生活を強いられている人々への医療・生活相談と水曜
日の夜には夜廻りをおこなっている「日中廻り夜廻り班」の3つです。
 その他にも、事務庶務などの仕事、ボランティアの食事の用意を担当する生活班、毎週
木曜日の午後に「おっちゃん風呂」(野宿生活者の方をお風呂に招待している)を実施し
ている風呂サービス係等、日常的な細々した仕事もボランティアによって支えられていま
す。
 最近では、仮設住宅に入居されている方や、野宿生活をしている方々の生活保護等に関
する福祉の向上を求めるために、行政との話し合いを求める活動もしています。こうして
少しずつでも福祉や行政の対応から取り残されてきた人たちが安心して生活できるように
お手伝いを続けていくことが、ここ中山手救援本部の役目であると考えています。
 ボランティアの数も、6月現在までに約700名の方々が集まりました。カトリックの
信者に限らず、中高生から年輩の方に至るまで、様々な人たちが自分の出来る範囲でのボ
ランティア活動をしています。春休み中、最高100名近くものボランティアを抱えた時
期もありましたが、4月以降、学生のボランティアが減ってからは、常駐ボランティア2
0名、通いのボランティア各日約10名の計30名程度が毎日活動しています。
 各班の活動を通して、ボランティアはそれぞれの問題とある程度深く関わり、専従化で
きるようになってきましたが、その反面各部門が独立しているため、班相互の連携の必要
が現段階での課題となっています。
 中山手救援本部は、救援活動を継続すると共に、地域に根ざした教会活動センター化へ
向けて、6ヶ月後(10月)をめどに準備を始めています。鷹取教会、住吉教会との
連携、地元のNGO団体・ボランティアグループとの協力も強化していきたいと考え
ています。そして、福祉や行政から忘れられてしまいがちな弱い立場にある人々が、
基本的な人間らしい生活を当たり前に送ることのできるよう、これからもお手伝いし
ていきたいと心から願っているのです。             (中山手救援本
部 三浦あかね)


                           −資料の紹介−

 データ管理班では、現在も資料の整理が進行中です。目下,複数のスタッフが400
をはるかに越える資料すべてに目を通し、個人のプライバシーを侵害する恐れのある資
料がないか、などをチェックする作業を進めています。また、ファックスで送付いただ
いた資料など、感熱紙が使われていて破損の恐れのある資料も相当数あり、これらを中
性紙にコピーし直す作業も同時に進めています。さらに、原本が一つしかないものにつ
いても、複写を取って保管の処置を取らなくてはなりません。
 その一方、現在でも、郵送によるご提供や、スタッフによるインタビュー調査の際に
提供いただくなど、毎日のように、新しい資料が届いています。
 整理の作業に時間を取られておりますが、できるだけ早く、安定した公開の体制が取
れるよう、スタッフ一同奮闘しております。
 団体・個人の別を問わず、記録をまとめられた方、活動時の生の資料をお持ちの方、
あるいはまた、これを機会に記録をまとめようとお思いの方がおられましたら、何卒、
記録室の活動の趣旨をご理解いただき、資料の収集と保存にご協力賜りますよう、お願
い申し上げます。                  (データ管理班:八ツ塚 一郎
)                  


                         −記録室からの声−

 「記録室」の実吉です。7/3(月)に2度目のサハリンから帰ってきました(同行の
白鳥君も7日に帰国しました)。5月末以来ひと月以上サハリン一色で、長いあいだ
「記録室」からも遠ざかってしまいました。幸い留守中は舟橋君ほかのメンバーがしっ
かりやっていてくれましたが、主要メンバーが2人も抜けたのは痛いことでした。「記
録室」の活動に関心を持って下さっているみなさんと、「記録室」の他のメンバーにこ
の場でお詫びしたいと思います。(突発的な「サハリン救援」に参加した/巻き込まれ
たことがそもそも正しかったかどうか、その決定がどのようになされたのか、まで含め
た評価と反省を早急にしなければと考えています。7/13(木)に関係者でささやかな
報告・反省会を持つ予定です)
 「記録室」では、今後、秋ごろまでの長期的な展望を再検討中です。集まった資料は
どこに残せるのか、それをどのような形でまとめるのか等々、近いうちにこの「通信」
にてお知らせできると思います。どうぞよろしくお願いいたします。 


                  −Information 〜情報の広場〜 −

・市民活動推進センター設立委員会発足記念シンポジウム
     −奈良における市民活動の未来−

日時:7月9日(日)午後2時〜5時(5時15分〜7時:交流会)
場所:奈良町物語館(奈良市中新屋町2−1)
     TEL:0742−26−3476
     (近鉄奈良駅あるいはJR奈良駅よりともに徒歩10分)
主催:市民活動推進センター設立委員会    後援:市民活動の制度に関する連絡会
お問い合わせと申込先:
  財団法人たんぽぽの家 村上良雄  〒630 奈良市六条西3-25-4
      TEL : 0742-43-7055
      FAX : 0742-49-5501


・被災地からの提言!「災害時における情報通信のあり方」シンポジウム

日時:7月27日(木) 
        第1部 シンポジウム 13:00〜17:00
        第2部 情報交流会      17:00〜18:30
場所:神戸市内ホテル(神戸ハーバーランド・ニューオータニ 5階 鳳凰の間 
                神戸市中央区東川崎町1ー3ー5 TEL(078)360-1111)
主催:兵庫ニューメディア推進協議会、兵庫県
後援:郵政省近畿電気通信監理局、通商産業省近畿通商産業局、神戸新聞社、
   日本放送協会神戸放送局、サンテレビジョン他
参加申込方法:
  7月14日(金)までに、郵送、FAXまたはメールにて申し込み願います。
参 加 費:第1部:無料(報告書付) 第2部:5,000円
申し込み・問い合わせ先:
  兵庫ニューメディア推進協議会事務局(兵庫県企画部情報政策課情報政策係内)
   担当 浜田、政井
    〒650 神戸市中央区下山手通5-10-1
     TEL : 078-362-3065  FAX 078-362-3931
          e-mail masai@sci.himeji-tech.ac.jp
          

・阪神・淡路大震災、児童体験画 「子供が見た震災展」

日時・場所:
1)1995.7.4  - 7.6  10:00 - 18:00
        新宿区立区民ギャラリー(新宿副都心中央公園内)
2)1995.7.7  - 7.10 
        川越市「青い鳥絵本の家」 tel0492-22-5015
3)1995.7.11 - 7.16 
        多摩センター朝日生命多摩本社
        「ギャラリーSAN」  tel0423-38-3175  
主催:兵庫区ボランティアOB連絡会・東日本




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                阪神大震災地元NGO救援連絡会議
                  「震災・活動記録室」
      〒650 神戸市中央区栄町通4-3-5 毎日新聞神戸ビル3F
         Tel. 078-362-5951     Fax. 078-362-5957
         Internet:ngoteam@mb.osaka.infoweb.or.jp
             Nifty-Serve:SHB00846
        Url:http://www.center.osaka-u.ac.jp/people/wnn/www-kobe/index-jp.html
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