しかたがないので,MacBook とあわせてつかっていた Windows のマシンで表示したスライドを Google Meet で画面共有すると同時に,教室のプロジェクタにつないだ. このマシンはここ数回つかってきたものだ. MacBook の画面 (ウィンドウ) が学生とシェアされているのに対して,自分だけが Google Workspace につないでみられる画面がほしいので,もう 1 台用意してきたのだ. Google Form をつかった演習をしているあいだにすでに送信してきた学生の答案をみたり,おなじく Google Form をつかって学生が遠隔授業にうまくアクセスできているかどうかを確認するなどの目的でつかっていた.
ここまでは問題なかったが,まだ遠隔で音声をとどけることができなかった. 音声も Windows から Google Meet にながそうとしたのだが,そのマシンにはマイクがついていないことに気づいた. MacBook とその Windows マシン (Dynabook) をもちあるくので,軽いものにしていたことが,あだになった. マイクがついたマシンをつかっていれば,ここで授業を再開することができたはずだ. しかし,音声がおくれないので,とりあえず「待って」というメッセージを Google Meet でみせておいて,そのあいだに対策をかんがえた. iPhone を Google Meet につなげば音声をおくることができることに気づいて,やっと講義をはじめることができた.
ところが,それでおわりではなかった. iPhone の電池はもう 1% ほどしかのこっていなかった. しばらくつかっているうちに電源がきれて,授業を中断せざるをえなかった.
さいわいに,そのころには MacBook の再起動がほぼおわっていた. そこで,いつものように MacBook ですべてをやるようにしようとかんがえた. 音声はうまく MacBook から配信できたが,プロジェクタにつなぐと画面がきれてしまう. すぐには原因がわからないので,スライドはあいかわらず Windows からみせるようにした. (いま冷静にかんがえてみると,MacBook のスクリーンの設定が OS の更新時に変更されてしまった可能性がある.)
Dynabook から音声をだすとハウリングがおこるので,スピーカはきった. そうして,やっと安定的に授業がつづけられるようになった.
教訓としては,こういうことがおこってもすみやかに授業がつづけられるように準備しておくべきだということになるだろう. Windows だけでも授業ができるようにしておくのがよいし,iPhone の電池は充電しておくのがよい. しかし,ちゃんと準備しておくのは容易なことではない. 今回おこったトラブルも,教室内だけ,あるいは遠隔だけのサービスならば (どちらか一方を選択できれば) もっとすみやかに回復できたとおもう. しかし,ここで経験したように,教室と遠隔の両方にサービスを継続することを前提とするならば,いくつかの問題がかさなるとやはり解決はむずかしいようにおもう.
]]>また,対面と遠隔の両方で利用できるようにするため教材を Google Workspace におくことにしたので,それをちゃんとアップロードし,リンクをととのえる必要がある. 画面にうつさずに教材や Google Form への演習回答状況を把握するために,もう 1 台 PC を用意することにしたのだが,そのセットアップにも時間がかかる. さらに,遠隔でサービスするためには Google Meet のカメラは off,マイクは on にし,画面共有する必要がある.
これらをまちがいなくこなすのは私にとってむずかしい. どこかに気をとられると,ほかのことをわすれる. わすれていても,学生はなかなか指摘してくれない. 遠隔のサービスがうまくいっていなくても対面の学生は気がつかないこともあるだろうし,気がついていてもだまっている場合もあるようだ.
もっとかんたんにセットアップできる方法をかんがえないと,とてもやりきれない.
]]>このようにシミュレータじたいが理解しにくいものであるのにくわえて,2016 年以降にさらにいろいろそのハードルをあげる事態がおこった.第 1 の事態は Python のパスに関することだ.以前は Windows では既定では C:¥ の直下に python34, python35 というようなディレクトリがつくられてインストールされたので,比較的わかりやすかった.ところが,最近では隠蔽された場所にインストールされるのが既定になり,そこにパスをはっておかないとインストールされる場所がわかりにくくなった.シミュレータはこの隠蔽された場所には対応していなかったので,バッチファイルをダブルクリックしても Python が起動されないという問題が多発した. しかも,演習をおこなう直前に Python 3.10 がリリースされ,用意していたプログラムはそれに対応していなかった.
この問題の解決策はいくつかかんがえられるが,一番安定した解決策は Python のインストール時にそれをパスにいれることだ.つぎの図はインストーラの最初の場面でそれを指定している (図の一番下のチェックボックス).
パスにいれないままインストールしてしまった場合はめんどうなので一度アンインストールしてから,上図のようにチェックをいれてインストールしなおすほうがかんたんかもしれない.
第 2 の事態は Windows 10 のセキュリティに関することだ.シミュレータを Windows にマウントされたドライブからコピーすれば問題はおこらないのだが,Google ドライブなどからコピーすることになるため,Windows からは潜在的に危険があるファイルだとみなされる.そのため,バッチファイルを起動しようとするたびに警告が発せられる.以前は 2 回めから警告されないようにすることが比較的容易だったが,この 10 月にセキュリティが強化されて起動するのがむずかしくなり,また警告をとめることができなくなった.
バッチファイル 1 個ずつのプロパティをひらいて下図のように実行可能にすることができる (一番下のチェックボックス) が,1 個ずつ指定するのはめんどうだ.
シミュレータをダウンロードするときには zip ファイルになっているので,それに対してこの操作ができればよいのだが,zip ファイルのプロパティをひらいてもチェックボックスは表示されない.ethersim20211007.zip というファイルに対してこの操作をするには,PowerShell をひらいてつぎのコマンドを実行する必要がある.
Unblock-File ethersim20211007.zip
PowerShell でなくコマンドプロンプトでこれができればよいとおもうのだが,できないらしい.また,PowerShell のスクリプトを書いておけばもっとかんたんにできそうだが,PowerShell のスクリプトはダブルクリックしても実行されないし,そもそも既定ではスクリプトが実行できないようになっている.したがって,かぎられたバッチファイルだけをつかうなら 1 個ずつ設定するほうがかんたんだし,zip ファイル全体にやるなら PowerShell にコマンドをいれるほうがかんたんだ.しかし,コマンドプロンプトをつかわなくてもできるようにかんがえたしかけなのに,PowerShell をつかうことをすすめるのはいかがなものか.
インターネットからダウンロードしたどのファイルに対しても警告せずに実行しようとすれば方法はあるが,それは危険だからやめたほうがよいだろう. しかも,その方法も最近の Windows 10 と 9 月以前のものとではやりかたがちがう. とてもめんどうだ.
【参考】つぎの Web ページは警告とその解除の方法について書いたページの例だ.
]]>試験中に学生から質問をうけることがあるが,その際にも答案がみられることが利点になるだろう. ただし,それも今回は必要なかった. そもそも質問をタイムリーに把握し,こたえることが先決だが,それがあまりうまくいっていなかった. 質問は Google hangout でうけたが,質問されたことを把握するまで,またこたえるまでにだいぶ時間がかかってしまった. Google hangout にかぎらずチャットで質問を受けると質問者の答案を特定するのにも時間がかかるから,それにアクセスする必要が生じてもあまりうまくはいかないだろう. 質問がすぐに把握できるようになり答案とうまく連携できれば,答案がリアルタイムでみられる利点がいかせるだろう.
スプレッドシート上で採点すれば採点結果の集計も容易になるが,よりおおきな利点はスプレッドシート上で添削するとコメントをかえすのが楽になるということだ. 同様のコメントを複数人にかえす場合,手書きするのは苦痛だが,スプレッドシートならコピペすればずっと楽になる. 最初はそれをかんがえずに採点していたので,すでに書いたことをコピーしようとしても,コピー元がみつけられなかった. コピペがやくにたつことを認識してからは,別紙 (Word) にコメントをコピーしておいて,そこから他の答案にコピーするようにした. コピペできることは教室で試験をする場合にも利点になる. 来年度は教室の試験でこの方法がつかえないものかとかんがえている.
]]>第 1 はひとつの教材をつくって,それに学生ひとりひとり個別の情報をつけて配布する方法だ. 教材の種類としては「レポート」を選択するのが比較的単純だとおもえる. レポート課題は全員におなじものしか配布できないから,課題は事実上 空にして,評価コメントとして答案用紙へのリンクを書いて配布した. 課題のところに試験問題をいれなかったのは,さきに答案用紙をわたすと課題がかきかえられない (つまりあとから課題をあたえることができない) からだ. 「レポート」が学生にどのようにみえているかわからないまま配布したので,わかりにくかったとおもう. それでも,この方法でなんとか個別のリンクを配布できた.
(2022-1-19,21 追記-訂正:) 昨年は「レポート」をつかって情報を配布したが,「フィードバック」をつかうほうがすなおなようだ.今年度 (2021 年度) はそれをつかってみた. これが CoursePower に用意された個別配布の方法なのだろうが,「フィードバック」ということばにまどわされて,昨年は気づかなかった.
第 2 は,選択しなかった方法だが,ひとりひとり,べつの教材 (「レポート」) をつくる方法だ. この方法ではレポート課題としてリンクをわたせばよいから,そこはすなおだ. しかし,いちいち教材をつくる手間もかかるし,配布先の選択にも手間がかかるので,適当な方法ではないとかんがえた. 第 1 の方法とくらべてこちらのほうが手間がかかるおもな理由は,ひとを指定してからわたすべき情報 (リンク) を指定するのでなくて,わたすべき情報 (レポート) をさきに指定しなければならないことだ. 指定のしかたにもっと柔軟性があれば,こちらのほうが楽にできるかもしれない.
どちらの方法も CoursePower で想定されていないつかいかたであり,もっとすなおな方法でリンクを配布したほうがほんとうはよいのだろうとおもう. すなおな方法のひとつはメールを学生ひとりひとりにだす方法だが,これも配布先を一括管理できないなどの問題があるので採用しなかった. ただし,個別にメールできいてきた学生にはメールでこたえた.
CoursePower で想定されていないつかいかただからこのように手間がかかるし,わかりにくいわけだが,ツールはもうすこし汎用性があるべきだとおもう. Google Classroom ならもっと汎用性があるだろうが,つかっていないので,Google Spreadsheet で問題・答案用紙をつくったときにほんとうにうまくいくのかどうかはわからない.
2021-1-9 追記:
答案用紙を学生がコピーしてつかうのであれば,もっとかんたんにできるだろう.
それについては別項に書いた.
Google form を G Suite のなかでつかう場合には答案全体を個別にあつかうことができない. それでも,提出してもらったファイルには ID がつくので,ファイルごとにはだれが提出したのかはわかり,個別に採点することは一応できる. レポートはこの方法であつかってきた. しかし,ファイル (レポート) を添削した結果を G Suite でかえすのは困難だ. つまり,G Suite では学生全員に一律の情報をわたすのは容易だが,Google Classroom をつかわないと 1 人ずつべつの情報をわたすのがむずかしい. 全員に全員の添削結果をわたしてもよければ容易だが,それは適切でないだろう.
Classroom がつかえれば上記の問題はないが,Google form では回答形式がかぎられているという問題は Classroom でも解決できないだろう. Google form は選択式の回答に向いているが,自由記述の形式はかぎられている. たとえば表を書いてもらうのは容易でない. また,ひとつの質問に対する回答欄はひとつにかぎられる.
さまざまな形式がつかえるという点では Google form より Google spreadsheet のほうが適している. 表を書いてもらったり,自由な数の欄を用意したり,自由にできる.
また,Google form では「送信」してもらわないかぎり学生が書いたものが教員にはみえない. 送信ボタンをいちいち押すのはわずらわしいし,心理的な抵抗もあるだろう. それに対して Google spreadsheet なら書いたカラムから出ればその内容がすぐ教員につたわる. ファイルのリストをみれば最後に書きこんだ時刻が表示されるので,試験時間中はそれだけみれば個々の学生の様子がある程度は把握できる. そして,ファイルをひらけばさらにくわしく把握できる.
]]>試験はオフラインでも (つまり教室でおこなっても) よいことになっていたが,新型コロナ感染者急増のためにキャンセルされた. オフラインで実施することにしていた先生はいま,おおあわてになっているだろう. 私の場合は試験だけオフラインにする必要はないとかんがえて,はじめからオンライン・リアルタイムでおこなうことにしていたので,なにもかわったことはない. しかし,具体的なやりかたは最近までかんがえていなかったので,それをつめる必要があった.
授業をはじめた当初はふだんつかっている Google form を試験にもつかうことをかんがえていたが,結局 Google spreadsheet をつかうことにした (1-9 改訂). 試験以前に,レポートもとくにその返却が Google form ではうまくいかない. レポートは結局 CoursePower という,G Suite 以外の方法で提出・返却することにした (余談だが,ここだけ CoursePower をつかうのは美意識や「経済」の点で私にはきもちよくない). しかし,CoursePower を試験につかうと,たぶん学生の様子をリアルタイムで把握するのがむずかしい. そこで,試験の答案用紙としては Google spreadsheet を使用することにした (このほうが美意識や「経済」の点でもよい).
Google Spreadsheet をつかえば書いた内容がすぐにシェアしている全員につたわるので,試験でつかえばリアルタイムに学生の様子 (答案) が把握できる. 正確にいえば,Google Spreadsheet のファイルのいずれかのカラムに書き,書いたカラムの外にでれば,書いた内容が他者にリアルタイムにつたわる. 試験の場合は学生にひとりずつファイルをわたすことで,その学生と教員である私だけがリアルタイムでその内容をシェアすることができる. これまで個々の学生の得点を合計するには問題ごとの点数を Excel シートに書いて計算していたが,これも試験の得点だけについては答案用紙のうえでできる.
課題は答案へのアクセス権の設定だ. ふだんの資料は学生全員にシェアされている. というか,アクセス権は工学院大学関係者全員にあるので,リンクがわかれば関係者はだれでもみられる. 試験の場合はそれでは具合がわるいので,ファイルにアクセスできるのをひとりの学生と私だけに限定したい. しかし,どうやら工学院大学の設定では制限できるのは書きこみだけのようだ. 受験者を「編集者」として指定すれば答案にかきこめるが,学生ひとりひとりがうまく書けるかどうかをあらかじめたしかめておく必要がありそうだ.
今回はファイルを私が受験者数だけ手でコピーして,それぞれにアクセス権を付与した. 人数が 20 人以下だったのでこれでもよかったが,もっと多い場合にはツールがないとできないだろう. 答案用紙を学生がコピーしてつかうのであれば,もっとかんたんにできる. コピーした答案用紙は学生自身のものになるはずだから,学生がそれを教員にアクセスできるように設定してリンクを教員にかえすようにすれば,教員の手間ははぶける. もしふたたびおなじ状況で試験をすることになれば,そうしようとおもう. アクセス権を設定する方法はスライドなどをつくって説明する必要があるだろうが,それでもこのほうが楽だ.
(2021-1-15 追記:) アクセス権の設定はファイル単位だけでなく,答案用紙の行ごと (あるいはカラムごと) にもしたほうがよかったと,あとになって感じた. かきかえてはいけないはずの部分をあやまってかきかえた答案がすくなからずあった. それをさけるには,かきかえてはいけない部分はできるだけ教員だけが書けるように設定しておくのがよいだろう. ただし,こまかくアクセス権を設定するのは手間がかかるので,重大な問題がなければ設定しないという選択もあるだろう.
事前には問題と答案をひとつのファイルのなかに書くことをかんがえていた. しかし,答案はまえもって配布し問題はは試験開始直前に配布するために,これらをべつのファイルにすることにした. 配布するにはリンクを学生にわたす. 問題はあらかじめつくってあったので,リンクをわたせばすぐにつかえるだろうとおもっていたが,わたしてすぐはアクセスできない学生がいた. リンクは余裕をもって事前にわたす必要があるのかもしれない.(2021-1-9 改訂)
準備をはじめるまえは,アクセス権を限定しておけばリンクは全員分を書きならべて学生にわたせばよいとおもっていた. しかし,読みだしが制限できないようなので,ならべてわたすのはまずいようだ. 個別に情報をわたせるしかけを併用する必要がある. そのために CoursePower をつかったが,想定されていないつかいかたなのであまりうまくいかなかった. 学生は採点した答案にもアクセスすることができるので,返却するために特別な作業は必要ない.(2021-1-9 改訂)
(2022-1-19 追記:) 読みだしを制限できないとおもっていたのは,たぶんかんちがいだ.既定では工学院大学関係者全員が読めるようになっているが,それをやめることができる.だから,今度は全員分のリンクをならべてわたすようにしようとおもう.
関連ページ:
]]>まだレポートの一部の採点がおわっていないし,授業ものこっている.しかし,これまでの学生の反応やレポートの内容をみると,今年の授業はあまりうまくいかなかったといってよいとおもう. 結論は試験まで全部おわってからだすことになるが,これまでのところでは失敗点としてつぎの 2 点をあげることができる.
今回は Google Form で学生に「手をうごかして」もらう授業をめざしてきたが,それは失敗したようだ. 手をうごかしてもらうという方針は,昨年まで教室内でほぼ毎回,小演習をしてきたことをひきついだものだ. 教室での小演習はその結果がすぐにはみえないのに対して,Google Form では結果がすぐに集計されることがつよみであり,それをいかそうとしてきたつもりだ. しかし,教室であれば学生が書いているところをみることができるのに対して,遠隔授業では学生が結果を送信してくるまでは,なにをしているのかがまったくわからない. それが最初おもっていた以上に問題だったとおもう. 送信してくるのは,だいたい,聴講している学生の半分にもみたない. あとの学生がなにをしているのか,ビデオも音声もないので,まったくわからない. 成績はレポートと試験だけできめることにしたのだが,小演習にこたえたかどうかも,そこにすこしだけ反映させるべきだったのかもしれない. そうすれば,もっとこたえる学生をふやすことができただろう.
もうひとつの失敗は,まだ検証されていないので仮説だが,学生に「参加意識」をもたせることができなかったということではないかとかんがえられる. 講義をきいている学生も,どれだけ「参加している」意識があるのか,わからない. 教室にいれば参加意識があるだろうが,音をきくだけで参加している気にならない学生は,それを聞き流して,理解しないままになってしまったのではないかとおもわれる. 成績に反映させることで小演習への「参加」をふやすことができれば,参加意識ももうすこしたかまっただろう.
ネットで遠隔授業について書いたものを検索してみると,「参加」させるため (ということばではなかったとおもうが) にはビデオが重要だと書いてあるものがある. 学生が教師をみられるようにすること,また教師が学生をみられるようにすること (こちらは強制するべきでないという意見もある),それがないと学生を「参加」させることがむずかしいようだ. 音とスライドだけで学生をずっとひきつけておくことは,よほど興味深い内容の講義でなければむずかしいだろう.
]]>しかし,役にたった部分はあって,それは G Suite に関する部分だ. 工学院大学では Zoom やビデオの使用は禁止されていて,オンラインで講義するならそのかわりに Google Meet をつかうことがすすめられていた. 私もそれをつかうことにしたので,その部分は役にたった. たしかに,Web で情報をひろってみても,Zoom よりは Google Meet のほうがすくない帯域で音声をつたえることができるようだった. しかし,それは Zoom を禁止する理由としてはよわいだろう.
マニュアルでは Google Hangout の使用もつよくすすめていて,それもつかってみたが,学生はほとんど発言しないので,あまりつかえていない.ただし,一応ひらくことにしてはいるので,たまに学生からの応答がある.(2021-1-9 追記: Google Hangout は今年,廃止されるという.それにかわるのが Google Chat であり Google Meet との相性は Google Hangout よりよいようなので,今後はそれをつかうべきだろう.)
上記の Zoom と Google Meet の比較もふくめて他大学などからはある程度の情報がひろえた. しか,自分の授業のすすめかたの参考になるものはすくなくて独自のやりかたをとったために,混乱をまねくことにもなった. つまり,ひろった情報のなかには役にたったものもあるが,自分かやりたいかたちの授業,自分がつかえるメディアとはちがうものが大半だった. たとえば Google Classroom をつかった授業に書いてあるものがあったが,それは工学院大学ではつかえなかったので,あまり参考にならなかった. (2021-1-9 追記: G Suite (Google Workspace) をつかっている大学ではたいてい Google Classroom がつかえるようだ. これがないと学生と個別にやりとりするのがむずかしいから,必須だとおもう.)
そういうわけで,結局はほとんど独自にかんがえたやりかたで授業をすすめることになった. それは,このブログの別の記事に書いたように,G Suite の機能をできるだけいかす方法だ. Google Meet とともに Google Form をつかう. Google Hangout や Google Spreadsheet もつかったが,これらは最初におもっていたほどはつかえなかった. ただし,授業をはじめてから G Suite だけですませられないことがわかり,事前に検討していなかった CoursePower を不用意につかうことで,学生を混乱させることになってしまった.
2021-1-7 追記:
Google Spreadsheet があまりうまくつかえなかった理由は,学生がそれに書けるようになっていなかったからだということに,いまごろ気がついた.
「白板」(あるいは黒板) と呼ぶスプレッドシートを毎回用意していたが,それにアクセス権の設定をしていなかったので,学生は読めるが書けない状態だった.
学生が白板にアクセスしている様子はつたわってくるので,書けるように錯覚していただけだ.
試験のために学生が書けるスプレッドシートを用意したときにはじめて,そのことに気づいた.
2021-1-16 追記:
大学では「工学院大学の遠隔授業実施状況のご報告 (我々は何故ビデオ会議システムを選ばなかったのか)」という YouTube ビデオをつくっていたが,その存在を知らされていなかった.
そのため,最近まで知らなかった.
小演習をいれても,こたえてくる学生はかぎられている. 小演習の結果を成績にくみこめばこたえてくるだろうが,そうでなければなんとかこたえようという気にはならないらしい. それとはちがって教室での演習では,成績には関係しないといっても,学生はまじめに提出してくる. この遠隔授業を企画するときにはそのつもりで小演習をいれてきた.
また,小演習のこたえがかえってくるまで学生が何をしているのかわからない. 教室でやれば提出するまでの途中の様子も把握することができるが,遠隔授業では提出されるまで学生がなにをしているのかまったくわからない. そのため,ときには課題をこまかくわけて,ひとつずつ提出してもらうようにしてみた. しかし,いつもそのように課題がわけられるわけではないし,それだとこたえにくいといってくる学生もいる.
準備にあてられる時間も無限ではないので,いろいろ不備な点もある. どうするのがよいのか,なかなかわからない.
2021-1-9 追記:
ブレークについてはいまもよくわかっていないが,フィードバックに関してはすこしわかったことがある.
試験では Google Form でなく Google Spreadsheet をつかったが,そうすると学生が送信しなくてもシートに書いたかどうかがわかる.
Google classroom のない環境で 1 人ずつスプレッドシートを用意するのは時間がかかるが,その問題がなければ,また集計するより個別の内容が重要なら,試験だけでなくふだんも Google Spreadsheet をつかうのがよいようにおもえる.
スプレッドシートなのだから,うまくシートを設計することができれば集計に関しても Google Form より有利なはずだ.
一律に PDF に変換している理由は統一的にあつかいたいから,また PDF のほうが安心できるからだ. Word のファイルに直接書いてほしいという学生もいたが,もとのレポートをこわしてしまうおそれがあるので危険だとおもえる. PDF にコメントをいれる方法なら,まずこわれることはないので安心だ.
こうしてオンラインで受けとりオンラインで返却するしかけが一応できたのだが,いまのところ公平性を確保するため結局は紙にたよっている. PDF にいれたコメントや採点結果はあまり見やすいとはいえない. 全部オンラインでやるやりかたで公平性がたもたれるかどうか心配だ. そのため全部を印刷してから採点して,結果を PDF ファイルにかきこむという方法をとっている. コメントに関しては紙にははしりがきだけ書いて,完全なコメントは PDF ファイルにだけ書いている.しかし,とくに得点に関しては紙だけ見比べれば比較できるようにしている. そうしないと公平性をたもつのがよりむずかしくなると感じている. 紙にだすと整理するのによけいな時間がかかったりもするが,いまのところはこれにかわる方法がない.
2021-1-7 追記:
PDF 化したレポートに添削や評価をかきこむのに PDF のコメント機能を使用したが,福井大学のポータルには「手書き」する方法が紹介されている.
このほうが便利なこともあるし,すぐにかくれてしまうコメントより見やすいだろう.
しかし,ふだんはタブレットなどをつかっていない場合には文字で書くコメントのほうがよい.
私が CoursePower をつかおうとおもったのはレポートを返却するのに便利だろうとかんがえたからだが,実際にはそれは容易でなかった. 学生といろいろやりとりして,それでもなかなか返却したはずのレポートがとどかなかった. それについては上記の記事に書いたのでここではくりかえさない.
ここに書こうとおもったのはレポートのように教師と学生のあいだでやりとりする情報のみえかたについてだ.
レポートを出題するときには「授業作成」というメニュー項目のもとで作業する. しかし,出題したあとは,そこでいろいろさがしても学生からの応答はみつからない. 提出されたレポートをみたり,それに対する採点や添削結果を書きこんだりするには,「授業作成」ではなくて「授業の状況・評価」というメニュー項目をみなければならない. 上位のメニューがちがうことはよいが,それをアクセスするのにメニューをえらびなおさなければならないというところに問題があるとおもう. 下位でつながっていてもよいはずだ. そうでなければ,行きたいところになかなか行けない. 慣れの問題はあるだろうが,上位のメニュー選択をやりなおさなければならないということに,なかなか気づかない. レポートというオブジェクトを中心にかんがえている (オブジェクト指向でかんがえている) のに,そうでない思考を強要されるということだ.
さらに,「授業の状況・評価」を選択しても,そこで「評価」というボタンをおさずに下位のページにいってしまうと,もう採点や添削結果をかきこむことはできず,すでにかきこんだ結果をみることしかできない. さきほどと同様に上位 (この場合は「評価」ボタンがあるページ) にもどらなければかきこみはできない. ここも下位でつながっていれば (つまりオブジェクトでつながっていれば),すぐに行きたいところに行けて,まごつかずにすむはずだ.
このように,CoursePower はいたるところでフラストレーションがたまるようにできている. なれればまごつくことはなくなるかもしれないが,直観に反していることはいつまでたってもかわらない.
]]>そういうわけで CoursePower をつかいはじめたのだが,つかってみるとうまくいかないことが多い. CoursePower でレポートを提出したのでなくても採点結果や添削したレポートを CoursePower でかえすことはできるのだが,そこでいくつか問題があった.
まず,ユーザ・インタフェース上の問題として,コメントや採点結果を書いても「登録」ボタンをおさないままだと書いたものがきえてしまうということがある. G Suite では書くとすぐに格納されるから,きえる心配はする必要がなかった. 一生懸命書いたものがきえてしまうことは web ブラウザでもよくあることだが,こういうインタフェースは非常にまずい. また,添削結果をアップロードしても「評価確定」するまでは学生につたわらない. しかも,つたわっていないこととつたわらない理由がなかなかわからなかった. さらに,「受講者 View」というのがあるのだが,それをみても個々の学生にどういう情報がつたわったのかはわからない. だから,添削結果や得点がつたわっていないことがわからない.
なによりも,インタフェースが直観的でないことがまごつく原因になる. 「登録」もそうだし「評価確定」もそうだ. どこに入力すれば (ボタンをおせば) 保存されるのか,学生につたわるのかが容易にわからない. しかも,入力結果が廃棄されることや学生につたわらないままになっていることが知らされない. まずいデザインのインタフェースでも警告メッセージが表示されれば気がつくだろう.
問題はインタフェースだけでなくて,わからないことをマニュアルでしらべようとしても,CoursePower のインタフェースからはマニュアルがアクセスできない. マニュアルが公開されていればネットで検索できるが,各大学内でだけアクセスできるようになっていて,Google で検索できてもアクセスできない.
こういうわけで CoursePower はあまりつかいたくはないし,客観的にみても他の選択肢をとるべき理由があるようにおもう. G Suite がすべてつかえるようになっていれば,たぶん CoursePower より便利につかえるだろう. すくなくとも,いまのままの CoursePower がオンライン授業でつかえないことがわかったのだから,なんらかの対策をとる必要はある. CoursePower の提供者はそれを改善することをかんがえるだろうが,基本的なアーキテクチャが,コロナ後にも必要になるであろう学外からのアクセスに向いていないのではないかとかんがえられる. CoursePower の導入にいくらかかったのか知らないが,まだ工学院大学ではこの 4 月からはじめたばかりなので,いまならきりかえることもできるのではないかとおもう.
追記 (2020-11-17): 上の文章を書いているときにはまだそれほど深刻ではなかったが,その後,返却したはずのレポートが学生から見えず,あれこれやってもなかなかうまくいかないことを経験して,CoursePower はほんとうに食えないシステムだとおもうようになった. 上記のように,これは捨てたほうがよいとおもう.
それにしても,いますぐ捨てることはできないので,なんとかつかわなければならない.そのために参考になるページとして,青山学院大学の「Course Powerの利用方法(教員)」がある.マニュアルをみてもわからないもしくは気がつかないことが,いろいろ書いてある.
追記 (2021-1-7): 期末に遠隔で試験をすることにしたが,その際にも G Suite だけではうまくいかないので CoursePower をつかった. 答案用紙の配布がおもうようにできずにこまったのだが,それについては別項で書くことにする.
関連項目:
]]>2021-1-9 追記:
最初の何回かはアクセス確認がやくだったが,その後はほぼ安定して通信できるようになり,アクセス確認は形骸化した.
学生によってはちゃんと確認するまえに OK としてしまっている.
しかし,Google Form をつかうと,アンケートも小演習も,1 問こたえてもらうごとに送信してもらうことができる. ひとつの Google Form で何度も送信してもらうことができるからだ. 小演習のなかにアンケートを 1 問いれて,小演習のやりかたに関するアンケートをとることもできる. これも学生の意見をその場で知ることができる. しかも,小演習にアンケートを追加することはその小演習をやっているうちにおもいついたことであり,その場でかきくわえて,こたえてもらったのだ. 選択式で (ラジオボタンで) こたえる質問ならすぐに集計されるし,自由記述 (「段落」) でもこたえた結果がまとめて表示される. 教室でもその場で意見をきくことは可能だが,おおくの学生はなかなかこたえてくれない. Google Form のほうが気安くこたえてくれるようだ. Google Form のほうがチャットや twitter にちかい感覚で,話を中断させることなく意見がいえるからだろう.
ただ,Google Form の返答のしかたの一つ「記述式」は,つかいかたがよくわからない. これも自由記述の一種なのだが,「段落」とちがって,Google Form はおなじこたえをまとめて,つぎのようなグラフにする.
知りたいのはこたえなのにグラフが中心になり,こたえの一部が省略されてしまう. 横棒のグラフにすればよいのに縦棒にするからこうなるのだ. これではこまるので,記述式はつかわなくなった.
Google Form は選択式か文字でこたえてもらうのが基本だが,ファイルをアップロードしてもらえば図表などでこたえてもらうことも可能だ. スマホなどのカメラで紙に書いた図表を撮影してアップロードしてもらう. あるいは,MS Word などで書いたものをアップロードするのでもよい. しかし,文字で書くのにくらべるとはるかに手間がかかるので,そう気安くこたえてもらうことができない. この場合は教室で紙に書いてもらうほうが楽だ. 表は文字でそれらしく書くこともできるが,表示がずれたりするので,かならずしもうまくいかない.
いまは小演習で小さな単位でこたえてもらっているからアップロードは重く感じるが,レポートや,授業のまとめとして実施しようとしているオンライン試験に関しては,カメラでとってアップロードするというのがよい方法なのではないかとかんがえている. レポートや試験で図表を書かないということはかんがえられないからだ.
レポートはすでに 1 回 Google Form で提出してもらったが,これはあまりよい方法ではなかったようにおもう. レポートは採点して返却することにしているが,Google Form には返却するしくみがないからだ. 返却するには結局 CoursePower をつかった. メールで返却することも可能だが,いちいちアドレスを入力するのもめんどうだし,セキュリティの点で CoursePower のほうがよいとおもうからだ. だから,つぎのレポートには最初から CoursePower をつかって提出・返却しようとかんがえている.
しかし,試験に関してはあいかわらず Google Form をつかうことをかんがえている. 教室での試験もみとめられることになったが,今回は最後までオンラインでやってみようとおもう. G Suite をつかうのが最善かどうかはわからないが,CoursePower よりリアルタイム性があるのが試験には向いているようにおもう. この場合も返却には CoursePower をつかうことになる.
書いたらすぐに送信して結果をみるというやりかたは,こたえにくいと感じる学生もいることがわかった. それもアンケートに気軽にこたえてもらえた結果わかったことだが,関連する質問が複数あるときには全部こたえてから送信したいという. それももっともなことだ. そういう意見にも配慮して,つかいかたをくふうしていきたい.
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