試験の際の 3 つの 「抗議」

日本の大学生は概しておとなしいのだが,今回は試験の終了直前および直後に 2 人から 「抗議」 をうけた. その主要な内容は試験の問題文に不適切な点があるということだが,それだけでなく,この講義のポリシーに関する部分もある. ネットワーク屋の常識にあわない部分については,来年度はより慎重なあつかいが必要だろう. しかし,ゆずれない点もある.

「抗議」 の内容のなかには試験がはじまるまえからわかっている部分もあるので,もっとはやく,いってくれればよいのだが... 試験中でもある程度は対策がとれるが,終了時では採点に反映させるしかない.

昨年は最後の講義のときになって,やっといろいろ,学生がかんがえていることが噴出してきた. 講義の技術の問題もあるが,「もうすこしはやければ...」 というところは,今年とおなじだ.

問題文における単純なミスの指摘をのぞくと,今年の 「抗議」 のおもな内容とそれに対する私のかんがえは,つぎの 3 つだ.

  1. IP ネットワークの問題でスタティック・ルーティングなのかダイナミック・ルーティングなのかがわかりにくかった. これは問題の記述が十分でないことにも原因があるが,問題文が致命的だともおもえない.
  2. イーサネットの問題で 「パケット」 ということばをつかっているが,イーサネットは L2 なので「フレーム」 ということばをつかうべきだという主張. この講義ではイーサネットによるネットワーキング (MAC アドレスによって配送すること) を L3 機能とみなしてきたから 「パケット」 と呼んできた. パケット交換 (フレーム交換とはいわない) と回線交換を対比する意味もあった. 講義の際にも 「フレーム」 とよぶべきだという指摘があったが,そのときにもっと明確にこたえておくべきだったのかもしれない. イーサネットの機能をすべて L2 におしこめる従来のやりかたからすると 「フレーム」 とよぶべきだという結論になるので,混乱のないように説明する必要があったのだろう.
  3. 問題文のなかで「PC を (Web/メール/SIP) サーバにする」 という表現をつかっているが,PC とサーバはちがうので混乱するという主張. 無用な混乱をさけるという意味では適切でなかったということになるだろうが,「PC サーバ」 ということばもあるから,PC をサーバにしていけない理由はないだろう. それに,ここでの 「サーバ」 はハードウェアのことではない. Web/メール/SIP サーバはソフトウェア (アプリケーション層のプログラム) だ. ソフトウェアを PC にのせていけないわけがない.

いずれにしても,今年度については採点の際に配慮する必要はあるかもしれない. 来年度は,混乱をまねかないように,講義にも試験にも反映させていきたい.

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